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始まり

まだまだな作品ですがよかったらみてください。

「あっ、あのすいません」


「なんだ」


  これが私とあの人との初めての出会い。

  全てはここから始まった。


  私は人を騙して物を盗む、つまりは盗賊として日々金を稼いでいた。

  そして今は目の前のこの黒いローブに身を包んだ男を標的にしていた。


「実は私、道に迷っちゃって…よかったらでいいんですが、街まで送ってくれませんか」


  男は大きなため息をついたものの手招きを小さくして、私を先導してくれた。

  親切な人を騙すのは心が痛む…いや、もう慣れてしまったかもしれない。


  しばらくすると私は街からだんだん離れた人通りの少ない場所に誘導されているのに気づいた。


「いつから気づいてたんでしょうね?」


  私は男に探りをいれた。


「ほう、急にそんなことを言ってどうしたんだ? なにかやましいことでもしてるみたいじゃないか」


「完璧に気づいてるのにその対応は性格悪いですね」


  男の無表情だった顔から笑みがこぼれた。

  撤収したほうがいいと本能的に感じた。あれは獲物を狩る顔だった。


「おいおいそう身構えるなよ」


「いや~そう言われても、さっきまで無表情な人が急に笑うとか怖いですよ」


  逃げ道は私の後ろにある。だが、あの男の不敵な笑みから察するに何か罠がある。

  しばらくの沈黙が続き、男が口を動かす。


「どうしたんだ? 逃げ道はお前の後ろだぞ」


「盗賊にも、敵に背を向けるなど、というの精神があるのかもしれませんね」


  私は少し強がってみたが、高確率で罠があるということだ。

  そして彼は、その罠を教えても勝算があるくらい余裕みたいだ。


「仕方ないです、正々堂々正面から行かせていただきましょうか」


  私は懐からナイフを出し、そのまま男との間合いを詰める。

  ナイフで思い切り男の心臓を切り刻もうとした瞬間、男は杖で私のナイフを止めた。


「いや~杖とか魔法使いだと思ってたのに、なんなんですか、杖使いとかですか?」


「魔法使いにも体力や筋力も大事だというだろ?」


  武術も完璧な魔法使いとか、私の観察眼も落ちたものだと痛感した。

  しかし、盗賊が一番大事なものは宝などではない、自分の命だ。

 

「知ってます? 質問を質問で返すのは少しお馬鹿さんなんですよ」


  私はマントの下に隠しておいた煙玉を取り、それをそのまま地面に投げつけた。


「それでは私は命が惜しいので逃げさせてもらいます」


  煙に紛れて、姿を消す。

  忍者の里を襲った時に身につけたスキルだ。


「セイン!」


  男の一声と同時に、私の腹に何か重たい感触が伝わる。

  私は剣の鞘で殴られたのだ。

  気づいたときには私は地面に寝そべっていた。


「おい、クロ! 今は一体西暦何年だ?」


「630年だが?」


「確かに俺が死んだら死体は使っていいっつったけどな、死んで一年も経たずに呼び出すか? 普通!」


  私がうずくまってる中、セインとかいう男があの男と揉めていた。

  それにしても死んで一年も経たずに、というのはどういうことなんだろうか。


「う…あ、あのすいません」


  するとセインとかいう男は驚いて私の方を見る。


「おい、セイン! まさか殺す気でやったんじゃないだろうな?」


「そ、そんなわけないだろクロ」


「あ…あの」


  しばらく男、いやクロとかいうやつはセインを叱っていた。

  ようやくこちらに気づいて私の寝そべっている場所に向かってきた。


「大丈夫か? 少し懲らしめる程度で済ませようと思っていたんだが」


「一応身体は頑丈にできてるんで」


「それならよかった」


  彼は思ってた以上にいい人間らしい。

  あの目は既に何人かは殺している目だと思っていたが、案外思い過ごしかもしれない。


  というか、今気づいたがあの赤と青のオッドアイ、底がないほど真っ黒な髪、これはまさしく。


「ネクロマンサーですか!」


「そうだが」


  まさかこんなところでずっと探していたネクロマンサーを見つけられるなんて。

  これは私の観察眼はやはり腐ってなかったようだ。


「おいおい、俺よりクロの方が有名なのかよ」


「えっとぉ~セインさんでしたっけ? すごい人なんですか?」


  セインとかいう男は、不服そうに頬を膨らませていた。


  私は魔術、特に死霊術に興味があり、暗器の使い方の他には死者の蘇らせ方くらいしか知らない。

  その理由は、私の家、いや村を救ってくれたのはネクロマンサーだったということもあるかもしれない。


「こいつは一応、元魔剣使い7人衆、三番刀新光一線のセインだ」


「本当ですか! そんな有名人とは、ていうかなぜ元?」


「死んだからな、俺」


  この時、私の頭の整理が追いつかなかった。

  そしてしばらく考えていると。


「あっ! ネクロマンサーに死んだはずの魔剣使い、繋がりました」


「遅えな、普通もっとすぐ気づくだろ」


「いや~セインさんの一撃のせいで、少しですね」


  少しからかってみると、クロさんが心配そうな顔をしてこちらを見てきた。

  このネクロマンサーは冗談が通じないようだ。


「ていうかお前、隠してんじゃねーよ」


「なにをでしょうかね?」


  やはり剣豪ともなれば気づいてしまうか。

  それも致し方ないとは思っていたが、私としては少しヘコむ。


「とぼけんじゃねえ! 俺の一撃を受けて死なねーのが、身体が頑丈なだけで済むか!」


「じゃあ、奇跡です」


「もう一度殴られたいのか?」


  面倒くさいと思った。

  心の中でこいつを殺せと、私の本能が語りかける。

  つくづく自分が汚れていると思った。


「セイン、もういいじゃないか」


「うるせえ!納得いかねえんだよ、俺の剣がまだ完全じゃねえのが」


  憧れのネクロマンサーとウザい魔剣士、何か利用できないかと考えた。


  あっ、いいこと思いついた。


「どうしても知りたいなら~私を旅に連れてってください」


  二人は少し驚いたが、まずはクロが口を開いた。


「そんな危険なこ…」


「契約完了だ! 小娘」


  こういう時に脳筋魔剣士は使いやすい。

  やっと、憧れのネクロマンサーとの旅、私の心は踊っていた。


「私の事は、盗賊、盗人、または、ベルと呼んでください」


  魔剣士三番刀(笑)が私のことをずっと睨んでいる。

  どうせ目的はあれだろう。


「そう殺意むき出しで見つめないでくださいよ」


「わかってんなら早く教えろよ」


「神の眼、それと盗賊になって鍛えた相手の殺意を感じ取る技の二つで避けました」


  神の眼、それは片目が虚空、真っ暗な闇になっている目の事だ。

  これは視界を失う代わりに明確な殺意を瞬時に感じ取れる。


「まあ、誤算といえば空気まで切ってくるとは思いませんでした」


「成る程な! そのことも考えて冥界で修行のし直しだな、クロ」


「ああ、しばらくしたらまた、力を貸せよ」


「おうよ」


  やった、ネクロマンサーと二人旅なんて、あの魔剣士三番刀(笑)もたまには役に立つな。

  気づいた時には、セインは灰になって消えていた。


  これから始まる私とクロの楽しい旅、ワクワクが止まらない。

最後までお読みいただきありがとうございます

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