63 有名人のいない夢
コボルト10匹に囲まれるリコッテ。戦闘慣れなどしているはずも無く、ぼーっと突っ立っている。僕は「逃げろ!」と何度も叫ぶ。悲しいことにこれは夢、僕の言葉は届かない。
リコッテがコボルトの一匹に向かってトコトコ歩いて行く。杖を持っているんだから魔術師系? 何か魔法で応戦すれば・・・。って、なんで詠唱も何もせず近づいていくんだ? 夢とはいえ酷すぎる。
コボルトの攻撃範囲に入ってしまったリコッテ。そして・・・突然、杖をスイングする。その一撃で顔が弾け飛ぶコボルト。彼女はというと、杖に肉片が付いたのを認識し露骨に嫌な顔をする。
ハァ?
うん、僕は村でちょっとリコッテ怖いなって思っていたよ。少々ストーカーぽかったしね。でもあそこまで酷いって、夢とはいえさすがに申し訳ない。僕の潜在意識がこれを見せてるんだろうか?
そんな事を考えている間に次々とグチャグチャにされるコボルト達。B級ホラー映画でももう少しマシな演出をするだろう。あの杖って肉弾戦用なの? アダマンタイトだとすると、強度的にはそこらの剣よりも遙かに強いんだろうけど。
「弱すぎね。これじゃ魔法の練習も出来ないわ。」
「第一層はチュートリアルと呼ばれるぐらい難易度が低い階層ですから。こんなところで苦戦するような者は、先に進んでも行き詰まって野垂れ死ぬだけです。」
「まだ先に進んじゃ駄目なの?」
「ここで戦い方の基礎を学んでいただきます。焦りは禁物ですぞ。」
リコッテが侍みたいな人と一緒にいる。侍か・・・。夢に出てくるのは、元の世界でチャンバラ物をそこそこ見た影響だろうか?
「カンチャン! 久しぶりっす」
カッチェが出てきて侍に話しかけている。本当に変な夢だ。
「カッチェ、こちらが大賢者リコリースの子孫、リコッテ様だ。」
「よろしくっす!」
「もしかしてアフタの監視役ってこの人?」
「はい。」
監視?
「第二層のボス戦から張り付いて見てたっす。戦い方が超パ無いっす! とうとう第三層もクリアしたっすよ。」
「アフタが第三層クリア?」
「それよりも聞いて欲しいっす。オレ第三層で死にかけたっす。気配を消してヨクジョーのアニキに張り付いていたら、剣聖の攻撃に巻き込まれたっす。気配を消してるときは耐久力が最下限まで落ちるから、本当に危なかったっす。」
????
「剣聖って女の人よね? どういうことだか詳しく聞かせてもらえる?」
「ヨクジョーのアニキは第三層で女の子をとっかえひっかえしてたっす。オレっちが死にかけたときは、剣聖と仲良く素材集めしてたっす。」
「そう・・・へえ・・・そうなの。」
「あの・・・リコッチ怖いっすよ。怒ってるっすか?」
「え? 怒ってなんか無いわよ。うふふふふふふ。」
「それは良かったっす。とりあえず第三層に行ったらアニキのヨクジョーが見られるっすよ。女の子と穴掘ってそれがまた大変だったっすよ。」
「欲情? 女の子、穴? うふ、うふふふふふふふ。」
そして笑い声は突然止まり、ギリっという歯のこすれる音が聞こえる。リコッテはアダマンタイトの杖を振り上げると勢いよく壁を殴る。黒いオーラに包まれた杖は、壁とその周囲を丸ごと消失させた。
・・・・・・・・・。
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。
うぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!
ちょっと、ちょっと待って。違う、断じて違う! カッチェ、余計なことを。いやいやいや、そうじゃない、そうじゃないんだ!
確かに嘘は言っていない・・・だけど違う、違うんだ!
冷静になろう、これは夢だ。とんでもない悪夢だけど、とにかく夢だ。だから大丈夫だ。ダイジョウブダ。さあ、起きよう。そろそろこの悪夢から抜け出すときだ。
そして僕は目を覚ました。体中に嫌な汗をかきまくっている。やっぱり夢だったのだ。全部あり得ない話ばっかりだったしね。もう・・・ボリハ村には戻りたくないなあ。
【 36日目 】
単価 個数 金額 項目
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4万5000蝸 1個 4万5000蝸 風呂燃料売り上げ50%
-1万0000蝸 1個 -1万0000蝸 借金返済(9)
2万0000蝸 1個 2万0000蝸 鍛冶屋燃料売り上げ50%
-8万2000蝸 1個 -8万2000蝸 ジャンクパーツ各種
[ 残金 193万0800蝸 ]




