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200 超超すごいチョウチョ

「ブフゥゥ!!!!」


 僕の姿を見たベルグレストが突然口から空気を吹き出し、エネルギーの塊を霧散させる。全ての守護者の力を得ようが、それを制御しうる集中力が無いというのは残念と言う他に無い。


「なっぁ、ななななにをやっている!!!!」


 そんなに動揺されるような大それたことはしていない。そう、例えるならば僕は芋虫から蝶になったのだ。これが正しい変態と言えよう。僕の今の姿はこれだ!


 仮面 リコリースのブラ(トップは穴空きの為、視力は奪われない)

 武器 ラバーカップ(なかなかの吸引力)

 防具 鍋のフタ(フリーサイズで24~28cm鍋に対応)


「今まで鈍くさく地面を這いずり回っていた芋虫は生まれ変わった。僕は変態した。あえて名付けるなら、そう・・・変態のアフタ。」

「へ、へ、ヘンタイだとぉぉぉ!!!!」


 リコリースの魔法技術を使い、僕は魔力によって虹色に輝く蝶の羽のようなものを生み出す。そしてベルグレストの側まで羽ばたいた。


「変態した僕は、この世界のシステム的に最強の存在になった。さて、どうする?」

「そ、そ、そんなふざけたことがあるか!」


 そう言うとベルグレストは、手の平に光の矢のようなものを生み出した。


 ヒュン


 次の瞬間、光の矢は僕に向けて高速に撃ち込まれる。さすがは守護者の力と言うべきか、この速度、サドンでも対応するのは厳しいレベルだ。


 カン


 僕は鍋のフタで光の矢をガードした。ステータスカンスト状態の僕の影響で、装備している鍋のフタも鉄壁の防具と化している。しかもシステム的には道具カテゴリーに属しているため、守護者の武器防具無効化の対象にならない。


「はぁぁ?」


 気の抜けた声を上げるベルグレスト。既に一回殺されているんだから、もう少し的確に状況を察して欲しい。


「無駄ですよ。既にステータスに天と地ほどの差が付いています。」

「おのれぇぇぇぇ、ブラをかぶったヘンタイに劣ることなどあり得えん、あってたまるか!」


 ブラをかぶって両手にはラバーカップと鍋のフタ。他人が見たら確かにヘンタイかもしれない。しかし僕も好きでやっているわけでは無い。誰の陰謀でも無い。気がついたらこういう構成になっていた、ただそれだけなのだ。もしこれを僕にやらせている存在がいたとしたら、僕はそいつにラバーカップ百裂拳をお見舞いしてやる!


「いやいや、よく考えてみるとですね、これ・・・ブラじゃ無いかも知れません。」


 僕はふと冷静になってそんな仮説を立ててみた。


「な・・・にを?」

「いやだってほら・・・こんな膨らみの無いブラって普通あり得ませんよ。Aカップですら無いんですから。」


 僕は自分がかぶっている仮面を指さした。すると鋭い殺気が僕を突き刺す。その気配の出所は・・・ベルグレストでは無かった。


「アフタァァァ、殺すわよ!」


 リコッテが観客席から叫んでいる。どうやら・・・リコリースの家系は悲しいほどの貧乳であるらしい。ヤバい、地雷を踏んだ。最後の賭に勝って全てが順調だと思った矢先、まさかこんなところで後々の問題を抱えることになるとは。気の緩みとは恐ろしいものだ。


「あなたはAIギスケ・・・いや、リコリスの指示で動いていたんですよね?」

 とりあえず話題の軌道修正を図ろう。この流れでさっきの失言が水に流れるかも知れない。


 さあ、そろそろ最後のシナリオへ移行する時だ。


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