28:神と眷族
「アルテミスくんって、バカで弱いですけど、堕天したら不死じゃなくなることは流石に分かってたと思うんですけどね……。死ぬほど攻撃されても、きっと抵抗しなかったんでしょうね。正気を取り戻すと、最後まで信じて」
エルフの亡骸を見つめ、女神は微笑んた。
その憂い顔は何を思うのか。
俺はもう、腕も脚も酷使し過ぎてパンパンだ。
筋肉痛、三日は取れないね。
てっきり【こうげき】と【ぼうぎょ】の差分、ダメージが通ると思っていたんだが、どうやらもっと複雑なダメージ計算を行っているようだった。
しかし、頑張った甲斐があった。
女神を殴らなくても、俺は倒したモンスターの経験値でもって、レベルアップすることができたんだからな。
俺の信念はこれで押し通せる。
もう誰にも、雑魚で無益なポシリーなんて呼ばせるかよ。
「よし。じゃ、そろそろ行くぞ」
「あ、もうちょっとだけ、待ってください。……せめて、この方に残るアルテミスくんの欠片に、祈りを捧げさせて下さい」
……一応、神様みたいなことはするんだな、こいつ。
性格に致命的な難があることには変わりないが、それでも同胞を弔うくらいの情は持ち合わせているんだな。
「惨めな死を遂げた愚神アルテミスよ、せめて主神たる我が礎となるがいい。……【固着】!」
前言撤回。こいつの血は何色だ。赤かったわ。
そんな情け無用の女神の祈りによって、エルフの体が輝き出した。
やがて小さな光の粒が立ち昇り、エルフはその身の面積を小さくしていく。
そして最後に残ったのは、ガラスで作り上げたような、透明なカードだった。
「おお、カードになった」
思わず見たまんまを口にしてしまう。
女神はそれを拾い上げると、俺が気にしてることを察して、説明を始めた。
「これはスキルカードです。すなわち神々の力の結晶であり、使用することで様々な恩恵をもたらします」
「は!? ま、マジかよ! じゃあそれがあったら俺もようやくまともなスキルが!?」
女神から貰ったゴミスキルよりももっともっと有益過ぎるスキルを手にすることが出来る――!?
「うふふ。もちろん――! そんなことはできません。信仰なき者が手にしたところで、ちり紙程度にしか使い道はありませんよ。主神である私には、本来の力を行使できますけどね」
「お前のパワーアップアイテムかよ」
このダンジョン攻略するの俺なんだけど。
全ての神々を蹴落とした絶対神のくせさらなる力を求めてんじゃねーよ!
カァーーーン。
「――お?」
女神バリアーに投石が着弾した。
カァーーーン。カァーーーン。
「お? お!?」
女神バリアーに投石が二連続で着弾した。
どれも、別方向からの攻撃だった。
――まだ、鳴り止まない!?
カァーーーンカカァーーーンカカァーーーカァーーーン……。
ガガガガガガガガガガガガガガガガガァ――!
けたたましい衝撃音。思わず耳をふさいで、身を屈める。
まるでガトリング砲だ……! 四方八方から戦闘ヘリに囲まれて、一斉掃射を浴びてるようだ!
仲間をやられた報復か? トチ狂ったモンスターにそんな感情があるとは思えないが……。
それにしても、多すぎる! み、耳が痛い。
「うっへえ! マジか! これ、何体いんだよ!」
「え? なんですって?」
「こいつら! 何体いるんだよ!」
「はい? 何か言いましたか?」
耳に手を当て集音機能を増幅させて、女神は俺の言動を聞き取ろうとする。
そんな奴の耳を引っ張り上げる。
「さっさとエルフの人数教えろクソ女神! 俺がお前の声聞こえてんのに、お前が聞き取れないわけねえだろうが!」
「ぎゃっ! ごめんなさい!」
耳元で吠えてやった。
――実際、何体いようとやることは変わらないがな。
俺は1レベルでも強くならなければ、このダンジョンを攻略するなんて不可能だ。
だから倒し方が確立したモンスター相手は、必ず倒して回る。
それに、敵へのダメージの与え方も、もうちょっと考える必要がある。
どうも【こうげき】のステータス=攻撃力というわけではないようにも思える。相手の耐久力を加味したとしても、単純な足し算引き算ではないのだろう。
ま、幸いにも検体は数多い。
サンドバックになってもらうぜ――。
――
本名:大鰐 顎斗
種族︰人間
称号:八龍の勇者
レベル:724 ←new!
HP:3980/3980
MP︰300/300
こうげき︰1000
ぼうぎょ:1200
とくこう:100
とくぼう:1500
すばやさ:1000
残高:5720 ←new!
【ユニークスキル】
・沈まぬ太陽
・不死王眼
・???
・???
・???
・???
・???
・???
【スキル】
・ステータス
・ライジングインパクト:B ←new!
【備考】
アルテミスト・エルフを殴り殺し続け、いつしか打撃攻撃において最高の威力を発揮できる瞬間を発見した。その努力はスキルとして時折発揮するだろう。
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