早朝潜りと物品加工
いつも通りに朝日より少し早めに起きる。いつもと違うのは、護衛獣達が隣で寝ている事ぐらいだ。黄色は本性の狼型でベッド足元にグデーっと寝ているし黒は人の姿で寝ている。但し、私にしがみついてだが。
邪魔くさい腕を剥ぎ取りベッドから出てギルドへ。宿の女将に頼んだ朝食が紙袋に入っていたのでありがたく頂いていく。
今日は夕方に潜らないため、少しだけ難易度が高い塩漬け依頼を見繕う。普通に低級の依頼があるが、塩漬け依頼の方が報酬額良いからそっちに目がいってしまう。それに難易度が簡単なのは見習いとか新人に回すのが常識だからなのだが
春先にしか手に入らない薬草(似たような薬草が多い)・朱金・グラスの実(ガラス細工に使う)を選んで昨日潜った迷宮に再度潜る。
昨日の今日なのに襲ってくる魔物の数は変わらずだが、種類は違い蜥蜴である。火を吐かないが、剣の腕前はかなりたつので槍で対応するには難しいものがあるが、それは別に気にしない方向で頑張って捌く。昨日よりは、切り傷が多いが死ぬほどではない。かなり時間を取られたが襲ってくる魔物が居なくなったので採取を始める。
壁に赤ぽく金色に輝く場所に鶴嘴を叩きつけると朱金が1個出てくる。同じ場所からは採取できないので、場所を変えて採取をしなくてはいけないので面倒だ。魔物わ倒して採取を繰り返すこと30回。やっと依頼の数になった。次は、草原の階層に向かう
草原では鳥型の魔物に襲われるがこれは風で強化した小石パチンコで仕留める。数が少ないのでこの方法だが、多いときは小さい弓や風魔法で対応する。今日は鶏肉か。と思いながらグラスの実を採取。採取事態は簡単だが潰れやすい実なので持って帰るのに注意が必要だっりする。そのため保護するために綿のような草も一緒に摘んで1つ1つ保護するようにくるんで収納する必要性がある。これが20個。
最後に薬草。これは新芽を採取しないといけない。迷宮では季節がないから新芽を収穫できるが外では他の薬草と一緒に出るので判断が難しい。新芽の尖端が青ぽい感じのを採取すれば間違いない。これは50個。各種それぞれ袋を別にして入れて主部屋の前に移動する。主は変わることがないので火の魔法を用意する。今日は火の鳥さんを呼ぼうかな?と思いつつ普通に槍に火魔石を付けて準備完了。いちいち召喚に頼ってられない。召喚は魔力をかなり使うので、自前魔力を使ったら倒れることになる。魔石も数が少ないので無理せず主を倒した時に出る魔石を利用する。
槍で刺す、切るをすると接した場所から日がでる仕様となった槍を使って主を倒す。昨日よりは小さめな魔石が出てきた。時間がかかれば魔石も小さくなるから仕方がない。腕?を伸ばして鞭のように攻撃を仕掛けてくるから厄介だ。刺されば吸血。どちらも中距離攻撃だから手間取った。
やっとギルドについたら中で騒ぎが起きている。若者?がなにやら職員に苦情をいっているみたいだが、その苦情がなにやら無理やりな話みたいだ。対応している人が泣きそうな顔をしている。
そのカウンターから離れた場所を選ん依頼の品を提出する。無論、鶏肉と蜥蜴の肉と皮も一緒に。鑑定を待つ間はいつもつも通り飲食スペースで待つ
朝ごはんは、ウサギ肉のサンドイッチ。サラダつきと言うのが嬉しい。お茶を飲みながらサンドイッチを食べていると騒ぎが大きくなっている。
何が気に入らないのかかなり騒いでいるが内容が意味不明だ。
塩漬け依頼の品が届いた事に怒っているようだが、本来は依頼品が来たら嬉しいのでは無いのか?よくわからん。そもそも、ギルドは解決出来ない依頼は受理されないことになっているから、受理されたと言うことは、できるって事なんだが?
ま、人それぞれ事情が有るんだろう。
食事の続きを取っていると2日前に話しかけてきた人が私を見るなり突進してくる。何の用なんだろう?と思いながらも食事を中断しない。食い意地もあるが食べれるときに食べないと持たないので。
話しかける前に黒い方が声を掛けてきた。
いつものように革の鎧と厚手のズボンの出で立ちだ。
「起きたら居なくなって心配したぞ。宿の女将がもう迷宮に行ったと聞いて安心したが。一声掛けていけ」
「ぐっすりだったから。それから寝ているからって添い寝するな。子供じゃあるまいし」苦情を伝えると
「昔は、私たちが居ないと寝れなかった癖に」黄色が笑いながら隣に座った。2人とも迷宮からの帰りなのか少しだけ疲れが見える。
「どこまで行ってきたの?」それに答えたのは黒
「上級だ主が火竜だ。これをやる」手渡されたのは、上級の火魔石
「扱いきれないから要らない」返すとそれを見て笑いながら
「だから言ったでしょ」と黄色。言われて残念そうな黒。
「良いだろうか?」と目の前で話しかける時機を見計らっていた人が聞いてくるが「ダメだ」と黒が断っている。食事を終えてお茶を飲んでいる私を凝視しているが何だろう?と思うだけで興味はない。
どうにか話そうとしているが、黒と黄色が断っているので放置
興味がないのでどうでも良いのだ。黒と黄色の食事が届いたところでやんわり店員に表スペースに戻されている。
「何がしたかったのか」呟くと黄色が
「あれが貴方の婚約者候補なのよ。まだ彼方にいると思っていたバカ両親が用意した」と教えてくれた
「はあ?婚約者候補って親子の縁なんて教会直々に切られているんだけど」バカなのか?と聞くと
「だからバカ両親と言っただろう」と黒
「今頃、縁切りされたと聞いて驚いているんだろうな」
「いいきみ」と笑いあってる黒・黄色。私の待遇について激怒していたのがこの2匹。育ての親だからなのか不憫だからのなのかは、解らない。しかしながら、逆に起こってくれる人?が居たからすっぱりと縁切りができた。
2匹が食べ終わるとやっと鑑定が終わったようで呼び出しがかかった。いつもより掛かったのは、蜥蜴の革が依頼品になるかならないかで悩んだからだそうだ、結局のところ依頼品として扱う事にしたみたいだ。
「いつもありがとうございます」頭をさげられてしまった。
「塩漬け依頼の板があるのが凄いな」と依頼板を見ている護衛獣達。
「仕方がないさ。塩漬け依頼と言ってもある程度のレベルなら採取できるけど誰も手を出さないだけなんだから。手間が掛かるけど報酬額らはそれほど高いわけでは無いしね。私みたいな低級・中級の迷宮に潜るだけの人なんて居ないから。上に行けば生活は楽になるだろうしね」そういいながらギルドをでる。
宿に戻り中庭を借りて細工をする。まず聖水で杭を拭き乾かす。そのあと、杭の頭に聖なる物の意味を持つ印を彫れば完成。
中庭で日向ぼっこしながら杭を拭いていると黄色と黒に取られた。仕方がないから拭かれた杭に印を彫る。黙々と彫っていると日が沈み始めた。横を見ると黒・黄色が同じように印を彫っている。
「これで宿にすまなくても良いようになるな」と嬉しそうなのは何でだ?
「これで心配しないでゆっくりできる」との事。何が心配なのかよくわからん。ブスで50才になるような女を襲う人間なんて私怨位だろうか、人に恨まれるような付き合い無いしな。逆恨みされるような事は有っても
「あとは、書類が揃えばいいんだな。場所も見てみたい」と言われてしまった。断ると面倒なので案内する事になったが、あんまり一緒に出歩きたくないのが実情だったりする。
一緒に住むことは出来ない。育ての親だから、自分で魔力を調達出来るからと言っても、数ヵ月が限度だからだ。こちらに居れば護衛獣達の体には良いこと出はない。異世界にいるのだ本調子出はないのは確かなので、さっさと帰って欲しい。
幼い頃は、帰ってしまうのが寂しかったが今は、逆に心配だ。何かあれば、こちらでは霧散して仕舞うのだから。何にも無いが、絶対という言葉はこの世には無いのだから。