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異世界転移ノ魔術師々  作者: 両翼視前
第四襲 歌衝争儀編
62/85

¨眼¨覚め ――アウェイキング・アイズ――


「起きて――――」



 夜――月が微笑みかけるような満月の夜のこと。


 まどろみの中で囁くような女性の声が聴こえた。

 それが(キリエ)(みみ)にハウリングして聴こえたからとても鬱陶しくてたまらなかった。


 ついには眠気が吹き飛び、目を開けると、深い深い森の中にいた。


 ざわつく風に揺れる木々。


 しかし、どういうわけか肌に風が当たらない。¨現実味¨がどこかないように感じて……。


 そんなことよりも――――この場所……、知っている……。

 焼け野原になる前のムシャノ村の森にそっくりで……。


 わけが分からない。どうして私は……ここにいる?


 そう思っていると、

「こっちに来て!」

 右耳から左耳を舐めるかのような笑い混じりの不協和音が聞こえる。

 仕方がないから道なりに歩くことにした。



 誰もいない森の中でしばらく歩くと、広場が見えた。

 

 広場の真ん中で黒いローブを着た人が椅子に座って刀の刀身をやさしく包み込むように研いでいる。


 この(さや)


 この(つか)


 私は知っている。


 これは私の旋風刃だ。


 どうして彼女が旋風刃を持っている?


 ――――ふと、私と目が合う。


 鏡で見る私の顔とそっくり。


 血の繋がった姉妹がいたかのような……、いや私に姉妹はいなかったはず……。


 ただ、違うところを挙げれば――――¨眼¨が綺麗な菖蒲(あやめ)色をしていた。


 それぐらい瓜二つの私が目の前にいて……正直、怖い……。


 女性はニヤリと私に微笑むと、

「やっと来てくれた!」

 と言う。


 私はこの女性のことを知らない。

 それどころか

 身体が、

 血が、

 本能が、

 逃げろ逃げろと訴えてくる。


 この人、――――絶対に強い。

 刀が無ければ左手に魔力を――

「そんなに殺気を出さなくてもいいじゃない」

 ひんやりとした彼女の手に握られる。

「――――気持ちが悪い!」

 咄嗟だった。

 咄嗟に手を振り払わないと彼女に取り込まれそうでおぞましかった。

 それなのに私の右手をやさしく包み込むように握ってきた。

「あらぁ……。私は君と仲良くなりたいだけなんだけどなぁ~! 残念……」

 身体から魔力が流れない。

 それどころかじわじわと消滅していってるような感覚。

「名を名乗れ……! 名を名乗らない者など信用できない……!」

「残念。今は言えないの……。強いて言うなら……それはまた今度にしよう」


 まずい。

 視界が徐々に徐々にかすんでいく。 


「君はきっと()()()()……。きっとね……!」


 そう言われる頃には視界が――――


 ♢ ♢ ♢


 はっとして起きる。


 朝――気がつけば綺麗な朝。

 窓を見れば太陽が燦々と輝いていた。


 魔力を使いすぎたからか昨日はぐっすり。

 だけど、目が痛い……。


 目にじわりじわりと熱が広がる。

 まるで、炎に熱されたかのようでずきずきと痛む。


 あの夢はなんだった?

 あの菖蒲色の目の女性はなんだった?

 なにを見せようとした?


 考えても分からない。

 そう思っていると、 

「最悪ニャ! 最悪! アルムのいびきにハイネのゲロでのうめき声! もうほんとに! ほんとに眠れなかったニャ!」

 隣でニヤが泣きわめいていた。

「ぐぎゃー。もう食えねェー」

 周りを見れば、アルムはいびきをかきながら寝ていて、ハイネは顔色を青くして気分が悪そうだった。


アルムとハイネ(ふたり)、大丈夫なのか?」

「それ以上にミャーが大丈夫じゃニャ……」

 ばたり。

 ニヤがその場で倒れてしまった。


「ごめんなさい。わたしのせいです……。ごめんなさい……」

 オエッとするハイネを見る。

 私はベッドから降りてハイネの元へ行くと、背中をさすった。



 そういえば――、

「いつから、アルムに尻尾生えるようになった?」

 昨日のことで聞きたいことがあった。

 事件解決後、合流するとアルムの尾てい骨からまるで龍のような尻尾が生えていた。

 今は見ていて生えてないようだが、シャワー浴びて寝るまでは確かに生えていたはず。

 それに、アルムに『キリエ! カッケェだろ! 俺の尻尾!』って散々、自慢された。

 別に人である私に尻尾なんて必要ないが、どうして生えたのか気になっていた。

 だから、私よりも長い間付き合っているだろうと思いハイネに昨日のことを聞いた。

「わたしも初めて見ましたよ! あんな姿のアルムは初め……」

 オエッとするハイネを見て、もう一度、さすりにさする。

 どうやら、ハイネも知らないようだった。


「わたし、この後打ち合わせがありますのに……」

「打ち合わせ……?」

「ライブの防衛についてのミーティングです。私、代表代理(バイスマスター)ですから……」

「代われるなら代わりたい……。でも、無理だろ……?」

「えぇ、受付でわたしが代表であることを深刻した以上はわたしが行かないと……」

「ハイネ……」

「それにです! ヴェールに頼まれた代表代理ですから、どんなに体調が悪くても、どんなに嫌なことがあっても、最後までやりとげたいですから!」

 ハイネがキリエに微笑む。

 普段はヴェールに泣かされて心配になるハイネだが、彼女になら命を預けられると思う。


 そんな頼りになる彼女はしばらくして……嘔吐した。


投稿遅れてすみません!

GW休んでたら書く感覚が忘れていました!

(遊○王やってたわけじゃないよ! 遊戯〇!)


これからこの章の後半戦です!

いろんなキャラが¨眼¨覚めていきます!

フォロー、ブクマ、いいね押していただけると幸いです!

よろしくお願いします!

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