依頼、始まるまで休日 ――コンチョネス・ワーク――
その日はとても晴れていて、眩しかった。
私は『ろろぶミュゼ・リア』を見ながらミュゼ・リアの町を歩いていた。
本来ならば、ライブが始まるまでの間は美味しい食べ物を食べて、催し物を見て、折角来たミュゼ・リアを満喫するつもりだった。
しかし、ハイネは大事な作戦会議、アルムはホテルのベッドで爆睡。ニヤも2人によって寝不足だから寝ていて……。
それに、ヴェールはあれから一体なにをやっているのだろうか?
ヴェール曰く、『少し調べものをしたい……。昔、来た時……、否、昔と今じゃ違うか……』と言っていた。
どうも私は¨昔¨という単語が耳に引っかかって仕方がない。
この地でヴェールはなにをしたのだろうか?
きっと大きな事件が昔、起きていてヴェールはそれを解決したに違いない。
そう思えば、昔のミュゼ・リアのことを知ることができる施設になるべくなら行きたいが……行きたかったダンゴ屋が近くにある。
ミュゼ・リアらしく音符の形をした色とりどりのダンゴと香りのいい茶が楽しめる場所に行きたかった。
しかしだった。マップによるとダンゴ屋とは真反対のほうにあるらしい。
悲しくも現実は非情だ……。
<ミュゼ・リア歴史博物館>――――そこでミュゼ・リアの歴史を紹介しているらしい。
あまりオススメされている感じではないようだが、しかし、私とて依頼を受けてここに来た以上は完璧に遂行せねばならない……。
うむ……。
♢ ♢ ♢
小鳥のさえずりが耳に聞こえる。
気がつけば、<ミュゼ・リア歴史研究博物館>に辿り着いてしまった。
どうやら身体が許してくれなかったらしい。
依頼は依頼だから、信用のためならば私のことは後回しにせよと歩いてしまったようだ。
無念……。
向かうまでの道中は確かに観光客がいっぱいだった。
しかし、博物館の門の入り口からは周りを見渡しても誰もいない。明らかに。
空を見上げれば小鳥だけが青空でさえずり自由に飛んでいる。
正直、羨ましい。私も自由に飛べたら行きたいダンゴ屋まで飛べるのに……と小鳥をみながらそう思う。
しばらくして、私は植物が生い茂った博物館の建物に入った。
大きな像とその両隣には石版が広いエントランスにある。
私よりも背が高い女性の形をした像。
その姿はまるで――――
「おぉ! うおぉお!」
奥から野太い男の声が聞こえる。
年老いた老人の声。
そして、
「こんな遠いところによぉ来なさった! 私はここでミュゼ・リアの歴史を研究しながらここの館長をしているアフォルト・ナード! よろしく!」
物凄い勢いで私のところまでくる老人。
「よっ……、よろしく」
相変わらず人と話すのは慣れない。しかも、突然だったから。
「少女、どうしてこの町がミュゼ・リアと呼ばれているか知っているか?」
「分からない」
「あっはっはっは、即答じゃあー! えらい素直な若者よのう!」
老人は上機嫌に笑っていると口から入れ歯を落とす。そして、拾い上げて口に入れた。
「いかんなぁ、昔は歯のことで気にしなくてもよかったのに……」
「私はミュゼ・リアの歴史を知りたくてここに来た……。どうか教えてくれないだろうか……?」
「気に入った! よし、話したる! 椅子に座れ!」
老人はそう言うと、奥の部屋に行き椅子を持ってくる。
私はそれに座り、老人の話を聴いた。
更新が遅くなってすみません!
仕事が急に忙しくなりました!
歌衝争儀編の伏線回収始めてます!




