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74 棒一本も使いこなせない人の防具

 かなりリッチになった僕は、魔法オヤジの元を尋ねた。そろそろ革の服を卒業して防具を買い換えようと思う。そもそもウーナに焦がされて、これ以上の使用は困難だからだ。


「おう、ジャンキーか。第四層から無事に生きて戻ってこられたみたいだな。」

 魔法オヤジ、耳が早いのは良いとして、通り名じゃ無くて名前で呼んで欲しい。僕はいったいなんの中毒者なんだよ?


「防具を一新したいんですが、お勧めはありませんか?」

「ようやくその気になったか。お前の装備でダンジョンを彷徨(うろつ)くなんて頭が逝っていると思ってたんだが。そうか、ようやくまともな思考が出来るようになったんだな。ちょっと待ってろ。」


 魔法オヤジ、思っていたのならもっと早く突っ込んでくれ。色々ありすぎて、自分の装備の事なんてすっかり忘れてたんだよ。そしてオヤジは倉庫の中に入っていった。しばらくすると彼はいくつかの品を出してきた。


「これがオリハルコンの鎖帷子(くさりかたびら)、聖樹の帽子、天馬の靴、残滓の手袋・・・こんな所か。あとマントもいるか?」


 いきなり凄い名前の装備が出てきたんだけど・・・。現在の所持金780万、なんだか足りるかどうか不安になってきた。


「おいくら万シュネですか?」

「お前には世話になったからな。出血大火傷サービスで4500万シュネだ! 闇市ならその10倍はするからな。」


 おい!

 足りねぇぇぇぇぇ!

 足りねぇぇぇぇぇよぉぉぉ!

 また金持ち詐欺かよぉぉぉ。


「お前、いくら持ってるんだ?」

「780万シュネです。」

「そうか・・・。じゃあ700万シュネだけ前金でもらう。あとは出世払いだ。それまでお前の所の燃料代からさっ引く。」

「良いんですか?」

「お前が死んでも、燃料は入ってくるしな。別に損をするわけじゃ無い。だがまあ・・・死ぬなよ。」


 オヤジぃぃぃぃ!!!!


「それからお前が下の階層でアダマンタイトを見つけてきたらもってこい。最高の装備を作ってやる。」


 僕はちょっと涙ぐんだ。でも、宿爺の借金を返したと思ったら、今度は魔法オヤジに借金をすることになった。どこまで稼げば、僕は金持ちだと思って良いんだろうか? このダンジョンにいると金銭感覚すら崩壊してしまう。


 出来ることなら、「満ちあふれる才能」、「最強の装備」、「強力な仲間」、「潤沢な資金」、そんな状態で冒険を始めたかった。まあ夢のリコッテじゃあるまいし、そんなのは夢でしか無いんだけどね。


 そして僕は魔法オヤジから買った装備品を身につける。なんだか強くなった気がした。しかし僕に増長は無い。役割をしっかりと考えるべきなのだ。僕は絶対に前に出ない。後ろで隠れる、そして逃げ回る。小賢(こざか)しい戦法でチクチク戦う。このスタンスを絶対に守る。


 今まで失敗してもたまたま生きていた。しかし少年漫画並みのインフレ率を誇るこのダンジョンで、次に失敗したら生きている保証は何も無い。いや、死ぬ、確実に死ぬ。チキンプレイ? 鶏肉の何が悪い?


 魔法オヤジから装備の説明を受けた。


 オリハルコンの鎖帷子。材質の名前の時点で察しが付きそうだけど、アダマンタイトに次ぐ伝説級の鉱物。強力な対魔法防御を誇る。さらに防御フィールドっぽいものが展開されるらしく、物理攻撃のかなり軽減される。そして重量も軽めで、動きの邪魔をしない。


 聖樹の帽子。かぶっていると体力や魔力の回復速度が向上する。さらに時々、天からの閃きが舞い降りるらしい。気になる効果だ。


 天馬の靴。少しだけ浮くことが出来る。地形効果の軽減が出来るらしい。


 残滓の手袋。手による射程の延長効果。特に素手での打撃時に、自分のリーチに追加効果が生まれるらしい。格闘系の人以外役に立たなそうだけど、実は作業用として重宝するらしい。延長した部分に関しては当然のごとく、自分にダメージは無い。そういえば剣でも同じような物を持ってるなぁ。役に立ってないけど。


 新しいアイテムを手に入れると、ちょっとワクワクしてくる。え、武器はいいのかって? 僕の武器はこの研ぎ澄まされた頭脳だ。だから必要ない。どうせ買っても使いこなせないだろうとか、断じてそういうわけでは無いのだ。無いんだよ?


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