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52 そうこうしている間に出来る装甲車

「わ~ん、ごめんなさいですの。」

 クレータから飛び出してくるギデア。救いがあるとすれば、既に出来上がっている方の露天風呂のと距離が離れていたため、そちらの目隠しが一部壊れた程度で収まっていることだろう。そして入浴中だったムサイ冒険者達の、キャーっという黄色い悲鳴が聞こえる。なんなんだ、この世界は?


「力を抜いて、軽くやったつもりだったですの。この棍のせいですの。」

 そう言ってアダマンタイトの棍を恨めしそうに見るギデア。いやいやいや、その棍を作るために、魔法オヤジが死にかけたんだぞ! そもそも、力を抜いて軽く穴を掘るつもりとは、どれだけ無双ぶりを発揮すれば気が済むんだ?


 そういえば、僕よりもクレーターポイントの近くにいたカッチェの姿が見えない。第三層のボスにボコボコにされる程度の実力では、ギデアの一撃に耐えうるはずも無い。死んだか?


「あそこになにか生えているですの~。」

 僕はギデアの指さす方角を見る。うん、何かが生えているな。たぶんカッチェっという生き物の足だ。上半身が地面に突き刺さっている。どうやったらこんな器用な状態になるんだろう?


 僕はカッチェの足を持って掘り起こした。気分は大根を引き抜くかのようだ。上手く引っ張らないと、途中でポッキリ折れるんだよね。


「アニキ、また命を救われたっす。」

 どうやら無事だったらしい。


「とりあえず、開けすぎた穴を埋め戻してくれますか?」

「分かりましたの。」

「カッチェは露天風呂の目隠しの修理を頼めますか?」

「了解っす。」


 コミュ障の僕は、他人と一緒に作業するのがとても苦痛だ。そろそろ一人でコツコツエンジン制作に戻りたい。そんな願いも空しく、この日は露天風呂の増設と修理で終わることになった。



日数  項目          金額     個数 合計     所持金   

-----------------------------------------------------------------------------

30日目 食料           -1万2000蝸  1個  -1万2000蝸  49万8800蝸 

30日目 エンジン部品       -3万5000蝸  1個  -3万5000蝸  46万3800蝸 

30日目 露天風呂建設資材     -6万3000蝸  1個  -6万3000蝸  40万0800蝸 

30日目 燃料売り上げ       6万0000蝸  1個  6万0000蝸  46万0800蝸 

30日目 借金返済(4)       -1万0000蝸  1個  -1万0000蝸  45万0800蝸 




 31日目。僕は相変わらずエンジン作成作業だ。すでにいくつか試作を作り、稼働実験をしている。しかし出力が弱かったり、異常発熱してぶっ壊れたりと散々だった。やはり魔法オヤジの力が必要だ。カッチェの話によると、既に退院しているらしい。僕は鍛冶場を訪ねた。


「おう、ヨクジョウか。ずいぶん世話になったな。感謝してるよ。」

 魔法オヤジにプスプスしていた時の面影は無い。で、ごく自然に僕をヨクジョウと呼ぶのはやめて欲しい。不自然なほど突然広まりだした。誰なんだ、こんな通り名を広めている奴は?


「身体は大丈夫なんですか?」

「ああ、この通りピンピンしているさ。ただ、しばらくアダマンタイトの武器は作れそうに無い。しかし普通の鍛冶なら問題ないぞ。何か頼みがあってきたんだろ? 遠慮は無しだ。」

 魔法オヤジがむさ苦しく、男気を振りまく。まあ、惚れたりはしないけどね。


 そして僕は、エンジンを作るための部品を魔法オヤジに発注した。彼はその程度なら明日の朝には届けてやると言った。


 僕は作業場に戻る。エンジンのパーツが出来るまで、その他の部分の制作に入る。何を作るかって? もちろん第三層を攻略するために必要な物だ。



日数  項目          金額     個数 合計     所持金   

-----------------------------------------------------------------------------

31日目 食料           -1万3000蝸  1個  -1万3000蝸  43万7800蝸 

31日目 エンジン部品       -2万2000蝸  1個  -2万2000蝸  41万5800蝸 

31日目 燃料売り上げ       9万0000蝸  1個  9万0000蝸  50万5800蝸 

31日目 借金返済(5)       -1万0000蝸  1個  -1万0000蝸  49万5800蝸 

31日目 パーツ類         -6万9000蝸  1個  -6万9000蝸  42万6800蝸 


 風呂が増設されたことによって、燃料の売り上げが増えた。さらに明日からは、魔法オヤジも燃料を買ってくれるらしい。どうやら商売が軌道に乗り始めたようだ。




 32日目。魔法オヤジが作ったパーツでエンジンを組み上げる。そしてついに僕の想定を満たすレベルでの開発に成功した。それを平行して作っていた車に取り付ける。まだ見た目はスッカスカだが、これから装甲を取り付けて装甲車を作るのだ。


 第三層、今回の最大のネックは移動時に出現する雑魚の強さだ。とくにスケルトン達は僕の手には負えない。だからボス部屋に至るまで、装甲車でスケルトン達を轢き殺しつつ到達予定なのだ。装甲車が完成した暁には、あの骸骨共を全て踏みつぶし粉砕する。奴らのカルシウム分を草原のアルカリ肥料に変えてやるのだ!


 今は風通しの良い、装甲が無い装甲車。ぶっちゃけ言うとオープンカーだ。さあ、ついにこいつの試運転を始めるぞ!


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