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赤ちゃんなんだから一緒にお風呂に入っても不自然ではないよね。

恥の多い生涯を過ごしてきました。

いえ、今も過ごしています。思い返してみれば恥だらけの人生だったのかもしれない。

だけど懸命に生きてきました。それだけは胸を張って言える。例え、今メスガキママに抱きしめられたまま、哺乳瓶でミルクを飲ませてもらっているとしても。


生きていくため。仕事としてプライドを持って実施している。

なので他人から見たら恥と思われようが、俺からしてみたら誇りだ。


「んんっ……んふっ。ちゅっ……ちゅっ。」

哺乳瓶をメスガキママに支えてもらいつつゆっくりとミルクを飲む。

哺乳瓶の中に入っているミルクはみるみるうちに減っていく。


「はーい、よく飲めまちたねぇー。」

彼女はにっこりと微笑んだ。微笑んだ際にちらりと八重歯が見える。

空になった哺乳瓶を優しく俺の口から引き離して近場にあるテーブルの上に置いた。


「上手に飲めて偉い、偉い!」

彼女は目を細めて俺をじーっと見つめた。そして頭をポンポンと優しく撫でる。


俺の頭を撫で終えて満足した彼女は少しだけ不服そうに頬をぷくっと膨らませた。

「もう少しからかうことができると思ったんだけどなー。」

くるくると指先に髪を巻きつけ俺を睨みつけた。


このメスガキめ。そんなこと言われてもどうしたらいいんだ。

赤ちゃんになれと言われたからプロの赤ちゃんになったのに、文句を言いだして。

からかうだと、ふざけるんじゃない。

これ以上、大人としてのプライドを傷つけられたらたまらない……。


「だぁ!だぁ!」

俺は言葉を発しない。代わりに赤ちゃんのような甘えた声を上げた。

思い知ったか、メスガキめ。俺は赤ちゃんだから不用意な言葉は発しない。

これでからかわれることはないだろう。俺は勝ち誇った顔を浮かべた。


「ごまかさないでよ、育史。」

彼女は鋭利な刃物のように鋭い一言を放つ。じっと俺の目を睨みつけ、顔を数センチの距離まで近づけた。

俺は思わず息を飲む。顔を背けて視線を逸らすと、ジタバタと手足を動かしてその場から離れようとする。


危ない、危ない。危うく飲み込まれるところだった。あまり女性慣れしていないから好きになってしまう。

俺は赤ちゃんだ。ママに恋愛感情を抱くことはいけないし、メスガキにそんな感情を抱いてはいけない。

倫理的にNGである。


彼女はそんな俺の心境を見透かしているかのようにクスクスと笑い出した。

八重歯がちらりと見える。


「あーあ、リーベのこと見て照れちゃったんでちゅかー?しょうがない赤ちゃんでちゅねー。」

彼女は俺を小バカにするように言葉を並べて、ツンツンと頬を指先で突く。


「ふぅー……。それじゃ一緒にお風呂に入ろうねー、育史。」

彼女は耳元に顔を近づけて息を吹きかける。生温かい息が俺の耳の中に注ぎ込まれた。

そして彼女は蚊の鳴くような小さい声で囁いた。

なんとも言えない気持ちよさによって思わず背筋をゾクリと震わせた。


「ハ、ハァ!?何言ってるんだ……。」

声が裏返る。俺は赤ちゃんであることを忘れてしまい言葉を発した。


「あーあ、喋っちゃった。お風呂程度で動揺しちゃってざっこ~。」

彼女は口元を釣りあげてにっこりと微笑んだ。

少しだけ嬉しそうに声色が高くなり、煽るような口調で俺に言葉を投げかけた。


「ち、違う……。決して動揺なんか!!」

メスガキに屈してなるものか。

俺は高鳴る鼓動を抑えつけるように大きな声を出してごまかした。


「はいはーい、それじゃお風呂に行きましょうねー。」

彼女の言葉と共に俺の体はふわりと上空にあがる。

俺は抵抗する暇もなく大人しく彼女に従う。


気が付くと俺は彼女に服を脱がされていた。

ぼっこりと膨らんだ醜い脂肪はお腹の周りに肉付き。

だらしない体を彼女の目の前に晒した。


そのまま俺は浴場へ放り出された。

大理石で出来た床、大人がきっちり肩までつかれるほど充分な広さの浴槽。

俺は浴槽から湯をくみ上げて自身の体にぶっかける。


温かい。冷たかった体に血液が駆け巡る。俺は一息ついた。

扉を開く音がする。


「お待たせ~、育史。」

背後からメスガキの声が聞こえる。

思わず振り向いてしまいそうになってしまったが俺に残された理性が言っている。"やめておけ"と。


「あれあれ、緊張しちゃって声も出ないんでちゅかー?」

ぴちゃり、濡れた床を歩く音が響く。彼女は一歩ずつ俺に近づいてきた。


「育史は赤ちゃんでちゅからね、ママにお風呂入れてもらうのは普通でしゅよー。」

むにゅ。彼女は俺に小さな小さな山を押し付ける。

僅かな感触であるがかすかな柔らかさが心地よい。


「だから後ろを振り向いても……。」

彼女は俺の耳元に顔を近づけた。荒い息使い、ねっとりとした小声で彼女は囁く。


「……問題はないよね、育史。」

ゴクリと生唾を飲み込む。確かに俺は赤ちゃんだし何も問題ないのかもしれない。

後は覚悟を決めるのみだ。俺は自分に言い聞かせ、振り向いた。


「残念でしたぁー。ちゃんと水着でしたー、もしかして期待しちゃった?」

メスガキは紺色のスクール水着に身を包んでいた。まさかスク水まで異世界転移していたなんて!!


ぷっくりと膨らんだ小山、凹凸の少ないボディラインがくっきりと浮かびあがる。

それでいてお尻は突き立てのお餅のように柔らかそうだ。


「き、期待なんかするわけないだろ!!」

思わず素が出てしまう。あぁ、決して期待なんかしていなかった。

メスガキ相手の裸に期待できるわけがない。嘘ではない。本当に。


「えー、せっかく育史の世界からスクール水着っていうのを取り寄せたのに……。」

彼女は不満げに頬を膨らませる。そして俺の背中にぺたりと密着した。

柔らかそうな体を押し付けるように体を揺すってくる。


「お、おい。やめるんだ……。」

「なんで、体を洗ってるだけでちゅのにー。」

赤ちゃんの意識が抜けた俺は彼女に静止を求める。

彼女はクスクスと俺を嘲笑い、やめる気配は一切ない。


こいつ、俺が動揺することを自覚して行動をしているから質が悪い。

俺は深呼吸をした。流石にこのまま調子に乗らせるのは大人としてのプライド、倫理観が崩壊してしまう。

これから先、メスガキママとの親子関係を考慮するなら区別はしっかりつけるべきだ。


「流石にやりすぎだろ。赤ちゃんに対して体洗いは世の中のママはやらないだろ。」

出来るだけ低い声を出してメスガキを牽制する。

睨みつけるかのように鋭い視線を向けて、俺は立ち上がった。


「ひっ!?」

彼女は初めての経験だったのだろうか、大きな瞳には大粒の涙を浮かべていた。


「赤ちゃんだから何をしていいわけではないからな、リーベ。」

俺は彼女の名前を呼んだ。頭をポンポンと触るように撫でて風呂場を後にした。

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