20:持ち込みアイテムの条件
――現状を整理する。
まずこのダンジョンは、俺一人では100%生き残れない。常人より弱く、スライムにすらダメージが通らない攻撃力では当たり前の帰結だ。
そしてこのダンジョンから脱出する方法はない。最下層のラスボスを倒した場合のみ、帰還の転送魔法陣が起動するらしい。
つまり、俺は絶対に死ぬということだ。
「このことについて、女神くん。何か意見はあるかね?」
「はいアギト先生! それでも成り上がり勇者は、機転を利かせて結局最強になります!」
スパーン! と女神の頬を平手打つ。
実際にはそんな小気味よい擬音などしなくて、ペヂィッ! みたいな、なんとも痛々しい音がした。叩いた手の平もジンジンする。女神の首も半回転した。
赤く腫れた頬をさする女神に叱責を飛ばす。
「ふわっふわなんだよお前の思考回路! 機転にも限度があるの! 最強になるのにも順序があるの! それ全部すっ飛ばしちゃうから! 訳わかんなくなるの!」
……落ち着こう。今更説教したところで何が変わるわけでもない。
もっと建設的な話をしよう。
「もうお前のせいなんだからさ、お前が攻略しろよ。さっきのワイトだって瞬殺だったわけだし」
「あ、それは無理です。殺されます」
……いや、意味がわからん。神だろお前。それに死の概念がないとか言ってたよな。
「どういうことだよ」
「いえ、このあたりの階層のモンスターはいけると思うんですが、深部は堕天した神々の巣窟。彼らを突き落として主神となったのが私なので、きっと無茶苦茶に恨まれてると思うんですよね」
「……は?」
「特に主神の座を争った方々とは、ほぼ実力が拮抗していましたからね。魔性の力を手にしてより凶悪となった彼らに敵う見込みはありません。……神の力を奪われ、残虐に嬲られた上で殺されるでしょう」
えー……。
要するに、役に立たないわけね。
というかいくら一つの席を奪い合ったライバル同士だったとはいえ、残虐に殺されるほど恨まれるって、こいつ何したんだよ……。
で、女神としては、俺がこのダンジョンを制覇していくにつれてレベルも上がるだろうし、最終的にボスも倒せるほどの戦闘力を身に着けているはずだということだった。
この件に関しては、言い分を鵜呑みにするならばその理屈もわからないでもない。
結局、俺がどこまで足掻けるかということなんだよな。
結局、女神の思い通りの展開となるわけだ。
「わかった――腹、括るわ。それじゃあ女神よ、早速だけど聞きたいことがある」
「はい、なんでしょう!」
持ち込みアイテムの条件についてだ。
まあこれは答え合わせのようなもんだが――元々の所有物じゃなくてもイケんだろ?
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