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女神・ザ・クッキークリッカー! ―女神を殴るごとにレベル上がるんですがそれは―  作者: 八゜幡寺


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25/77

25:失っていくもの

 地球という俺の故郷における最大火力。

 やっぱりこれしかない。これ以外はあり得ない。


 最初の提案は確かに女神に却下された。

 でもそれは単に、考え無しの脳死行動だったからに違いない。

 モンスター? ハハッ! 現代兵器で余裕だろ!

 こんなドヤ理論が見透かされていたわけだ。


 だけど今彼らを目の当たりにして、モンスターというリアルの存在を認識して、絶望して……。

 それでも尚、立ち向かわなければならないという状況下において……それは決断されるべきだったんだ。


 この女神様に諭されたよ。

 世界は、ボタン一つで無双できるゲームじゃない。そうであってはならない。

 もしここが地上で、魔王軍との全面戦争が起きたとして……。


 水爆を投入するという決断を、ただゲーム感覚で行うか。数万数十万という犠牲を背負う覚悟で行うか。

 ……行わないか。


 俺は、背負う。

 その重荷を、地を這うことになろうと背負い続けてやる。

 だから女神よ。今こそここに顕現しろ――!


「すいば」

「いやだからズルは駄目ですってば。話聞いてました?」

「違うんかいいい! オラァ!」

「ひぎぃ!」


 じゃあどうせっちゅうんじゃい! 

 おもむろに繰り出した右ストレートが女神の顔面にヒットする。鼻の両穴から血流を放出させて首がグワン! と仰け反って、反動でまた戻ってくる。


 その一瞬でまっさらな素顔に戻る七変化の女神の顔は、恍惚としたニヤケ面だった。気持ち悪っ。

 テッテレーとマヌケなファンファーレが苛立ちを助長させる。


「そう! これですよこれ! 敵わない敵がいるなら、倒せるようになるまで強くなればいいんです!」


 は? 何を唐突……に……?

 はあ!?


「はあ!?」


 こいつっ正気か!? 自分で何を言ってるかわかってんのか!?

 強くなればいいって、つまりあのモンスター共を倒せるくらいまでレベルを引き上げろってことだろ!?


 つまりこいつ――何度も何度も自分をぶん殴れって言ってんのか!?


「バカか! 流石に、それは無理だ。出来ない。それに、こんなチートでレベル上げるなんて、それこそズルだろ!?」

「いえいえ、これはズルとはいいません。……裏ワザというんです」

「それお前の匙加減じゃねえか!」


 それがOKなら水爆でいいだろ!

 こいつの判断基準がわからん! 殴られたいの!? そういう趣味なの!?


 いやだとしても俺の趣味じゃねンだわ!

 女殴って悦るような性癖してねえから!


 前回は完全に狂ってた。気の迷いだ。おかしな出来事が重なった故の不慮の事故だ。

 無抵抗な女をメタ糞に殴り散らすなんて非道をこれ以上行えるか!


「いやでもですね。もうそれしか方法がないと思うんですよ」

「いやだから水爆! もうドカーンといっちゃおうよ! 女神バリアーでガードしちゃおうよ! それでいいだろ!?」

「だからそれはズルいって言ってるんです! あれ? お話が通じない?」


 がああああああ!? 俺が!? 悪いの!? 俺の聞き分けのせいなの!?

 さらっとバカにしたような言い方が拍車をかけて怒髪天だぞこのクソ女神が!

 殺すぞ!?


「いいですか? アギト様。女性を殴りたくないというその意志はとても素晴らしいものです。ですが今はそんな状況じゃないことは理解できますよね?」

「そんな状況に追い込んだのはお前だけどなクソ女神」


 ――ため息。

 目の前の女神は肩をすくめて、呆れたように息を吐いた。


「はあ……ザコの掲げるポリシーほど無益なものはないですよ?」


 誰のためを思って拒絶してると思ってんだこいつ!?

 そのクッソムカつく言葉に血液が煮えたぎるのと同時に、スーっと、心が冷めていくのを感じた。

 視界から色が消えた。


 心が消費されていく。理性の形が崩れていく。




 ――俺は強くなっていく。

お読みいただき感謝でございます。

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