33:バカ
治癒魔法・解毒魔法……。それら回復系の魔法が普及しているらしいこの異世界において、状態異常とは本来無縁のワードだ。
そんなものが食後の30分のみ無効になるからといって、解毒魔法をちょっと唱えればいいだけの手間なんてそもそも誰も惜しまない。正に無能スキル。ゴミスキル。
――と、なるはずだった。
実はこれ、そんな生ぬるい代物ではない。
実際の効果というのは、こういうものだった――!
服毒無効。状態異常に陥っても何かしらを経口摂取すれば完全に症状が沈下する。
――女神がようやく結構役に立つスキルくれたあああ!
実質状態異常無効化! とりあえず蛇とか蜘蛛とか、毒持ってそうな敵にはアドバンテージが取れるんじゃないか!? そういう敵って噛み付き多いし、わざと攻撃を喰らって弱点の頭部を確実に狙う戦法が確立しそうではある。
他にも毒で弱ったフリとか。
逆に効いてないアピールで動揺を誘うことだってできる。
有用スキル一つで、こうも戦い方のバリエーションが豊かになる!
ああ! こいつは大発見だぞ!
無償で気付けたらもっっっっっっと良かったけどなァ!
だって飯食えばいいだけだったんだぞ開示条件! そもそも全てのスキルを開示しておけばいいだけだったんだぞ!
だからこそ――!
「アイテム枠を消費したショックが大きすぎる……! クソがあああ!」
「ひゃっ! ま、またですかぁ!?」
クソ女神にキノコを投げつける。これは喉が物凄く痒くなって気管に穴が開くほど掻きむしっちゃうエルゴ茸だ。味はまずまず、シメジのような感じ。
「かひゅー。アギト様……かひゅー。私のことは如何様に罰しても構いません。ですが、どうかダンジョンを攻略して下さいませ。今日でもう……、一週間です。この辺りのキノコもそろそろ採り尽くしました。ご決断を……かひゅー」
一人で勝手に満身創痍の女神。
反省している……ようには見える。解毒が効かない毒キノコを食べて贖罪……しているようには見える。不死だから延々と、この一週間は俺と同じキノコを食べて地獄の苦しみに耐えてきた。
総じて、この女神は本当に反省しているのだろう。
――と、思える行動をとっている。
騙されてはいけない。
奴は心の中では舌を出して笑っているのだ。
だから俺は、……罪悪感なんて感じる必要なんてないんだ!
幼気な姿を憐れむ必要なんてない!
涙ぐむ表情に胸を締め付けられる必要はない!
クッソ! もう帰れよ! 天界にゴーホームしろよ! アイテム枠は勝手に消費するしぃ……! うぐぐぐ!
必要になったら呼び出すからさっさと消えてくれ!
顔が良くてエロい格好してるからって、何でも許されると思ったら大間違いだかんなっ!
ちなみに女神は天界には帰らない。
いや、帰れない。
俺をこのダンジョンから脱出させることができないのと同じで、こいつ自身も、主神の力を持ってしても、攻略する以外に道はないのだという。
そして女神はこのダンジョンを攻略することは出来ない。堕天して魔性の力を手にした元神々に勝てないから。しかもそれを承知で足を踏みいれたのだから……もうバカじゃん。
……薄々、そうなんじゃないかって分かってた。
この女神は――バカなのだ。
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