109 目が光のメガ盛りだ
猛吹雪の中、僕達を乗せたスノーモービルは雪崩に巻き込まれた。自然の驚異って、魔物よりよっぽどヤバくない?
「アフタさん、大丈夫ですか?」
「え? たぶん・・・。ええっと、どういう状況ですか、これ?」
状況を整理しよう。雪崩が起こる前にスバードが白熊を探知した。戦闘をしても時間の無駄だ。僕達はそのままワキをすり抜けたのだ。上手くいったと思ったのもつかの間、強烈な波動のようなものを感じたと思ったら、次に起こったのは地響き。そして吹雪の中から巨大な何かが流れ込んできた。雪崩だと認識したときは手遅れだった。
おそらく雪崩は白熊の能力だったのだろう。さすが第五層の魔物。フィールドモンスターもけっこう強さに差がある。上の階層ならフロアボスにもなれるレベルだ。
「水の守りで雪崩の力をいなしました。そこに空気を詰め込んで空間を作ってあります。」
「なるほど、生き埋め一歩手前で踏みとどまっている感じですね。」
僕達は雪崩た雪の下にいる。スコヴィルの魔法のお陰でどうやらダメージ無しだ。さすが魔法チート・・・じゃなくてスキル持ち。そして雪に閉鎖された空間に、ボヨンボヨンした光の玉が飛び跳ねている。
「召喚精霊のウンディーネです。少しだけ発光効果があるので召喚しました。」
「召喚魔法なんて使えるんですか? 凄い、初めて見ましたよ。」
「え? アフタさんもウーナちゃん達を呼び出してますけど?」
え? たぶんというか絶対原理が違う。僕のは転送とか取り出しているだけだ。たぶん精霊は魔力とかを使って呼び出しているはず。
「精霊って魔力を使って呼び出すんですか?」
「そうです。」
やっぱり。ということはつまり・・・。
「スコヴィルさんの魔力って、今のでどのぐらい使いましたか?」
「さっきまでで水と風と召喚魔法を使っています。総量の二十分の一ぐらいです。」
5%が多いのか少ないのか微妙なところだ。しかし極力節約していくべきだろう。
「あの白熊は僕がなんとかします。スコヴィルさんはボス戦に備えて魔力を温存しておいてください。」
「はい、分かりました。何かお手伝いは?」
「たぶん、僕だけで何とかなります。」
そして僕は上空を旋回中のスバードに地上の状況をスキャンさせた。白熊はちょうど僕達の上を彷徨いている。のこのこ出て行ったら、いい的にされるだろう。
「ウーナ、スバードからのデータをリンクする。エネルギー充填、照準!」
僕はウーナを呼び出しレーザ砲撃の準備を行う。白熊の位置はほぼ真上だ。黒豹タイプとなったウーナはレーザーもパワーアップしている。発射までに時間がかかるのが難点だけど、今回はおあつらえ向きの状況だ。そして準備が整う。
「ハ・・・」
僕が発射と言い切る前に既にウーナは砲撃していた。格好付かないから、息を合わせてくれ!
ウーナのマイペースなレーザー砲撃は、僕達の上の雪を光の塊に変える。しまった、もろに見てしまった。
目がぁぁぁぁ!!!
目がぁぁぁぁ!!!
僕の目がブラックアウトしている中、たぶんレーザー砲撃は白熊に直撃した。
「アフタさん、上に穴が空きました。ここから出ましょう。」
「目下、視覚がブラックアウト中です。」
「え? 大丈夫ですか?」
「スコヴィルさんは大丈夫なんですか?」
「はい、眩しそうなのが来ると思ったので、水の魔法で余計な光をフィルターしました。」
的確な状況判断能力と魔法技術だ。さすがは正攻法で第五層まで来た冒険者。まあ、雪の中で行き倒れてたけど。
雪の上に出ると白熊は片足が消滅していた。しかし出血はそれほどでは無い。まだ生きている。僕はアイボウを召喚し攻撃命令を出した。首筋めがけて牙を向けるアイボウ。それを手で振り払おうとする白熊。しかし片足を失った白熊は、本来の力をまったく発揮できない。結果、しばらくのもみ合いの末に白熊は動かなくなった。勝負は付いたのだ。
僕はドロップを回収する。実はその後が大変だった。理由はスノーモービルの回収だ。僕達とは違う場所に埋まっていたため、探すのと掘り起こすのにそれなりに時間がかかってしまったのだ。そして夜がやってきた。今日進めたのはここまでだった。
【 47日目 】
単価 個数 金額 項目
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4万5000蝸 5個 22万5000蝸 風呂燃料売り上げ50%
2万0000蝸 5個 10万0000蝸 鍛冶屋燃料売り上げ50%
-2万0000蝸 5個 -10万0000蝸 防具返済(7)
[ 残金 264万6700蝸 ]




