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Scene 3
特筆するまでもなく、平凡な人間。他者に埋没した生活の中で、退屈から離脱する術を模索する日々。
――こうやってツマンナイ日常を重ねて、誰の印象にも残らず、消えてくんだろなぁ――
とか、思ってたさ。
偶々見っけたゲームソフトのワゴンセール。ワンコインで買える、起動も怪しいジャンク品。タイトルに惹かれて購入したコイツを起動するまでは。
――蓋を開けたら、ゲームの世界で、神と祀られるなんて……ちょっと面白いか? 目下の思案事項は、神って何すんの? 導くって何処へ?
もしかしなくても、一番向いてない感じじゃね?――
「あの……さ?」
「どうなさいました?」
俺の気弱な問い掛けに、祭壇の真正面に陣取った、厳つい男が応える。
「いや……あの……」
「?」
――ゔっ! 滅茶苦茶、不審がられてる――
「何でも無いです」
敢え無く断念。心無しか、語尾も下がる下がる。震える震える。




