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異世界転移ノ魔術師々  作者: 両翼視前
第四襲 歌衝争儀編
55/85

酒は呑んでも吞まれるな ――キャント・ドリンク――

「今日は豪華れぇ~すよ! 豪華! 酒! 酒ェ! 酒ェエ!」



 ミャ―が<デイ・ブレイク>の机に戻ると、アルムは飯を食べて、ハイネは酒を飲んで……、違うニャ、あれはもう既に飲まれているニャ……。

 足元を見れば既に一升瓶が転がっていて、テーブルにはグラスのタワーを立て、お酒を注いでいるニャ……。


 ため息を吐く。

 この女、酒を飲むと手がつけられなくなるからニャ。


 思えば、――昔、ハイネのせいで<ニヤの尻尾>が壊滅した……。

 ナンパしてきた男をハイネは酒に酔った勢いで灰魔術を発動して……この女の師匠ヴェールがいなければ、<ニヤの尻尾>は灰になったままだったニャ……。


「おぉ、先に頂いているぜ!」

「もう飲んだのニャ……」

「まぁ……、ハイネだから……」

「酒ェっ! 飲まずにはいられらいっ!」


 ハイネが酒を呑みながら叫ぶに叫んでる。

 気持ちのいいほどの呑みっぷりを見ていると……これからどうなってしまうのニャら……。


「なぁ、キリエはどこに行ったんだ?」

 ふと、アルムがミャーに聞いてくる。

 アヤメが<デイ・ブレイク>の机に帰ってきてなかった。ニャから、聞いてきたのニャと思う。

「アヤメニャらジャンヌと楽しく喋っているんじゃニャいかニャ」

「なんだよ、ジャンヌと楽しくお喋りかよ……って、どうして?」

「知ぃ~らニャぁ~い」


 ミャ―がそう言った時、ハイネは酒を呑むのを止めた。

 酒を吞むときは宝物を見るかのように集中しているのに……そんな彼女が酒を吞むのを止めたのニャ……。


「もしかして……引き抜き(スカウト)って……ことれすか……!?」

 ハイネは呂律が回って言った。

 ニャにを言い出すかと思ったらそんニャバカげたこと。

 真面目なアヤメが潔く引き抜かれるわけニャいはずニャ。

「んなわけ……」

「らってらって、考えられるならそうとしか考えられらいじゃらいれすくぁ~」


 ニャいはず……ニャ……。


「キリエさんが<デイ・ブレイク>がにゅうらんしたころ、らんらくぁわらしらちのことをさけているようなきがして……」

「確かに、それは分かるんだけどよォ……。ん? 俺、避けられていたっけ?」

「奇人、変人揃いの<デイ・ブレイク>だから、避けられるんじゃニャいのかニャ?」

「変人じゃねェぞ! 少なくとも俺はァ!」「へんじんじゃないれすよぉ! わらし!」


 ――突然、ミャ―たちを照らしていたライトが消える。

 何事かと見ていると、閉まっていた幕が開き始めた。


「なぁんだよ……。ショーでも始めようっていうのか」

「えへへ……。たのしいからぁ……いいじゃないれすくぁ~」

「上機嫌だなッ! この……」

「どうしたのニャ?」

 アルムの口が止まる。憧れの人を見てしまったかのように。


「あっ、あれは……間違いねェ! オトナシ・アリアだ!」


 ステージに一人の女性がライトに包み込まれて立っている。

 煌びやかなピンク色のドレスを来た女性。


「みんな~! 今日は来てくれてほんとに……ほんとにっありがとう! オトナシ・アリアです!」


 その女性はどこかアヤメと一緒の雰囲気がしたニャ。

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