少し前の日常
おれの名前は白川翔
23歳の男で独身
彼女なしの職業ニート。
帰る家も無ければ金もない、けど飲みに出ては金を使う
つい最近までやっていた仕事で貯めた金を使って現実逃避してるような、くそみたいな生活
普段はというと飲みの場で知り合った女性の家やのりで宅飲みっていう流れについていって寝床を確保している
いわゆるクズってやつだ
~半年前〜
「ピピピッピピピッ」
ケータイのアラーム、まだ眠い
時間は朝の5時半
起きなきゃと眠いが戦う時間
職業は建築の職人、ガテン系ってやつだ
17の時からもう5年目になる
毎朝この時間に起きてはかかる時間が片道毎回違う現場に向かって労働をする
1日12000円の稼ぎ
若い衆ながらもらってる額は上等だ。
現場につくと恒例なのが自分の親方へのあいさつ
「おはようございます!」
「…」
これも恒例のあいさつ無視
これだけはほんとに慣れない
あいさつしたあとの沈黙でどーすればいいのかわからなくなる。
そして職長へのあいさつ
「おはようございます!」
「あーおはようー」
直の若い衆じゃなく毎日会うわけじゃないから挨拶は返ってくる。
「自販機にコーヒー買いに行くんですが、なにかいりますか?」
「んー…じゃあブラックのあったコよろしく~」
あったコはあったかいコーヒーの略。この人たちはだいたい略す、つめたいのはつめコっていう。
親方にも一応聞くけど答えはいらない
こんな感じのやりとりが毎日の日課である。
それからぐだぐだ朝礼して、作業
10時と15時に休憩して12時に昼飯を食う
なんとも理想的な毎日同じことの繰り返しのゴールデンリズム
楽しいこともなければ、苦しいこともない
つまらない日常
仕事が終わったら酒を飲むこれがないとやってられない
我ながらマセてると思う
「いいことねーかなー」
飲んだ時の口癖。
あほみたいな口癖だと思う。
いいことがなにかもわからないくせに
この時自分が今置かれてる状況がどんなによかったことかあとで思い知ることになるとは思ってもなかった