18:観光気分できとるんじゃい
「持ち込みアイテムは何にします?」
なんだって?
ちょっとだけ考えて……思い出す。
「ああ、元の世界から何か持ってきていいって話だったな」
何を言い出すかと思えば、そういえばあったなそんな話が。
ここに至るまでの情報量が多過ぎてすっぽり抜け落ちてた。
まあ、それは確かに大事な話だ。
その事については俺からも確認したいことが二、三ある。
だが、今はそれよりも重要事項があるわけで。
それを女神に問い正す。
「おい。それもいいけどさ、まずは俺の意見に答えろ。【このダンジョンから出せ】と言ってるんだ」
「ギクリ」
両手で口元を押さえて目を泳がせる女神。わざわざ動揺を擬音で表現するあたりがまた憎らしい。
そんな反応にイライラを募らせる俺を見て、内心ではほくそ笑んでいるのだろう。
こいつ、本当に俺を一人遊びの道具としか思ってないようだな。
いや、この際オモチャにでも何でもなってやる。とにかくここを脱出だ。女神だって異世界を滅亡させる気はないようだし、こんな開始数分で勇者が瞬殺されてもつまらないだろう。
「茶番はいいんだよ。地上でもちゃんと成り上がってみせるから、さっさとここから出してくれ」
「うーん、それが……難しいですね」
難易度は関係ない。
できるならある程度時間がかかってもいいからやれ。つべこべ言うな。
しかし女神は腕を組んで考え込んだまま、しばらく経過した。
「ああ、うーん……だって、【攻略する以外に脱出は不可能】だと言えば、怒りますよね? うーん困りました。どうお伝えすれば怒られずに済むか……」
「何もかも手遅れだボケ!」
「痛いっ!」
ゴン。と洞窟に響く。
……頭突きは効くのか? 白い額がじんわりと赤くなっていた。
ひりひりと痛むのだろう。あまり患部に触れないように頭の周囲を手で覆い、涙目で俺を見上げる女神。
「……なーんちゃって。痛くないです」
「あ、そっすか」
言われなくても、あれだけ血みどろにされて平然としているやつが、頭突き一発に屈するはずがないだろ。よく分からんお遊びを思いつく奴だ。
わざと喜ばすために、ザクロみたいになるまで頭突きをぶちかましてやってもいいが……。
面倒だからやっぱなし。
「ま、さっさとしてくれよ。地上に出れたらお前が喜ぶこと何でもしてやるから。腹も減ったし」
「いやですから……無理です。進むしか道はありません」
「いいから! そういうの! ぶん殴って欲しいなら出てから殴るから! そろそろ付き合い切れねえぞ!」
クドいんだよ! もうそのくだりは飽きたんだよ!
本音を言えばな――!
女の子といちゃいちゃしてーんだよ!
勇者の身分を最大限に活用して、ニコポナデポとか政略的なハニトラとかに遭ってみてーんだよ!
あとカッケー剣士とか!
超凄い魔法が使える魔法使いとか!
ぶっちゃけ、魔王のビジュアルなんかもすっげー気になる!
もうド直球で言うぞ――。
「もっと異世界を満喫させろやああああああ! こちとら半分、観光で来とるんじゃい!」
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