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149 パンとティーセット

 私はこの意味の分からないパンティを魔法の袋にしまった。いったい何を考えてこれを渡したのだろう? 一人で考えてもまったく結論が出ない。誰かに相談・・・カンゾウやカッチェは避けたい。そうなるとサルミアキか。

 

「ちょっといい?」

「はい、どうなさいました?」


 私はサルミアキの部屋へ行った。彼女はラフな服装に着替えていた。


「ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」

「なんでしょう?」

「突然だけど、男が女に下着を送るとしてどういう意味があると思う?」

「いくつか考えられますが、その男女が恋人関係にあるとするとそれほど不思議なことではありません。都会の街では珍しいことではありませんので。」


 なるほど、都会は進んでいるのね。でも、アフタと私は・・・。


「もし恋人では無かったとすると?」

「・・・へ」

「へ?」

「変態ですね。」


 変態? 変態なのアフタ?

 

「あ、そうなのね。分かったわ、ありがとう。」


 私は自分の部屋へ戻った。ベッドの上に寝転がり目を閉じた。アフタは私を恋人だと思っているのだろうか? 村では許嫁だったし、彼がそう考えているとしても不思議は無い。口元が緩むのは何故だろう? しかしアフタは突然すぎる。この前は逃げたと思ったら、今度は都会の習慣を試してくるなんて。まさかとは思うけど、色々な人に下着を送るのが趣味な、へ・・・じゃ無いわよね。

 

 少し頭が混乱している。お湯にでも浸かって落ち着くことにしよう。私は当初の予定通り浴場に向かった。浴場の周囲は以前よりも賑やかになっている。甘味処のバリエーションが増え、お土産屋のラインナップがすごいことになっている。ダンジョン特産品と銘を売っているものが増えているようだ。そうか、地上から人が来られるようになったから、上からの観光客目当てなのか。


 もともと賑やかそうな場所ではあったけれど、さらに周囲の人々は浮き足立っている。話し声に耳を傾けると、どうやら浴場に剣聖ブレアが来ているというのだ。確かにざわつきもするだろう。ちょうどいい、話をしてみたいと思っていたところだ。


 私は脱衣所で服を脱いで浴槽に向かった。湯に浸かる前は掛け湯をするのがマナーらしい。私はそれを済ませてお湯に浸かる。中には何人かの客が入っていたけれど、その中から剣聖ブレアを見つけるのは容易いことだった。持っているオーラが他とは違う。いや、オーラが分からなかったとしても、他の客達が遠巻きにしているので一目瞭然だ。


「こんにちは、隣、いいかしら?」

 私は剣聖ブレアに声をかけた。

「好きなところにどうぞ。」


「初めまして、私はリコッテ、第五層の攻略を終えたところよ。それとアフタの幼なじみ。」

 私はブレアの隣に移動し、自己紹介をした。

「アフタの・・・。」

 第五層攻略には何の興味も示さなかった彼女は、アフタという名前に反応する。


「幼なじみというのは、向こうでということ?」

「向こう? ボリハ村という場所よ。」

「それじゃ、こちらの世界の幼なじみ?」


 ブレアは不思議そうな顔をしている。私とアフタが幼なじみなのがそんなに不思議なのだろうか? こちらの世界という意味がさっぱり分からない。彼女はいったい何を言っているんだろう?


「ブレアさん、第七層の攻略は進んでいるんですか?」

「・・・残念ながら。第七層のボスのオモイカネで足止めを受けている。オモイカネは力ではなく知恵が試される相手。第六層のボスと同様、強ければ攻略できる相手では無いわ。」


 え? もしかしてダンジョン後半戦のボスって力でねじ伏せるとか通用しなかったりするの? これは少々厄介かも知れない。


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