20 難破しそうなナンパ
第一層のボスを完膚なきまでに叩きのめした僕は帰り道、雑魚の魔物をスルーした。ダンジョンを抜け街に出る。そこで深呼吸をした。
今更ながらにアドレナリンが上昇し、勝利の雄叫びを上げる。観光客一団からの視線が刺さったが、そんなことは全く気にならなかった。
僕はまず、冒険者ギルドに向かった。講習会で第一層をクリアしたら顔を出すように言われている。僕は冒険者ギルドの受付を訪ねた。
「こんにちは。ご用は核の換金かしら?」
受付のおねえさんが言う。
「第一層をクリアしました。」
そう言って僕はコボルトチーフの核を出した。換金時にはいつもギルドカードの提示を求められるので一緒に出す。
「あら、やったじゃない。」
おねえさんはギルドカードを確認しながら、なにやら記録している。そして表情が変わる。
「もしかしてお一人様?」
ドキッとすることを言われた。ボッチなのを突っ込まれた。いや、もしかしてナンパ?
「どういうことですか?」
僕は動揺しつつ聞き返した。
「ギルドカードの情報を確認すると第一層のボス、ゴブリンチーフを単独で討伐したことになっているんだけど・・・。」
「そうだとすると、何か問題があるんですか?」
「問題は無いんだけど・・・。一週間もたたずに単独で倒しちゃうなんてすごいじゃない。」
その言葉に僕は鼻高々となった。
「ただ・・・第二層はパーティーを組んだ方が良いわよ。一層と同じ感覚で降りていって、死んだ人を何人も知っているから。」
無理を言わないで欲しい。コミュ障の僕にソロ以外の選択肢は無い。
「そうですね・・・。考えておきます。」
僕は言葉を濁しつつそう答えた。
そして今までの核と第一層クリアによって、ギルド内のランクが上昇した。付加サービスとしてお金を預けたり、ギルトクエストを受けることが可能になった。ギルドクエストはダンジョンで所定の素材を取ってきたり、街の周辺の採取や討伐クエストがあるようだ。とりあえずゴブリンチーフの核を3万シュネで換金し、冒険者ギルドを後にした。さすがボス、儲かった。
今度は指輪の鑑定をするため魔法屋を訪ねる。いつも通りのグラマーなおねえさんが、僕を見てにっこりと微笑む。僕は指輪が鑑定可能かどうか確認した。どうやらOKらしい。鑑定料は1000シュネ。もちろん鑑定をお願いした。
鑑定結果
隠匿の指輪
発動すると敵に気づかれにくくなる
魔法が使えなくても使用可能
発動中は魔力を消費する
やっぱりマジックアイテムだった。効果は・・・実際に使ってみないと有用性が分からない。そして魔力を消費って、僕に使えるのだろうか?僕はおねえさんに質問してみた。
「魔力は人間ならだれでも少しは持っているはずだから、使用は可能なはずよ。ただ、魔力が少ないと持続時間が短くなるわ。君の魔力だと・・・1分ってところかしら。」
1分・・・微妙な時間だ。まあいざというとき逃げるのには使えそうだ。
「自分の魔力の残量は、分からないわよね。魔法の素養がある程度高いと認識出来るのだけど。そういう人のために良いアイテムがあるわよ。」
そして魔力計リストバンドをお勧めされた。装備すると色で魔力残量が分かるらしい。2万シュネ、高い。無いと困りそうなので買った。さらにマジックポーションをお勧めされた。マジックポーション(低)、8000シュネ。それも一つ買った。ゴブリンチーフを売った金があっという間に無くなっていく。この世界、どれだけ金が必要なんだ?今回は買い物をしてくれたからと、特別と鑑定料をオマケしてもらった。
そして夕食のお祭りフルコースセットを食べて、この日は終了した。明日はついに第二層だ。ワクワクがとまらない。ギルドのおねえさんには脅されたけど、第一層を突破した僕なら何とかなるだろう。
6日目決算
日数 項目 金額 個数 合計 所持金
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6日目 香辛料、油 -6600蝸 1個 -6600蝸 3万7700蝸
6日目 食料 -3000蝸 1個 -3000蝸 3万4700蝸
6日目 赤スライムの核 1200蝸 1個 1200蝸 3万5900蝸
6日目 ゴブリンチーフの核 3万0000蝸 1個 3万0000蝸 6万5900蝸
6日目 魔力計リストバンド -2万0000蝸 1個 -2万0000蝸 4万5900蝸
6日目 マジックP(低) -8000蝸 1個 -8000蝸 3万7900蝸
6日目 お祭りフルコースセット -4000蝸 1個 -4000蝸 3万3900蝸
所持金が減っている・・・。




