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異世界転移ノ魔術師々  作者: 両翼視前
第四襲 歌衝争儀編
47/85

極光戦艦、出撃 ――アーク・レインドラ――

 ――コツンコツン。


「スゲースンゲーモノスゲェー! 扉の奥こんな感じだったのかよ! ス……ゲェェェェェエエエエエエ!」


 ハイネは言葉を失い、アルムの目が童心に帰ったようにキラキラと輝く。


「なんじゃアルム、騒々しい」

 ヴェールは我先に先へ先へと螺旋階段を下りていく。

 それを追うようにして私たちも下りていく。


 螺旋階段を下りしばらく真っ直ぐ進むと、アルム、ハイネですら知らないガレージだった。


「ホコリが一つもない……。わたしたちが見たことない入ったこともない部屋なのに……、凄い綺麗に整ってますね!」

「スゲー!」

「下手なところ触るんじゃないぞ!」

「ん……? このレバーはなんだよ……? 下げていいか?」

「これは――」

「……あっ……(わり)ぃ……下げちまった……」


 アルムが右手でレバーを下げる。

 しばらくして左側から給湯装置が出てくる。いかにも熱そうなお湯がアルムの左手に向かって流れ出た。


「おっ! スゲー! なんか出てきた!」

 アルムの左手に湯気が立つほどのお湯が当たる。

「これは我が作業中にカップラァ・メンを食べるためのお湯が出る蛇口じゃ!」

「だから、通りで水があったけぇんだ……」

「――――普通は火傷するんじゃないですかっ!?」


 驚くアルムにハイネがツッコむ。

 よく見れば左手に魔力が集中していた……だから、熱を感じないそんな(たぐい)の魔力をアルムは持っているのだろう。


「っで、どうやってミュゼ・リアまで行くのかニャ?」

 ニヤがヴェールに聞くと不敵に笑う。


「ふふふっ……、これを見るのじゃ! ポチっとな!」


 『ポチっ』というわざとらしい機械音が地下室に鳴り響く。

 すると、私たち目の前に、巨大な何かが姿を現した。

 恐らくは光魔術で透過させて隠していたのだろう。


「ニャっ!? デカすぎニャ!?」

「これに乗っていく!」

「スゲー! カッケェーし乗れるのかよっ!」

 ヴェールがドヤ顔で巨大な何かにもたれかかる。

 アルムは今まで見たことがないぐらいに興奮していた。


「ヴェール、コレはなんなんだ……?」

 私はヴェールに聞く。

 自動二輪車型の魔具も驚いたが、それよりもはるかに上回る大きさだったから。


 龍の顔をした車輪が付いた巨大な何かは龍の鱗みたいに幾層にも貼り合わされた虹色の鋼の装甲は光を反射させて輝いている。

 それはもう目を奪われるほどに綺麗だ。

 見ているだけで私の心を見透かされるような気がした。


「あぁ、これは空陸両用極光戦艦〈アーク・レインドラ〉!

「……あぁく……れいんどら……?」

「どんな状況でもどんな世界でも対処できる……何故なら、ドラゴンにも駆動戦騎ガンバルみたいにも変形できるからッ!」

「……ん……? ドラゴンは分かるけどよぉ……ガンバルってなんだよ……?」

「そういうロボットアニメ」

「よく分かんねェから……まぁ、いっか!」


魔術書(アルバ)! 転移(てんい)魔術! 対象〈アーク・レインドラ〉!」

 〈アーク・レインドラ〉に向かって、ヴェールは転移魔術を発動すると、虹色の空間が創り出されていた。


「中に入るぞ! 中は狭いが馬車と比べたらはるかにマシじゃろう!」


 私たちは空間の中に入って先へ進んだ。


 ♢ ♢ ♢ ♢ ♢


 轟々(ごうごう)とした音が〈デイ・ブレイク〉に鳴り響く。

 〈アーク・レインドラ〉を地上に出そうと上へ上へ登っていた。


「中もカッケェー!」

「そうじゃろう! 何故なら我の最っ高傑作じゃからな!」

「ソファーふわっふわっですよ!」

「人がダメになるソファーを人がダメにならないギリギリまでカスタムした」

「凄いニャ! キッチンがあるニャ!」

「我は料理作れないんじゃけど……」


 どこを見ても私も驚きたくなるほどにこの戦艦の中は凄かった。

 やさしい光を発する光魔術が部屋を明るく照らしている。

 つるつるの白い床に白い壁、それに外の景色が分かる窓。

 〈アーク・レインドラ〉はまだ使ったことがない新品のように見えた。


「キリエンに頼みがある」

「あぁ、なんでも言ってほしい」

「〈アーク・レインドラ〉の操縦席に座ると、我は動かすために膨大な魔力を流し続けなければいけない……。じゃから、時々、マロリーメイトを開けて口に運んでくれないか?」

「了解!」


 上から地下室の天井が開く音がする。


「……よし……」

 ヴェールがそう呟く。

 すると、辺りが一面緑の自然に包まれた。


「いざ、芸術都市ミュゼ・リアへ……出撃じゃァア!」


 ――景色が変わりだす。


 〈アーク・レインドラ〉は私たちを乗せて、ミュゼ・リアに向かって前へ進みだした。


空陸両用極光戦艦〈アーク・レインドラ〉


【マシンスペック】

全長は52.35m。

(前両は27.35m、後両は25m。魔力整備両を中心に戦闘両が左右真上にそれぞれついている)


【主要兵装】

極光魔力砲〈ハロ・アーク〉

極光魔力迷彩器〈ミラージュ・アーク〉

その他


【機体解説】

 〈デイ・ブレイク〉が保持する空陸両用極光戦艦。全長は52.35m。ヴェール・アストライアの遺された遺産を基にヴェール・クリスタが設計した。その為、マナ・リア世界に戦艦は一つしか存在しない。

 機体フレームは魔力をかなり通しやすい希少(きしょう)魔鉄と通しずらい(じゅう)魔鉄の二つを混ぜ合わせた超合(ちょうごう)魔鉄Mと捕獲出来ないと言われている極光龍アーク・ドラゴンの鱗によって設計される。

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