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異世界転移ノ魔術師々  作者: 両翼視前
第五襲 魔具争迅編
81/85

ありとあらゆる攻撃無効の鎧がチートすぎて誰にも傷つけられない。――この力で元居た世界に復讐する――

 センセイの転移魔術で誰もが絶対に追ってこれない研究所にたどり着けた。


 がしん、

 がしん、

 と自分(ぼく)の鎧の音が軋む。センセイの後ろを後追いで歩いていた。



 自分は生身が嫌いだ。生まれてから運命に自分(ぼく)の人生をバカにされてきた。

 自分の親には見捨てられて、学校ではクラスメイトにいじめられる。

 自分が生きてて何をしたんだって叫んでも、天からは何も帰ってこない。

 いつの間にか自分は人であることが嫌いになった。


 ある日、目が覚めるとこの異世界にいて、偶然、先生に出会った。

 本名は未だに教えてくれない。

 でも、アレイスターの意思を受け継ぐ偉大な魔術師だからセンセイと呼んでくれとニッコリ言われた。それから彼のことをセンセイと呼んだ。


 異世界転生したはいいけど、僕には魔力はなかった。

 センセイ曰く『異世界人じゃないから君に魔力はないよ。でも、伸びしろがあるから大丈夫』と笑顔で言われて漆黒の鎧を渡された。


 センセイから渡された鎧は最高だった。

 どんないかなる魔術も効かない。

 もちろん剣も、銃も、核だってありとあらゆる武装が効かない。


 これだったら絶対に出来る。


 見捨てた親も、

 バカにしてきたクラスメイトも、

 自分の人生を嘲笑った地球に、

 自分が制裁をくだす!


 だから、センセイの異世界転生の実験に協力することにした。

 絶対に元の世界に戻って自分の人生をバカにした地球そのものを滅ぼすために。



 先生はマッチに火をつけ蠟燭に灯すと、丁度あった机に回収したカプセルを置いた。


「おぉ~! 流石、元気だね! アリアちゃん!」


 明るくなればカプセルの中に回収した心臓が今にも破裂しそうなぐらいにドクンドクンと蠢いている。

 あのアイドルの少女を心臓として生かしても尚、その名で呼ぶのが気持ち悪く感じる。


 人は――人。

 心臓は――心臓。


 心臓は人ではなかろうに。だから、先生から吐き出された言葉が気持ち悪く感じた。

 もう生きてないのに、先生は何故?


「なにはどうであれ、元気に生きられるって美しいね」


 先生は地べたにあぐらをかきはじめた。


「護衛ありがとう、黒騎士君。君のおかげでまた一歩、()()()に近づいた」

「別に。自分は極光の魔女を邪魔しただけじゃないですか? 護衛がいるとは思いもしませんでしたし」

「君が邪魔してくれたおかげで僕は今日も明日も生きられる。夢に向かってね」


 次の瞬間――――。


「お前等さぁ、手薄なんじゃないのぉ~! 背後撃たれたらどうするわけぇ~?」

 目の前に大人びた女性が現れ、片手で掴んでいた生首を先生に向かって投げた。

 先生は投げられた生首が当たる直前、黒穴虚無(ブラックホール)を発生させる。

 するっと音すら立てずに暗闇に飲み込まれ跡形もなく消滅してしまった。


「なによ! アタシのありがたぁ~~いプレゼントが受け取れないわけっ!」

「もうちょっと可愛いプレゼントだと嬉しいんだけどな……」


 彼女の名前はイトスギ・レミ。28歳。

 荒々しい口調をしている残念な怖い女性。

 先生はかなり高評価している【原初の世界(オリジナル)】からやってきた異世界転生者らしい。

 

「だったら、アタシにもっと喜ぶ土産を渡しなさいよ! 今日だってミュゼ・リアに行ってきたんでしょっ! だったら、私にお茶菓子だってくれたっていいじゃないのっ! ってか、よこしなさい!」

「おばあさんにあげて喜ぶお土産なんか、僕には分からないよ」

「だぁ~れがおばさんですって!?」

「ふししし……、しはははははっ! 28歳、生き遅れているんじゃないか?」

 笑い続けるエンデにレミは睨む。

 次の瞬間、

魔術書(アルバ)ァ! 魔具召喚魔術! 絶氷刃(ぜっぴょうじん)ッ!」

 レミは魔術書から絶氷刃を召喚して鞘から引き抜く!


 彼女の目は本気だ。エンデを絶対に殺す目。


 魔力を込められた刃はいつの間にか水になり、うねる水面のごとく、どこから斬られるか分からない。

 そして、エンデ目掛けて、

「はい、ガードベント」

 鎧に突き刺さる刀身。しかし、突き刺したのは自分の鎧だった。

 水となった刀の刀身は鎧の効果で元に戻り、月の光が刀身の魔鉄を輝かせていた。


「昔の彼氏、生き返らなくたって知らないよ」


 舌打ちするレミと嘲笑うエンデ。

 空気が最悪だった。


「そんなに殺気立つならお願いごとを聞いてくれるかな……?」

「アァン?」

「妖眼の魔女の首を今すぐ取ってきて! 黒騎士と一緒に」


 エンデはニッコリ。自分とレミに微笑みかける。気がつけば自分たちの身体は暗闇に飲み込まれていた。

「ちょっと待てェ! アタシはまだお前ェに話すことがあンだよォ!」

 エンデの転移魔術が始まっている。どうにも自分たちは防ぎようがないようだった。

「この野郎ォ! どこに飛ばす気だァ!?」

「う~ん……。何処かな?」

「この大バカ野郎ォーー!」

 球体に包み込まれ、視界が暗闇に支配されていく。



 視界が明るくなると薄暗い森。

「聞けェエーー! エンデェエーーーーッ!」

 レミの叫び声が夜の森に響き渡っていた。

あけましておめでとうございます!

忙しかったので潔く長期休暇貰ってました。待っていた方には申し訳ございません。

今年から『魔具争迅編』を始めていきます! 2クール分の話を予定しています!

不定期になりますがよろしくお願いいたします!

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