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37 飽き飽きすることは無い秋葉原

 ちょっと問題点を整理しよう。まず、第三層の魔物の強さが驚異的すぎる。あのお爺さんは芋虫が雑魚だと言っていたけれど、今の僕では勝てる気がしない。そもそもこの階層にいる人は、例外なく二層をクリアしている人達だ。そしてあの大樹の魔物を倒してから、ここまで到達しているはずだ。一方僕は・・・反則ギリギリの裏技を使用してここまで来た。つまり・・・実力が伴っていない?


「うぁぁぁぁぁ、なんてこったぁぁぁぁぁ!!!!」

 僕は叫んだ。


 まてまて、いったん落ち着こう。ちょっと情緒が不安定になっている。打開策をいくつか出してみよう。


 1.二層に戻ってまじめに修行する

 2.もっと凄い物を作る

 3.自分の村へ帰る

 4.パーティを組む


 まず1はたぶん無理だ。まじめに修行したところで、僕自身が強くなることは望み薄だ。

 2のもっと凄い物って何だ?いくら何でも限界があるぞ。いったん保留。

 3はもう少し先にとっておこう。今、村に帰るのは、ダンジョンに潜る以上の身の危険を感じるのだ。なぜだか分からないけれど、そんな気がする。

 4は・・・それが僕に可能か不可能か、チンパンジーでも理解できるよね?


 僕はここまで一回も使っていないショートソードを鞘から引き抜いて、それを見つめる。試しに五センチ伸ばして草を刈ってみる。切れた。見えないのに切れるというのは凄い。持つ人が持てば最強クラスの武器になるだろう。そしてリストバンドを確認すると、今ので魔力を一割消費していた。僕が持っていてもまったく役に立たない。完全に宝の持ち腐れだ。リング同様、大して役に立たない。まったく無意味だった。


 とりあえず村の中を見学して回ることにした。村の中は意外に人がいる。みんなここまで到達している冒険者達だ。装備品を見ただけでも、色々な効果が付加されていそうな高級アイテムなのが見てとれる。そして食料の買い付けだけでも、かなりの高い金額がやりとりされている。おそらくここの常連冒険者は、ボッタクリ価格を気にしない程度の稼ぎはあるんだろう。


 さらに武器屋や薬屋を冷やかしてまわる。武器屋は100万オーバーの装備ばかりだ。とてもでは無いけれど手が出ない。薬屋は意外なことに通常価格で販売されていた。ということで所持数が0になっていたライフポーションを買う。ちなみにこの薬屋の店主は魔法使い風お婆さんでは無く、イケメンのお兄さんだった。彼は薬の素材が手に入りやすいダンジョンで、スキルを生かして店を構えているらしい。


 さらにジャンクパーツ屋っぽいところもあった。この手の物が好きな僕はワクワクしながら品物を見ていく。そこでとんでもない物を見つけてしまう。


「これってコンデンサ?これはモータ・・・。こっちはダイオード?」

 意味が分からない。これでは本当に秋葉原のジャンクパーツ屋だ。


「あのぉ、これって?」

 僕は店番をしていた顔色の悪い中年の男に尋ねた。

「四層のドロップだよ。とはいっても地上で売っても二束三文だから、ここに置いていく冒険者が多いのさ。まあ、こんなのでも並べておけば、四層到達を諦めた冒険者がお土産に買っていくこともあってな。」


 ちょっと待て、第四層のドロップって・・・。これから導き出される第四層の魔物はメカ系? 火炎放射器とか散々やってきた僕が言うのもなんだけど、ファンタジーな世界観ぶち壊しですよ?


 この世界のダンジョンは斜め上過ぎる。どちらにしても現時点でこのまま進むのは無理だ。体勢を立て直すしかない。僕はそう結論づけた。


 疲れ果てた僕は村の片隅で僕は野宿する。野宿は無料だ、素晴らしい。


 17日目の決算。


日数  項目          金額     個数 合計     所持金   

----------------------------------------------------------------------------

17日目 朝食セット         -1300蝸  1個   -1300蝸 56万8000蝸 

17日目 食料            -3200蝸  1個   -3200蝸 56万4800蝸 

17日目 魔法の袋(中)      -30万0000蝸  1個 -30万0000蝸 26万4800蝸 

17日目 ライフP(低)         -8000蝸  1個   -8000蝸 25万6800蝸 

17日目 魔虎の爪           5000蝸  1個    5000蝸 26万1800蝸 


 まだまだ資金は残っている。僕は戦える! この世界の経済と。


 しかし冒険者って、魔物と戦うより前に資金繰りで戦う物なのなのだろうか? 世知辛い、世知辛いぞ、この世界。


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