私が“消滅”する日 ――アイ・メルト――
【アリア視点】
一歩。
また、一歩と進んでいく。
私を苦しめた人生に別れを告げたためのもう一歩。
死んだはずなのに意識があって、
誰かに抱きかかえられて、
不思議。
どうして一歩進んでいるの…………?
どうして……?
ね……? どうして………………?
わたしは……死んでいるの………………………………?
死んだかも分からず、
生きているかも分からず、
ただ、意識だけがぼんやりと、
ファンが振るペンライトの光みたい。
ただ前へ、
前へ、
進んでいく。
誰か笑っているの。
満足気に、
嘲笑うかのように。
私、分からない。
どうして笑っているのか分からない。
ね……?
どうして……?
笑っているの………………?
問いかけても分からない。
――――私が死んでいるから……?
これが死ぬって感覚なの……?
たった、もう一度だけ願いがあった。
叶うなら、
広い開放的な空間で、
大勢の人たちに囲まれて、
ファンのみんなに黄色い歓声に包まれて、
全力で歌って、
それで、お世話になったユーサが泣くんだ……。
でも、叶いそうにない。
もう少しで叶いそうなのに、
死んでしまった。
最後にありがとうって言いたかった………………。
ごめんね、ファンのみんな。
ごめんね、ユーサー。
そして、ありがとう。
どうしても叶いたかったこの夢。
叶わないのはおかしいよね……。
おかしい……。
おかしい。
オ繧ェカ繧ォシ繧キイ繧、
ネ繝エ阪おメ繝。ガ繧ャミ繝
ワ繝ッタ繧ソシ繧キノ繝ユ弱Θメ繝。――――カ繧ォナ繝エ翫おサ繧オセ繧サテ繝
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
【ヴェール視点】
「なんじゃ!? もう儀式が始まったじゃとっ!?」
地面が揺れ、地下労働施設がグラグラと大地を揺らすようにきしんでいる。
この場所で嫌な魔力を感じ取ったということは“近くで誰かが儀式を始めた”と考える。
「さて――――」
見上げれば、上空から邪悪な魔力が押し寄せてきているように見える。
既に美音壊の願神の儀式が始まったとしたら思ってた以上に早まったな。
このままでは我までもが儀式の生贄にされてしまうじゃろう。
それだと、ちと困る。
――ハイネが立派な魔術師になるため。
――アルムが世界最強の生物になるため。
――ニヤが最高の料理人になるため。
――キリエが……まだ彼女の夢だとか聞いたことがなかったな……。
我にはもう将来はないが、弟子たち仲間たちの未来はどんな書物よりも気になる。
だから、我もせいぜいあがかせて貰おう。
「魔術書――」
魔術書を出現させると、身体の気を抜けるだけ抜く……。
心を清らかに、そして、地下労働施設に我の魔力がいきわたるイメージをする。
――――――見えたっ!
「極光魔術――――拡散「極光」反射」
まばゆい極光を拡散させる。
これしきの邪悪、本気のエンデと比べたらまだまだじゃな。
残りあと5話で歌衝争儀編終わるよー!
頑張って夏までに終わらせるよー!
長いことお待たせしました!
次回もよろしくお願いします!




