17:持ち込みアイテム
「はあ……はあ……! くそがぁ……」
全力で暴行した。
すべて吹っ切れて、どうでもよくなった。
もしこれが手のこんだドッキリテレビだった場合、スタッフ全員ぶち殺してやる。
そして何事もなく起き上がり、笑顔を見せる女神にドッキリする。
痛みがねえのかよ。気持ち悪いから笑うな。
「うふふ。神ですからね。痛みとは死への警鐘です。死の概念がない神にそんなものは不要でしょう?」
え、死ぬ死なないは別として、本当に痛くないの? すっげえ血出てたし鼻もひん曲がってたけど、本当か?
呆気にとられていると、女神はふふんと鼻を鳴らす。
「それにレベル差だって桁違いなんですよ? そんなゴミパンチなんかスライムにすらダメージは通りません」
煽りやがる。
スライムにすらってことは、恐らくこの世界の最弱モンスターがソレなんだろう。
本当にこいつ、俺をどうやって成り上がらせるつもりだよ……。
ここはスライムどころか、魔王よりも強いモンスターがうじゃうじゃいる最悪のダンジョンなんだぞ。
「ちなみに、さっきのスケルトン……。ステータスはどれくらいなんだ?」
「あの子ですか?」
女神が自分で捨てたしゃれこうべを指差し確認。
頷くと、なんの勿体もつけずに教えてくれたのだった。
「見てみましょうか。ステータス・強制オープン!」
――――
種族︰アルティメットパーフェクトワイトキング
カテゴリー:アンデッド
称号︰残虐の殺戮ワイト
レベル︰514
HP:0/1880
MP:3000/3000
こうげき:200
ぼうぎょ:320
とくこう:1210
とくぼう:800
すばやさ:300
【スキル】
・不死王
・魂の強奪
・死中に活
・死にもの狂い
・九死に一生
・深淵
・マインドジャック
・三重魔法陣
・禁忌魔法【即死】
・禁忌魔法【呪詛】
・禁忌魔法【邪神】
【備考】
本体は手の平サイズのトカゲ型モンスター。よく精神支配スキルを用いて格下の獲物を弄ぶ。大抵は脳みそを掻き混ぜられたようにトチ狂って死ぬ。
大きな音に敏感ですぐに尻尾を自切して身を隠す。あるいは禁忌魔法を乱射する。
――――
「……ふひっ」
やべっ変な笑い声出た。全然面白くないのに。
勝てる未来が見えない。道理がない。
むしろ俺、よく生きてるな。こんな桁違いなモンスター相手に逃走劇を披露したんだぞ。【すばやさ】なんて数字だけで見れば五十倍。もしこれが時速ならば、小走りで新幹線と鬼ごっこしてたようなもんだ。
「……なあ、これでハッキリしただろ。俺にこのダンジョンは無謀だ。無駄死にだ。お前が見たいのは、最弱からの成り上がりだろ? ここじゃ無理だ。せめて序盤は、はじまりの村みたいなとこでスライム狩りさせてくれよ」
深く息を吐くと、勢い余って内臓が全部口から出てきそうだ。
女神と出会って、俺は何回ため息をついただろう。
そしてこんなにも短い付き合いだというのに、俺はこの女神が次になんと答えるのかわかってしまう。
またため息が出る。
「うふふ……。あ、トカゲちゃん」
「シカトしてんじゃねーよ! クソ女神が!」
「ふぐぅ!」
壁に張り付くトカゲで話を反らせると思っているバカな女神にすかさずボディーブロー。
嗚咽して倒れ込むそいつの後頭部を、容赦なく踏みつける。
びしゃっと鮮血が岩の地面に広がった。
「そうでしたそうでした……そういえばちょっとお尋ねしたいんですが」
「なんだよ」
女神は起き上がると、ポンと手を叩いた。
そして哀れな俺に――神の啓示を授ける。
「持ち込みアイテムは何にします?」
なんだって?
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