26:第二階層
神々の牢獄と呼ばれるダンジョンがある。
そこには主神の座を争い敗れた零落神や、神々の戦争にて猛威を奮った最悪級のモンスターが封印されている。
勇者として魔王を倒すべく異世界召喚された俺は、なぜかそんな悪魔のダンジョンを攻略することを強いられてしまったわけだが……。
ここはそんなダンジョンの――二階層。
なんとも異世界らしい発見をした。
エルフがいる。
――
種族:アルテミスト・エルフ
カテゴリー:亜人
称号︰神エイムスナイパー
レベル︰462
HP:335/335
MP:1/1
こうげき:6002
ぼうぎょ:500
とくこう:0
とくぼう:313
すばやさ:257
【スキル】
・百発百中
・ウィークポイント・ショット
・追い討ち
・黄昏の魔弾
・神キラー
【備考】
狩猟の神アルテミスの眷属。それを崇拝することにより、神の力の一端を授けられた。
主神に歯向かい堕天したアルテミスに付き従うも、APWKの精神支配により発狂。崇拝する神をもその手にかけるダンジョンモンスターと成り果てた。
――
その見た目は全体的に細身な印象で、耳も尖っていて、エルフの名に相応しい眉目秀麗なイケメンだ。
しかし騙されてはならない。
このエルフ、ゴリッゴリの脳筋である。
まず武器がヤバい。
エルフって聞くとだいたい弓か魔法のイメージじゃん。
俺も例に漏れず、それらを駆使して遠距離から狙撃されていたのかと思ったわけよ。
違う。投擲。
石ぶん投げてたの。
たぶんAPWKに頭やられる前からもうとっくにおかしかったんだと思う。だって狂ったからといってステータスがパワー寄りになるわけじゃない。もともと6000ものポイントを【こうげき】一辺倒にさせてしまうような奴だったってことだ。
アルテミスもとんだ眷属従えちゃったよ。
「アギト様、どうしたんですか。ほら! 捕まえましたよ、エルフ!」
そうのんきなことを口にするのはクソ女神。
彼女は今、俺の腕の中で大はしゃぎだ。
なぜ女神を抱きかかえることになったかというと、理由は単純明快。
常に女神バリアーの効果範囲内に身を置かねば、この怪力自慢のエルフの狙撃によってヘッドショットを撃ち抜かれるからだ。
地平に豆粒くらいの大きさにしか見えなかったエルフが、寸分の狂いもなく俺のコメカミ目がけて投石してきたのには心底震えた。
たまたま女神バリアーの効果範囲ギリギリに突っ立ってたのは運がよかった。
さて。
俺は見事に第一階層を攻略して、この第二階層へと足を踏み入れたわけだが……。
見渡す限りのただっ広い大地。
――夕焼けが眩しい、荒野にしか見えない。
「おい女神。ここは本当に外の世界じゃないわけだな?」
「そうですよ。ここは正真正銘、ダンジョンの二階層目です。一階層みたいな洞窟ではないですが、それはこの階層を支配しているモンスターがダンジョンを作り変えてしまったせいですね」
ま、所詮はモンスターの支配領域が及ぼす範囲は限られています。あの山とか太陽は舞台演出のハリボテみたいなものですよ。
そう付け加えた女神は呆れ顔で嘆息した。
このダンジョンは監獄だと言っていたし、囚人が好き勝手にしてるのを見るのは主神として面白くないのかもな。
まあ、理屈はわかった。原理はわからんが。
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