夕方潜りと夕飯
黄昏時。いつものように中級層へ潜る。レベル的には適度に難しい所へ。目的は自分用の低級魔石を確保するためだ。
くず魔石と言われるくらい価値がないが私的にはなくてはならないもの。召喚するにも還すにも使うし魔道具の動力にもなっている。
今の生活には欠かせない物だ。大体20〜30ほどあれば1か月持つ。使用後の魔石は霧散するから空魔石何てない。自前で魔石を作る魔力も無いので確保するしかない。
魔石は中級層の魔物を倒すと出てくるのと地道に探す方法があるが、魔石もちは強すぎてどうにもならないから地道に探す。罠を掻い潜り誰も入ったことのない小道にあったり、普通の魔物が沢山いた場所のすみに合ったりと予想できない場所にあるから困り者である。
今日も今日とて目的の魔石は10個ほどしか見つからずあとは、塩漬け依頼の商品を確保出来ただけだ。
やるきになればある程度の魔物を倒せるが大ケガをして魔石1個とか採算が合わない。
人の来ない魔力溜まりにまた、魔石製作用の陣を設置しておくか〜と足りない魔石の確保に頭を抱えながら主部屋の前に到着する。道すがら魔石もちが、3匹も出てきてビックリしすぎて瞬刹してしまった。魔石がとれたがそれだけとか寂しいんですけど。
しかも、主は犬型魔物の集団とか何ですか!
大変すぎて、自前の魔力を使って召喚しちゃったじゃないですか!
召喚してしまった護衛獣2匹と連携して20匹ほどいた魔物を倒して上級魔石1個と19個のくず魔石がとれた。嬉しいことに無属性だ。
無属性ならどんな魔道具にも使用できるから便利。他の人は無駄だと言うけれど、無属性の私にしては嬉しい限りである。
さて、問題は出してしまった護衛獣たちである。無難に還ってくれる人たちではなく。一度だしたら数ヶ月でずっぱりなのだ。
他の人を喚ぶのには困らないし出てしまえば自前で魔力を調達してくれるからいいが、ぶっちゃけ面倒なのだ。親が忙しいあまり自分の護衛獣の子供を着けて面倒を見た。と言い張る親。
つまりは、この護衛獣たちは育ての親親だったりする。
「助かったが戻って」
「無理」「無理だな」と鼻で笑って却下しやがった。気だるく魔力が足りない状況の私を支えながら
「良い年してまだ、こんな生活してるのか」と黒い方が言い
「まだ結婚してないの」と黄色い方が言う。どちらも余計なお世話だ。
「良い年なので護衛獣は要りません。と言うか、勝手に召喚スペースに入って待機状態に居るのってどうなんですかね?私レベルでは本来召喚できない筈ですが」何をしてんだあんたたちは。といいながら腕の中を脱出して出口に向かって歩き始める。
「無論、大切な短命種のお守りよ」と黄色
「だな。あいつら今に成ってお前の不在に気づきやがった。いっそのこと気づかない方が無害なんだが」て黒
「気づいたって今さらでしょ。教会から正式に孤児と認められているし。私がいた形跡なんてもうすでに無いでしょ」無様だね。と笑いながら入り口に着くと二匹は人の姿になる。どちらも普通な感じの姿。以前、他の兄弟のような美形になった瞬間に存在を認識しなかったことに恐れをなしたのか、それから普通な感じの姿になるようになった。
「じゃあ、ギルドにいくから。解散」と言ってもがっしりと腕を拘束されているからどうにもならない。
普通なおばちゃんが、チョッと美人に捕まって歩いてるのは何かほらね。いたまれない感じがするとか思わないんですか?
私もうずぐ50才ですからね。そこのところわかってます?と聞くと
それがとうした?半分長寿種なのだから年には見えないぞ。とさらっと言われたが嬉しくない。
ギルドでは注目されるし、宿も同じ所を取りやがった。
もう好きにして!と行った気分で鑑定待ちをしながらお茶を飲んでくつろぐ。それにしても、ギルド側の内装も凝ってて変に意識しなくていい感じの良質のものを使っている。駆け出しの商人の鑑定力を鍛えるためか、貴族に嘗められないようにするためか。どちらにしても使用できるからいいのだけど
前の場所より良いギルドだな。と良いながらも、自分達の分は自分達で会計した軽食を食べている2匹。どっから金を出したからって?以前召喚したときに稼いだ金か、両親の召喚に応じた時に貰った報酬だろう
食事は宿で食べるためにここでは食べないと伝える軽食で我慢している2匹。別に合わせなくても良い気がするのだが、何を考えているのやら。
飲食スペースでは、噂話をなんとなく聞いていた。
侯爵家の跡取りが、居なくなったとか。伯爵家の次代の婚約者が消えたとか。侯爵の短命種が居なくなったとかどうでもいいい話である。
てか、あの親たちは一応、面倒を見ているつもりだったのか。と唖然したが30年も気づかないのはさすが長寿種だな。と笑っていると鑑定がすんだようで、職員が呼びに来た
代金をもらい明日はゆっくり作業に当てようと思いながら宿へ
なぜか3人部屋に変更されて部屋移動。2匹曰く危険だから。とのことだが50前のおばちゃんを襲う人間なんていないよ。金目のものなんてないし。と言っても決めてしまったからにははしょうがない。本当に過保護だ!と思いながらも夕飯を楽しむ事にした。無論、相席である
朝?に届けたウサギ肉の焼き物とサラダとパン。スープは無難に野菜ってところが素敵だな。
ゆっくりしっかり噛んで食べている私を見て馬肉料理を楽しんでいる2匹。ウサギよりも馬だろ!的な感じで決めていたが馬肉って旨い?試しに食べてみたいとは思わないが、目の前の2匹の様子を見ると旨いらしい。ちなみに、なぜか私たちが食べ始めると混む食堂。馬肉は完売です!と叫んでる看板娘を見ながら不思議だなと思うがすぐにスープの旨さの虜になる。
風呂に入りベッドに横になる私を見ながら笑っている2匹。
ゆっくり寝なさいと子供に声をかけるように言われてムカついたが、反論する前に睡魔に抱かれてしまった。