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シュープレ  作者: 露瑠
1/1

にゃんこ

「にゃんこプレイ、してみたいな……?」


 一緒にご飯を食べている奥さんに恐る恐る言ってみたら、「……わかりました」と冷え冷えとするような声で了承してくれた。


 そしてその数日後。


 仕事から帰っていつものように夕飯、お風呂を終えてリビングに向かったら、そこにはにゃんこ(奥さん)がいた。

 猫耳としっぽをつけた奥さんがソファに丸まって寝ている。なにこれ超絶かわいい。


「もしかして、この前僕が言ったにゃんこプレイ?」

「んなぁー」

「うそ、うわめっちゃかわいい。ほんとにやってくれるとは思わなかった」

「……」


 奥さんは僕の話を聞いているのかいないのか、顔を明後日の方へ向けては猫手で毛づくろいをしている。超撫でたい。


 その欲求に抗うことなくそっと手を伸ばしてみたら──


「ふしゃー!!!」


 すごく威嚇された。


 思わずびびって手を引っ込める。

 奥さんはそんな僕をひと睨みすると、ソファから降りてどこかへ行ってしまった。


 しばらくは威嚇の衝撃に呆然としていたが、どうにか立ち直った僕は奥さんを追いかけて同じくリビングを出た。

 奥さんはどうやら寝室に向かったようで、いつもは閉まっているドアが開いていた。


 僕も寝室に入ると、今度はベッドの上で丸まっていた奥さんが顔を上げてこちらを見てきた。


 いや、正直に言おう。


 思いっきり睨みつけてきた。


「あ、あの~? もしかして怒っちゃったかな~?」


 ビクビクしながら声をかけたら、ふんっ、と顔をそらされてしまった。僕もう泣きそう。


「さっきは声かけないで手のばしたからびっくりさせちゃったのかな~? さ、触ってもいいかい?」


 泣きそうにながらもめげずに懇願したら、奥さんはいい顔はしないものの威嚇もしてこなかった。これは触ってもいいってことだろう。そう思いたい。


 そっと手を伸ばして、まずは頭を撫でてみる。

 奥さんの髪は黒くつやつやとしていて、とても触り心地が良い。

 次いで身体にも手を伸ばし撫でていく。

 余計な脂肪などついていないのに奥さんの身体はとても柔らかく、撫でるだけじゃもの足りず思わず顔を押し付けてしまった。


 でも奥さんは嫌がる様子を見せない。


 それで調子に乗った僕は、奥さんのお腹に顔を押し付けながら腕や脚を思いっきり撫でさすった。


 そしてその結果。


 僕は奥さんに猫パンチされてしまった。


 とても良い音がした。


 そして奥さんは猫らしく、唐突に気が削がれたかのようにさっと猫耳としっぽを外すと、「おやすみ」と呟いてベッドに潜りそのまま寝てしまった。


 それをまたもや呆然と見る僕。


 そしてふと思い出したことがあった。


「……そう言えば君は猫が大好きだったね」


 そりゃ猫の真似も本格的になりますよね。




旦那さんの望むにゃんこプレイとは

「旦那様構ってにゃん♪」

とか言うやつです。

だから奥さんの行動と同じことを本物の猫はたぶんしませんけど、旦那さんの中では奥さんは本格的な猫になるのです。

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