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135/208

135 いい角度からの威嚇

 私は自分のステータスを確認する。


 名前  ボロディア

 職業  剣士(見習い)

 レベル 5

 スキル 斬撃補正Lv1 打撃補正Lv1

 体力  42/50

 魔力  10/10

 状態  通常


 ついでに武器の状態を見る。


 安物の剣

  基本攻撃力 12

  強化補正  4

  練度補正  12

  消耗補正  -5



 現在私がいるのは、トルキア大空洞の地下一階。

 チュートリアル的な場所である。

 この階層のボスはボブゴブリンLv4。

 事前にレベルを上げていけば、ソロでも何とかなる敵だ。  


 さらに管理者権限を使いサーバの状態を確認。


 サーバノード番号 1(3)

 CPU使用率 34%

 メモリ使用率 22%

 エラー発生 350回/時 


 ちょっとエラーが多い。

 私はログを確認して、沢山のエラーを出しているモジュールを切り離す。

 今回はエフェクトの状態を送るためのモジュールなので、切り離しても問題は無い。

 このシステムは多少エラーでは鯖そのものがダウンするようなことは無い。

 しかしモジュールがクラッシュするたびに、再ロード用のスレッドが走るのはよろしくない。

 後で修正の必要がある。


 そして私は大きな扉の前に立つ。

 この先はボス部屋だ。

 自分で作ったはずなのに、初めてのボス戦はなかなか緊張してしまう。

 ステータスに脈拍数の上昇が表示される。

 ウエアラブル端末と連携して、体の状況に合わせたボーナスが付くようになっている。

 端末を身につけていない人は、単純にそのボーナスを得られない仕様になっている。


 扉を開け中に入る。

 するとそこにまた扉がある。

 入ってきた方の扉を閉めると次の扉が開く仕組みだ。

 これはボスと戦える最大人数を調整するためだ。

 そうしないとゲームバランスが崩壊してしまうからね。

 適正人数は四人。

 それ以上だと、次の扉が開かない仕組みになっている。


 私には仲間がいない。

 何故なら、まだ自分だけでテストしている段階だからだ。

 そして私はボス部屋に通じる扉を開いた。


 ボブゴブリンは幅広な剣を手に持ち佇んでいた。

 私は一気に突入する。

 安物の剣を大ぶりし、ボブゴブリンを攻撃。

 ガっという手応えがあった。


「ギヒャァァ。」


 ボブゴブリンが威嚇なのか悲鳴なのか分からない声をあげる。

 こんな声を実装した記憶は無い。

 GISUKEがやったのか?


 今度はボブゴブリンの攻撃だ。

 一撃目で体勢を崩していた私は、もろにその攻撃を受ける。

 左腕に衝撃を感じる。

 私は身体ごと吹っ飛ばされる。

 それに続いて強烈なしびれを伴う感覚と痛み。

 痛み?


「え?」


 ちょっと待て。

 そういえば、何かおかしい。

 この世界はGISUKEによってリアルに作られている。

 しかし360度、私がどこを見渡してもこの世界なのだ。

 自分の部屋がどこにも無い。

 私が使っているのはVRではない。

 ただの液晶ディスプレイなのだ。


 ボブゴブリンが迫ってくる。

 幅広の剣は僕の血で、少しだけ赤く染まっていた。


「まてまてまてまて。」


 その叫びも空しく、ボブゴブリンが幅広の剣を振り上げる。

 私は何とか体勢を立て直し、入ってきた扉に向けて駆け出そうとする。

 背中から鈍い衝撃が体に走った。


「うわぁぁぁ。」


 私は叫ぶ。

 全てが終わった。


 ・・・・。

 ・・・・。


 私は飛び起きた。

 そこは・・・自分の部屋だった。


「夢か?」


 どうやら寝落ちしてしまったようだ。


「痛い。」


 私は左腕をさする。

 痺れていた。

 たぶん変な体勢で寝てしまっていたのだろう。

 じんじんする左腕。


 気が付くと体中が汗でべとべとになっている。

 この気持ち悪い汗を流そうと風呂へ向かう。

 服の中に手を突っ込んで、背中にしたたる汗をぬぐう。

 べちゃべちゃで凄い量だ。


 そしてふと気付く。

 汗をぬぐった手が赤いことに。

 これ汗じゃ無い・・・。

 赤黒い血だ。


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