165 リソースに含まれる素数
さて、オモイカネの次の問題はこれだ。
「7114829 9214829 3514829 次に来る数字を答えよ。」
僕は三人の様子を確認する。既に問題をろくに見てもいない。内容を知っているブレアはともかく残りの二人、少しは考えるそぶりぐらい見せて欲しい。ここまで丸投げとは、いっそ清々しい気すらしてくる。
「3814829」
僕は答えを言った。
ゴォォォン
一問目と同じ反応だ。正解だったらしい。さっきみたいに親父ギャグが答えだったらどうしようかと若干ひやひやしたけれど、今回はまともな答えだった。
「連続正解か。しかし答えの数字を見ても、繋がりがさっぱり分からないな。」
サドン、僕が答えを口にしてから問題を見るのは違うんじゃ無いか?
「素数が逆に並んでいるだけだよ。一問目より簡単だった。」
「ひぇぇぇ。」
スコヴィルが大きく開けた口に手を当てている。アクビかな?
「素数? ええっと確かに・・・。ただ、答えを出すのに計算をしている素振りが無かったけれど?」
ブレアが不思議そうにしている。
「え? 別に計算しなくてもパッと出る物じゃ?」
「・・・。」
なんで沈黙?
「さあアフタ、この調子で残りの問題を片付けていこう!」
重くなりかけていた沈黙を破ったのはサドンだった。それはありがたいんだけど、片付ける人をちゃっかり僕限定にしているのが気になる。
そして僕は残りの問題全てに正解した。一番考えるのに時間を使ったのは最初の親父ギャグだという悲しい事実。全ての問いに正解した結果、元々真っ白だったオモイカネがさらに真っ白に光り出す。漂白剤もびっくりの白さだ。そしてオモイカネは消えていった。
「第七層クリアです!」
スコヴィルが嬉しそうに跳ねた。
「あのギルダインを苦しめた謎かけを、ここまであっさり解くとは・・・。」
ギルダインはたぶん、あの親父ギャグに引っかけられたんだろうなあ。
「アフタ、次もこの調子で頼む。」
サドンが白い歯を見せてキリッと笑う。・・・もういいや。
そして僕たちは恒例の宝箱を確認する。入っていたのは4つ。魔晶石、眼鏡、イヤリング、鍋のフタっぽいもの。明らかに外れが混じっているのは僕の気のせいでは無いはず。
「鑑定のスクロールを。」
ブレアが魔法の袋からアイテムを取り出した。なんと、そんな便利な物があったのか。
そして鑑定結果は以下の通り。
永久魔晶石 一定量の魔力を永久に供給し続ける 出力量は箱庭を維持するのに十分な程度
透視眼鏡 装備を透過する眼鏡 つまり・・・
集音イヤリング 周囲の音を拾い集める
鍋のフタ 鍋のフタ
おい、名称と内容が完全一致しているアイテムが混ざってるぞ! 責任者がいたら小一時間問い詰めたい。何故それを混ぜた?
結果として「永久魔晶石」は箱庭の燃料として使うことになった。出力量を考えると武器転用しても意味は無いようだ。
「透視眼鏡」はサドンが欲しがった。他のメンバーから特に異論が出なかったため、彼の物となってしまった。男にとってはあまりにも夢のアイテム・・・悪用しないことを祈るばかりだ。まあ、変な使い方をしたら一発でばれるけど。
「集音イヤリング」はブレアが装備することになった。これでカッチェの不意打ちが防げるかも知れない。
そして最後の「鍋のフタ」これは僕の手元にある。何故かって? 誰も欲しがらなかったからだ。 これをどうするかで無駄な沈黙が続きそうだったからつい、「僕がもらっていい?」と言ってしまったのだ。まあいいや、魔法の袋(大)は容量無限だから。不要品区画、ラバーカップの隣にでも入れておこう。これが物語とかなら実は凄い効果があったりするんだろうけど、鑑定しているのだから、それ以上の効果など無い。絶対に使う時など来ないだろう。




