150 女の戦いをしている者がおんな
「・・・95356295141.3、類推出来るものを描け。」
「え?」
「7114829 9214829 3514829 次に来る数字を答えよ。」
「????」
剣聖ブレアがよく分からない数を並べる。全然、何を言っているのか分からない。
「これが第七層の出す問いの一部。分かる?」
「全然。こんなの答えられる人がいるとしたらアフタぐらいよ。」
「そうね。アフタなら何とかなるかも知れない。」
まずい、第七層は知識戦か。全く攻略できる気がしない。カンゾウは無理そうだ。カッチェもたぶん駄目だろう。サルミアキはもしかしたらこういうのは強いかも知れない。
「ちなみに第六層のボスはどんなのなんですか?」
「第六層のボスはシゥゾゥ。心の強さが試される。あそこの攻略も難航したわ。」
心の強さ? 何それ?
「攻略時間を考えると、どうやらアフタはあっさりと突破したらしいわ。私の思っていたとおりだった。」
もしかしてこの人、アフタを狙っている?
「ずいぶんとアフタを評価しているのね。ちなみに私とアフタは許嫁だから。」
「許嫁?!」
なんだろう、ダンジョン攻略とアフタの話の反応の落差は? 剣聖ブレアはしばらくの間、驚いたような表情をしていたけれど、すぐに表情を戻す。
「そういう設定・・・。」
ボソリと言う。彼女は時々よく分からないことを言う。とにかくダンジョン攻略の先輩であることは確かだ。できる限り情報を引き出しておこう。
そして私は宿屋に戻った。剣聖ブレアから情報を引き出す過程で、私からはアフタの情報を散々引き出された気がする。色々な意味で要注意な相手だ。しかし最後には私が勝利することとなった。どうやって勝ったか? 簡単なことだ。アフタからパンティを送られた話をしたのだ。 最後の剣聖ブレアの顔は、私が勝利を確信するのに十分な表情だった。
その日の夜、私達のパーティーは第六層攻略に向けて作戦会議を行った。まずは耐熱装備を調えること。しかしボス戦に関しては決定打となる案は出なかった。何度でも挑戦できるので命の危険は無いという話だ。今までに比べれば逆に緩いぐらいだ。とにかく挑戦してみるしかない。心の強さに自信は無いけれど、アフタに会いたいという気持ちは誰にも負けるつもりは無い。
そして次の日、私達は装備を調え食料を調達し、再び第五層のボス部屋まで移動する。今回移動したのは第三層のボス部屋までと、第四層の裏手に回る部分だけだ。それ以外は転移アイテムのおかげで、瞬間移動で済んでいる。
誰もいない第五層のボス部屋の階段を降り、ついに第六層に到達した。第五層とは真逆、そこはひたすらに赤と黒が続く灼熱の大地だった。
「暑いっす。暑いのは苦手っす。」
「寒いのも苦手よね?」
「寒いのも暑いのも勘弁してもらいたいっす。」
確かに暑い。周囲は溶岩が各所に吹き出ていて、火傷しそうな蒸気が巻き上がっている。気をつけないと本当に危険だ。あれに触れたら暑いでは済まない。
「カッチェ、心頭を滅却すればまた火も涼しだ。」
今言ったカンゾウの語音はどこかで聞いたことがある。
「それってどこの言葉?」
「ボロディアの故郷のことわざです。故郷がどこなのかは分からず仕舞いですが。」
思い出した。そういえば昔アフタも言っていた。雪がちらつく頃、アフタが修行だと言って滝に打たれていた時だ。あの時、私は「寒くないの?」と聞いた。その時の答えがさっきの言葉だ。それを聞いた私は「火が涼しいのなら、ますます寒いんじゃない?」って言ったら、少し考えた顔をして「そうだね」って青い顔になって震えていたっけ。アフタは頭がいいのか悪いのか、私には理解できなかった。馬鹿と天才は紙一重という言葉もあるらしいので、アフタはきっとそれなのだろう。




