24:気付かされた攻略法
「ガオガオガオガオガオガオガオガアアアアアア! ホギャアアアアアアアア! グァルルルルルアアアガオガオガオガオガオガオガオガオ!」
俺の目の前に全長10メートルはある鬼がいる。
その雄叫びは夏フェスの会場よりもすさまじい地響きを轟かせ、血走った眼球は殺意に満ちて瞬きすらせず俺を睨んで離さない。
人間なんて五人くらいなら一気に丸飲みにできそうな大口をおっぴろげ、黄ばんだ牙を剝き出しに、その慟哭は余命一秒を知らせる死の宣告だ。
右の拳をおもむろに振り上げれば、目にも止まらぬ超音速パンチが俺に目がけて飛んでくる。
――カキィン。
ところが、その見た目の威力とは場違いな軽い音色が響くと同時に、怪物のパンチは中空で静止するのだ。それで怪物はまた怒りに吠える。
何回か続いたそんなやり取りを、俺は地べたに座り込んで眺めていた。
いや普通に腰抜けて動けないんだよ。
「SHOは【こうげき】が3000くらいあります。打撃力増強スキルも相まって、まあ安心して攻撃を耐えるならば【ぼうぎょ】は5000くらいは必要ですね」
カキィン。カキィン。
SHOのそんなパンチも女神バリアーには弾かれていた。
それ欲しいんだけど切に。
「続いてGKは、ヤギ頭から毒ガス・ライオン頭から火炎放射・尻尾の蛇の毒液攻撃が嵐のように襲い来るいやらしいモンスターです。【すばやさ】も2000くらいあるし瞬間移動スキルもあるので、まあ確実に逃げ延びたいのであれば【すばやさ】は5000は必要ですね」
女神バリアーの効果が及ぶ半円形の空間から外は、毒ガスに火炎放射が引火して大爆発を引き起こし続けるという、空襲も真っ青な展開が引き起こされていた。
煙幕激しくて敵の姿を捉えることすら不可能なんだけど。
つーか毒攻撃二個もいらなくね?
しかし何よりも恐ろしいのは……本来ならモンスターにとって女神は一目散に逃げ出したくなるほどの嫌悪の対象らしい。
それだというのに、【女神ビーム】によって、ゲロをぶちまけながらでも攻撃をし続けるように精神支配したこの女神の底なしにドス黒い邪悪に身震いする。
たしかに俺の考えは甘かった。
アホみたいにレベルが上がったもんだから調子に乗ってた。ステータスも数百倍になったし根拠のない無敵感があった。
そんなものは虚構でしかなかったと、いとも簡単に気付かされた。
こんな怪物共を見せつけられて、俺は腰を抜かすばかりだ。勝てる勝てない以前に立ち向かおうとすら思えない。
こいつらは生きた自然災害だ。
台風や地震に勝負を挑もうと考える奴はいない。それと等しく、これらに出会った人間が取れる選択肢は三つだけだ。
逃げるか隠れるか――死ぬか。
……ああでも、もしその自然災害に【意思がある】なら、同調する……という選択肢もあるだろう。崇め奉るという言い方の方がしっくりくるだろうか。
運がいいのか最悪なのか、この世界で最も強大な災害である、このクソ女神に同調できてしまった実体験から言うのだから間違いない。
ただし神と同調できたところで、それは決してプラスに働くものじゃないというのが辛いところだ。
「次はFGLですね。えーっと確かあっちの方で数匹がブルブル震えていたのを見た気がするのですが……」
「いやもういい。俺の無力は十分に思い知った。だからそんな可哀想なことはやめて差し上げろ」
それにゲテモノモンスターが狂ったように暴れる姿はちょっともう直視するのが辛い。
SAN値ガリガリ削れてる。不定の狂気一歩手前。
……いやもう発狂してんのかな俺。
気を失うほど我を忘れて、諸悪の根源であるとしても、華奢で無防備な乙女を殴りに殴って600回以上。
正気なはずがない。
「そうですか、分かって頂けたならうれしいです! なら、ここをどうやって攻略すればいいか……もうお気づきですよね!?」
……ああ、気付いたよ。気付かされた。
この状況を打破するには、あるものが必要不可欠だ。
――水爆だ。
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