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第27.5話.理事長室で。

 

「・・・・・・ふむふむー。なるほどねぇ。」

「ちゃんと聞いてるのか?マスティマ。」


 二回戦でそれぞれが激闘を繰り広げる中、理事長室の可動式の椅子でぐるぐると周り、机に置かれた紅茶をこくりと飲むマスティマ。


「聞いてるよ。どうやってあの生徒がこの学院の厳しい精査をくぐり抜けて違反したかってことだよね。」

「あぁ。」

「普通ならば、教師に賄賂を渡して・・・・・・って線が有り得るんだけど・・・・・・。」


 頬杖をついたマスティマが、ユーリに鋭い視線を向け問いかける。


「そうじゃ無かったってことだよね。」

「しっかり聞いてて何より。」


 少し離れたソファで座り、紅茶で喉を潤すとこくりと頷き言葉を返す。


「ルードを問い詰めた結果ね。どうやらガドウから『隠蔽魔法』を教えてもらった。との事だよ。」

「隠蔽魔法って言っても、レベルが違うよねー。上級の隠蔽魔法でも看破できる目を持つ教師であるあの子を騙すことができるんだから。」

「ガドウが裏切り者だとして・・・・・・だ。この学院に潜む裏切り者が一人だけとは限らない。」


 それに軽く頷きマスティマは口を開く。


「僕の意向にそぐわない教師は皆、この学院を追い出したから教師陣から裏切り者が出るなんてことは考えたくもないなー。」

「そうだね。」

「まぁ。()()()()()()()()()()()()()()()はあるかもねー。」

「どういうことだ?マスティマ。」

「あくまで可能性という事だよー。」


 不穏な空気が部屋を包む。


「今朝カインから聞いたことが本当ならば・・・・・・マスティマ。」


 オリンピア開催期間であるこの数日で何かが起こる。という事だ。


「アベルたちの襲来で、学院を包む結界も不安定になっている事だしねー。教師陣たちの警備の徹底を心がけよー。今はそれしかないねー。」

「だね。」


 オリンピア出場者は必ず使用する武器の登録をしておかなければならず、登録されていない武器を場内に持ち込んだ時点で失格となる。

 場内に張り巡らされた結界は、観覧している生徒たちを保護するだけのものではなく未登録の武器を持った違反者を炙り出すという用途もある。


 あの結界自体マスティマが編み出した上級を凌駕すると言われる古代魔法に匹敵するほどの性能のため、それを誤魔化す隠蔽魔法となると。


「ルードが使えたこと自体が不思議に思える。」

「・・・・・・そうでもないよ。」

「え?」

「確かに古代魔法に匹敵するとなると、かなりの技量と魔力量を持ち合わせた人間にしか行使できないだろうけどー。」


 椅子から立ち上がると、窓の方へと歩み外を見やるマスティマ。


「一人知ってるんだよねー。自らの使える魔法を一時的に『祝福(ギフト)』として授けることが出来る悪魔を。」

八曜魔王(アウグスト)・・・・・・。」

 「そう・・・・・・八曜魔王の一人。『偽り』を冠する魔王アルコーン。」

 「アルコーン。古い伝承でしか聞いたことの無い魔人たちと魔王たち・・・・・・。その中の一人だね。」

 「因みに言っておくけど、悪魔は天使と違って半永久的に生きれるわけじゃない。死が訪れやがて同じ力同じ性格同じ容姿のまま新しい命として芽吹く。言わば輪廻転生に近いねー。そして二百年周期でそれを繰り返す悪魔は厄介なことに力を増しているんだ。人間である君たちが知っている情報以上のことは望まないでね。」

 「じゃあ・・・・・・。」


 僕たちに勝ち目は・・・・・・その言葉を悟ったかのようにマスティマはユーリにニヤリと微笑む。


 「面白いことに天使はねー。生きる事で力を増しているんだー。それも悪魔と同じ周期である二百年ごとに・・・・・・ね。」


 マスティマは言葉を続ける。


 「しかし困ったー。その天使たちは協力どころかイヴを敵としてみなしているから、カインくん達に力を貸すことはないだろうねー。」

 「そうだね。」

 「この絶望的な状況をくぐり抜けることが出来るとしたら。その窮地に陥りながらも契約者として確実に力を得ているカイン君。そしてガブリエルと契約を結んでいるソフィ・・・・・・あとは、Sクラスの生徒達の成長次第・・・・・・かもしれないねー。」


 正直この世代のSクラス生徒たちは今までに類を見ないほどの才を持ったものばかり。

 未熟な契約者といえど、カインを片手間で圧倒しているルエリアがそれを物語っているだろう。


 「あとは『超越者(ウルティマ)』の協力も得られたら・・・・・・とは思うけど正直ここは厳しいだろうね。」

 「うーん。僕は会ったことないからよく分からないねー。まぁユーリが無理って言うのなら無理なんだろうね。」


 常軌を逸した超越者達でさえ正直太刀打ちできるか怪しいレベルだろう。と睨むユーリ。


 「今は大人しくオリンピアの行く末を見守るしか・・・・・・。」

 「だねー。」


 結局何をすることも出来ないと言う非力さをヒシヒシと味わいながらも、ユーリは紅茶のカップに手をかける。


 理事長室に訪れる静寂。

 これが嵐の前の静けさになるとも知らず。

 ユーリは紅茶を飲み干すと理事長室を後にし、ルエリアとカインの戦闘の行く末を見るため再び会場へ足を運ぶのだった。


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