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30 重油の利用が重要だ

 ボス攻略を諦めた僕は、街に戻って換金を行う。


日数  項目          金額    個数 合計    所持金  

-------------------------------------------------------------------------

14日目 モーニングセット      -1500蝸  1個   -1500蝸 6万5600蝸 

14日目 食料            -2500蝸  1個   -2500蝸 6万3100蝸 

14日目 大蜘蛛の核         8000蝸  1個   8000蝸 7万1100蝸 

14日目 焼き蜘蛛          4000蝸  1個   4000蝸 7万5100蝸 

14日目 魔虎の核         1万2000蝸  1個  1万2000蝸 8万7100蝸 

14日目 魔虎の爪          5000蝸  1個   5000蝸 9万2100蝸


 さすがは第二層だけあって実りある結果だ。しばらくボスのことを忘れて、お金を稼ぐのも悪くないかもしれない。


 第二層のボス、このままだと詰みだ。しかし・・・対抗策が無いことも無いのだ。僕は悩んでいる。第二層のフロアボスに対抗するために、僕が思いついたことは少しだけ反則なのだ。ダンジョンを冒険する上での禁じ手である。救いがあるとすればボス部屋は占有ルームとなるので、他の冒険者に迷惑はかからない。


 けれど現時点で僕がフロアボスを倒すには、もうこれしか方法は無い。そして攻撃方法は単純なんだけど、その後の処置が面倒くさい。僕自身の身が危うい。悩んだ結果・・・殺るか。僕はそう結論づけた。そしてこの日は就寝した。




 15日目。ダンジョンに潜った日から、あっという間に二週間が過ぎ去っていった。いったい第十層に到達するのにどれだけ時間がかかるんだろう?ここでふと、妙な違和感に囚われた。


「僕は何のために第十層を目指しているんだろう?」


 もともと村人として生まれた僕は前世の記憶が蘇り、ファンタジー世界のお約束であるダンジョン踏破をしようと思った・・・ハズ。しかし、こんな死にそうになってまで目指すべき場所なんだろうか?自分で考えてみても動機が弱すぎる。まるで第十層を目指すことが僕の心にプログラムされているような、そんな感覚なのだ。


 誰かを助けるためでも、魔王を倒して世界を救うためでも無い。ただただ冒険者になって第十層を目指すというだけ。まあ、前世の記憶がある時点で色々とおかしいのだ。その理由は踏破してから確認すれば良いだけか。その前に死ぬかもしれないけれどね。


 僕はフロアボス討伐の準備を始める。いつも通り食料を調達しつつ朝食を取った。そして作業場に行き、持ち運び容器に重油を詰めた。武器はこれだけだ。よくあるパターンだと火薬だけど、ボスを攻略するのにそんな物は必要ない。火薬に関して、探せば材料はあるかもしれないけれどね。


 僕は槍は作業場に置いた。火炎放射器がある今、邪魔にしかなっていない。魔法の袋に槍はサイズオーバで入らない。いずれは身を守るために携帯性重視の武器を買う必要があるだろう。


 今回は武器では無く別の物を買う。防水グッズだ。これはボスを倒した後に必要になる。


 準備が整った僕はダンジョンへ入る。いつも通り第一層の敵をスルーして、第二層に到着。ボス戦に集中するため、ハッカ油を使い虫除けを行う。第二層を進み歩いて行くと、途中経路の泉の前に到着した。ハッカ油は動物系の魔物には効かない。僕は火炎放射器を構え、注意しながら進む。


 やっぱりいた。今回は獅子の魔物だ。チョロチョロと水を飲んでいる。水の飲み方は猫みたいだけど、身体全体を見た感じでは虎よりも強そうだ。今回は出来るだけ戦闘を回避したい。敵に気づかれる前に隠匿の指輪の力を発動した。運の良いことに僕は風下にいる。もし風上にいたら、ハッカ油の臭いであっさりと気づかれていかもしれない。そもそもダンジョンのジャングルで風というのが・・・いや、考えたら負けだ。


 僕は迂回ルートをとり戦闘を回避する。そのまま奥へと進み、ボス部屋の前まで到達した。準備は万端だ。僕はボス部屋控え室の扉を開ける。「ゴゴゴゴゴ」という効果音。


 さてここまで来ると、これから僕が何をやろうとしているのか、おおよその想像がつくだろう。重油に火を付けて焼き尽くす?否、そんな必要は無い。重油をボス部屋の中で燃やす、それで終わりだ。


 さあ、どうしようも無い作業の始まりだ。


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