29:ライジングインパクト
「アギト様! ありましたよ! ゲート!」
――エルフの大量虐殺を終えて、しばらくただっ広い荒野を探索した。
ようやく見つけたのは、次層へのゲート。
やはり一層目と同じように別のフロアにワープかなんかで転送される方式っぽいな。女神が青白く発光した魔法陣を指す。
「よーし、よくやった」
「じゃあ気を引き締めて、早速行きましょう!」
「いや待て待て。勝手に仕切るな」
さっさと次へ進もうとする女神の腕を掴んでゲートから遠ざける。
気を引き締めろと言うなら、まず引き締めるための時間を設けろ。
ということで、深呼吸を一回。
目をつぶると……暗闇の中で思い出す。
エルフを殴る感触。
うめき声。
血反吐に染まる表情。
何よりも――。
「ぐふふっ」
思わず、にやけてしまう。
まるで新作ゲームを買い与えられたガキみたいに、俺は今……はしゃいでいる!
ああ、もう! ステータス・オープン!
もう一度この目に晒せ! 我が努力の結晶よ!
――――
【ライジングインパクト:B】
・打撃攻撃において【クリーンヒット】が出やすくなる。またその場合において相手の【ぼうぎょ】を50%無視し、【吹っ飛び判定】を得る。
――――
はあ……。
カッコいい……。
名前がまず惚れ惚れする。
【雷の衝撃】だぞ。雷といえば勇者にのみ扱える伝説の魔法だ。これはもう【雷神の衝撃】と呼ぶべきだろう。
どのように殴ればよりダメージを与えられるかを研鑽した。
顔やボディを打った場合のダメージ量の変化やパンチの出し方。
ストレート・フック・リバーブロー・正拳突き・張り手・パウンド・コークスクリュー。
格闘技はおろか喧嘩だってほとんどしてこなかったので、殴りなれない最初のうちは手首を挫きまくった。
その度に女神に治癒魔法をかけて貰っていたが、三連続で右手首に激痛を感じた時はもうそいつは踏み殺してやったわ。
そしたら今度は足首を挫いたわけだが……。
――そしていつしか、無抵抗の相手であれば確実にベストショットを穿てるようになった時。
俺はスキルを取得していた。
勇者たる【雷神】のスキルをな――!
「ははは。もう俺の称号【雷帝】に変えろよ。ゴミスキルが由来の称号とか恥ずかしいなんてもんじゃないわな」
「あら、そうですか? では【雷帝八龍の勇者】と変更いたしますね」
……え、出来んの?
冗談だったんだけど。というか自称が称号って凄く恥ずかしいんだけど!
「ちょっと待て。本気で変えるならまだ考えさせてほしいんだけど。俺実際は雷系の技とか魔法とか一切使えないから。誤解されちゃうから」
「いえいえ、お気になさらず」
「いや待って、ほんとに! というか変えられるならまず【八龍の勇者】は取り消しとけ!」
油断も隙もないやつ……!
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