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女神・ザ・クッキークリッカー! ―女神を殴るごとにレベル上がるんですがそれは―  作者: 八゜幡寺


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34:外れるタガ

「おい、バカ」

「……はい、アギト様」


 バカって呼んだら返事しやがった。

 自覚あんのかよ。


「バカ」

「はい……」

「バカ」

「なんでしょう……?」

「バーカ」

「あの、アギト様?」


 おろおろし出した。

 ……はは。面白いな、こいつ。


「お前はもう言葉は喋るな。呼ばれたら『ワン』と鳴いて足元にひれ伏せ。そしたら、もう許してやるよ。次の階層に出向いてやる」

「ほ、本当ですか!? よかった……! では、あっ……! わ、わんわん! わおーん!」


 早速犬語を用いるとは、なかなか優秀な犬だ。『わおーん』などのバリエーションも瞬時に活用してくるのには驚いたぞ。

 へっへっへと、舌も出し……お尻の尾てい骨あたりに手を置いて、パタパタと……尻尾か? 尻尾を表現しているのか?

 ――バカすぎる。


「ぐふっ! ぐふふははは! バカが! あははは! 本当にやるか!? お前神様だろ!? それも一番偉い主神だろ!? ありえねー! あっひゃひゃひゃ! バーカ! バーカ!」

「わん!? わんわん! きゅーん……」

「しかもノリノリかよ!? 『きゅーん』じゃねえよ『きゅーん』じゃ! 犬になるのどんどん上達してんじゃねえよ!」


 神としてのプライドねえのかよ……!

 これじゃあ、アイテム枠を一つ消費したことを一週間も根に持って、ひどい仕打ちを行っていた俺が……!

 くっそ人間が小さいゴミムシみたいじゃねえか!


 はあ、なんだか……。

 なんだか、うん……もう、なんか……。


 元気、出たわあ。


「おい、もういい。行くぞ」

「わん! わーん! ぺろぺろ!」

「ちょっ! おい! 顔舐めんな! バカが! それと何言ってるかわかんねえよ! 遊んでないで真面目に話せ!」

「わわん!?」


 頭を引っ叩いてふざけている女神に一喝。

 理不尽を訴える目を向けてくるが、そんなのお構いなしで女神を持ち上げた。

 いやこうしないと、女神バリアーの効果範囲からズレてて、ゲートから出た瞬間に即死ってことも考えられるからな。

 それに、お姫様抱っこじゃないと使わせてくれないんだろ?


 ちょっと潤んだような女神の視線を感じながら、気付かないふりをして視線を合わせないようにゲートを潜った。

 分かっていたことだが……。それを意識しないようにしていたが……。

 さっきの犬語の一件で、タガが外れた。


 こいつ、むちゃくちゃカワイイ。




――――




【ダンジョン深層】


 ――八角錐の塔には窓もドアもない。

 一見すると自然物の様相を呈しているが、すぐに誰しもが、それは建造物であると認識するだろう。


 こんなにも邪悪で、この世の汚濁を凝縮したかのようなおぞましい物体が自然界にあるわけがないと、本能が拒絶するからだ。


 そんな狂気が、この地を埋め尽くすだけ建てられてある。

 

 その一つ。

 入り口のない八角錐の中で、独りごちる声がするのだ。


「この気配……主神か? なぜ奴がこのダンジョンに?」


 声の主は考える。

 誰が言ったか、何処から聞こえたか、それを特定することはできない。

 実体のない声は、一つの仮説をたてた。


「もしや、まだ千年ほどしか経っていないというに、早くもその座を奪われたか? ははは! それは滑稽だ。早速みんなに教えてやらねば! ――いや、待てよ」


 意地悪くにたりと笑うその顔を見れば、何か良からぬことを思いついたのだと容易に理解させた。

 次の瞬間には、どれが顔でどこから喋っているのか、もはやわからなくなってしまうのだが……。


「主神のやつを、先にちょいと冷やかしてやろうか。どれ今は……なんだ、まだ第三層か。うん? 連れがおるな。ははん、さてはレベル上げだな? どれどれ……なるほど。――連れは、二人か」


 にたにたと邪気を盛大に孕んだ笑みを浮かべて、声の主は消えた。

 元からどこにいるのか不明ではあったが、今ではもう……そもそもここには誰もいなかったと断言できてしまうほど、完全に消えてしまった。

 そう、この八角錐に入口はないのだ。

 誰も居るはずがない。


「――さあ、せっかく育てたお供をむざむざ喰われたら、主神の奴はどんな顔するかなあ」


 こんな声も、空耳だ。

お読みいただき感謝でございます。

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