酒は呑んでも吞まれるな ――キャント・ドリンク――
「今日は豪華れぇ~すよ! 豪華! 酒! 酒ェ! 酒ェエ!」
ミャ―が<デイ・ブレイク>の机に戻ると、アルムは飯を食べて、ハイネは酒を飲んで……、違うニャ、あれはもう既に飲まれているニャ……。
足元を見れば既に一升瓶が転がっていて、テーブルにはグラスのタワーを立て、お酒を注いでいるニャ……。
ため息を吐く。
この女、酒を飲むと手がつけられなくなるからニャ。
思えば、――昔、ハイネのせいで<ニヤの尻尾>が壊滅した……。
ナンパしてきた男をハイネは酒に酔った勢いで灰魔術を発動して……この女の師匠ヴェールがいなければ、<ニヤの尻尾>は灰になったままだったニャ……。
「おぉ、先に頂いているぜ!」
「もう飲んだのニャ……」
「まぁ……、ハイネだから……」
「酒ェっ! 飲まずにはいられらいっ!」
ハイネが酒を呑みながら叫ぶに叫んでる。
気持ちのいいほどの呑みっぷりを見ていると……これからどうなってしまうのニャら……。
「なぁ、キリエはどこに行ったんだ?」
ふと、アルムがミャーに聞いてくる。
アヤメが<デイ・ブレイク>の机に帰ってきてなかった。ニャから、聞いてきたのニャと思う。
「アヤメニャらジャンヌと楽しく喋っているんじゃニャいかニャ」
「なんだよ、ジャンヌと楽しくお喋りかよ……って、どうして?」
「知ぃ~らニャぁ~い」
ミャ―がそう言った時、ハイネは酒を呑むのを止めた。
酒を吞むときは宝物を見るかのように集中しているのに……そんな彼女が酒を吞むのを止めたのニャ……。
「もしかして……引き抜きって……ことれすか……!?」
ハイネは呂律が回って言った。
ニャにを言い出すかと思ったらそんニャバカげたこと。
真面目なアヤメが潔く引き抜かれるわけニャいはずニャ。
「んなわけ……」
「らってらって、考えられるならそうとしか考えられらいじゃらいれすくぁ~」
ニャいはず……ニャ……。
「キリエさんが<デイ・ブレイク>がにゅうらんしたころ、らんらくぁわらしらちのことをさけているようなきがして……」
「確かに、それは分かるんだけどよォ……。ん? 俺、避けられていたっけ?」
「奇人、変人揃いの<デイ・ブレイク>だから、避けられるんじゃニャいのかニャ?」
「変人じゃねェぞ! 少なくとも俺はァ!」「へんじんじゃないれすよぉ! わらし!」
――突然、ミャ―たちを照らしていたライトが消える。
何事かと見ていると、閉まっていた幕が開き始めた。
「なぁんだよ……。ショーでも始めようっていうのか」
「えへへ……。たのしいからぁ……いいじゃないれすくぁ~」
「上機嫌だなッ! この……」
「どうしたのニャ?」
アルムの口が止まる。憧れの人を見てしまったかのように。
「あっ、あれは……間違いねェ! オトナシ・アリアだ!」
ステージに一人の女性がライトに包み込まれて立っている。
煌びやかなピンク色のドレスを来た女性。
「みんな~! 今日は来てくれてほんとに……ほんとにっありがとう! オトナシ・アリアです!」
その女性はどこかアヤメと一緒の雰囲気がしたニャ。




