❶無能とはあまり役に立たない才能も含めて無能というらしい。
人は独りでは生きられないが1人では生きられる。
自分が生きているのは、1人で生きられるのは何処かの誰かのお陰で生きている…生かされているのだ。
まぁ事実だとしても、忘れない様にしなくとも別にどうでも良いだろう…知るも知らぬも自分次第だ。
皐月―――――地球温暖化の影響か、今年の5月は少し蒸し暑い。
1年の頃の入学当初は彼女なんて出来る筈ないし、いらないと思いながらも心の奥で期待していたが…その期待はすぐに崩れ去り、改めてこの世界に救いも奇跡も偶然も運命も本当の友情も本当の愛など存在しないのだ…勿論、神なんている訳が無い…という事を実感しただけだった。
この世界は偽物に溢れている、本物とは1人1人が持つ唯一無二の存在だけ―――――――――――その本物達は簡単に偽りを創り出す、そう…この世は偽りで溢れている。
「…灰坂、ちょっと来い。」
先生から呼び出しをくらった――――――特に何かしたつもりは無い…合ってるかは別として課題は毎日、提出物系はちゃんと提出しているし…何も問題は起こして無い…うん、何もしていない。
呼び出しを受け、連れて行かれた場所は当然だが職員室…そこで突き付けられたのは俺の科学の課題。
「何だぁ?…これ……。」
先生が指を指したのは5番の②の問題だった。
『② この世界は何で構成されているか?』
あっ……。
「…自分で書いたんだ、読み上げてみてくれ。」
「…えっと……嘘を含む理不尽と金…ですかね。」
あぁ…それでか、何で呼び出されたのかと思った…つまりは酷い解答を記入した俺を制裁する為に呼び出したのか。
「…答えは、原子を含む素粒子だ…お前は今まで何を勉強してきたんだ!!」
長い説教で昼休みが潰れる、「やっと終わった…」という気持ちもあったが、それより授業が面倒だという気持ちの方が強かった。
俺は誰かに褒められた事が無い…勿論、家族にも……褒めらたいなんて今更、思いはしない……俺は今まで失敗してきた、成功なんて殆んど無い…プライドはとっくの昔にもう捨ててる、敗北は悔しくない…何も感じ無い。
俺は後悔した事は無い、これからも後悔なんてしないと思う。
それより早く帰ってゲームでもしよう、課題を学校で終わらせておいて家に帰ってゲームをする…結構、良い策略だと思う―――――勿論だがゲームの才能も無いのだ。
俺は希望や自信を持たないし期待はしない、プライドなんて要らない…どうせ安いプライドだ…この世界に救いなんて求めない――――俺と他の人では住んでる世界が違うのだから……。
また明日が来るのを待つだけ……明日は何があるのか、少しだけ楽しみだから俺はどんなに辛い事があったとしても生きていく。
いや、無能と言ったが実際は一つだけ素晴らしい才能を持っている。
その才能は誤解される事だ、俺がやったと言えば全てが真実に変わるやって無くとも偽りでも…俺のせいになるんだ、誰一人も疑問を持たず満場一致で俺のせい、濡れ衣も着せられ放題だ……これが俺に与えられた唯一の才能だ―
―――――――――どうやら神は俺に犠牲者になれと言いたいらしい……まぁ少なくとも神などという者が存在していればだがな…。
灰色の人生を彩るのは自分次第なのだろうからな。
どうも生きて行きます、すみません。
【プロフィール】
名前:灰坂 冬
A型・17歳 4月12日生まれ
中学の部活:帰宅部
好きな食べ物:特に無い
嫌いな食べ物:特に無い
将来の夢:楽して稼げる仕事に就く
特技:誤解される事(無いとも言える)
【一言】
特に無い。