185 ビルのように伸びるかもしれない件
センサー系はなんとか掌握した。動きにの方は神経伝達でいけるらしく、自分の手足を動かすかのように操作可能だ。六本腕骸骨に敵対行動と見なされないように、近づかないように操作練習を行う。
「ええっと、武器は?」
僕が設計したロボットは、核による魔力を使ったホーミングミサイルが搭載されていたはずだ。ジャンル別メニューから武器情報を検索する。
「・・・無い。武器が載ってないぞ!」
どうやらホーミングミサイルは、小型化する段階で実装不可能になり却下されたらしい。
「ギスケェェェ!!!!」
僕はまだ会ったことの無い天才を呪った。つまり素手で殴れと? 今度はジャンル別メニューから魔法を検索する。どうやら魔法の使用は可能なようだ。とにかく使い方の確認だ。
「ぎやぁぁぁぁ!!!!」
僕はあまりの内容に叫んだ。ゲキカラン搭載システムは、操縦者の魔法を強化して使用することが可能という素敵システムだった。つまり魔法が使えない僕には豚に真珠、猫に小判、そして無用の長物だ。
もしかしてこれはギスケの嫌がらせか? 伝言によると第三層の工場は彼が管理していたらしい。勝手に使ったのは悪かったけど、命がかかったこの局面でのこの嫌がらせ。あまりにも無慈悲だ。
他に手は無いか検索していくと、ようやく使えそうな機能が見つかった。手持ちの武器を使わせることが可能らしい。僕の手持ちの武器、たぶん誰もが忘れているかも知れないけれど、実はずっと装備し続けていた。そう、伸びる剣だ。
「伸びる剣を装備!」
すると僕の腰に装備されていた剣は、ゲキカランの手元に転送された。やったと思ったのもつかの間、僕は己の失敗に気づいた。
「ぐわぁぁぁ。」
六本腕骸骨が襲いかかってきたのだ。武器を手に取った時点で敵対行動と見なされたのだ。一瞬で間合いを詰めた骸骨は、槍をゲキカランの胸の部分に突き立てた。僕がそれを認識できるのは、情報として通知が送られてくるからだ。
僕を乗せたゲキカランは吹き飛ばされて壁に激突する。その瞬間、機体のステータスチェックが行われている。ダメージ軽微、損傷は装甲の一部が多少変形しただけだ。しかし良いことばかりでは無い。僕は恐ろしい事実を知る。痛みのフィードバックだ。胸の辺りを思いっきりパンチされたような衝撃が響いている。痛い、恐ろしく痛い。
その時、僕の脳に警告が送られてきた。骸骨は弓矢を構えている。それだけでは無い。矢に異常なエネルギーが収束している。これ、避けないとヤバい奴だ。僕は壁にめり込みかけているゲキカランの体勢を立て直し、矢の狙いから外れるため跳躍した。
「ごふぅ。」
僕はまた壁にぶつかった。思いっきり跳躍したら、想像以上の速度で吹っ飛んだのだ。結果として、さっき攻撃を食らったときよりも深くめり込んでいる。
ドゴォォォン
爆発音のようなとのが聞こえた。情報を確認すると矢が着弾した音のようだ。僕がさっきいた場所の壁が大きくえぐられている。どうやら回避には成功したようだ。
まともなコントロールすらままならないこの状況、勝てるのかこれ?




