カショクショウ。
毎日、花を買いに来る男がいた。
男は毎日昼頃に来て、向日葵のように鮮やかな金の髪と瞳を輝かせ、真剣な表情で花を選ぶのだった。華奢だが、痩せすぎというわけではなく均整の取れた体と言えるだろう。
「こんにちは。…あれ?今日は君だけなんだね」
突如柔らかく響いたテノール。声の出処をたどると、さっきまで思考の中心に居た男がいつもの柔らかい笑みで立っていた。
「あ…店長、今出てて…」
ぎこちなくそう答えると、そっかーと気にしていない様子で花を物色する。
俺は何となしにその様子を観察した。花を愛でる男性とは、言葉で聞けばなんともシュールだが、この男は多分例外だ。男にしては長めの金髪がふわふわ揺れ、美しい花に顔を綻ばせる。それだけで眩暈がするほど絵になるのだった。
「あのー……」
「はっ、はい!」
完全に油断していた。柄にも無く情緒的になっていたら、沢山の花を抱えた男が不思議そうにこちらを見ていた。
「これ、花束にしてくれる?」
「かしこまりました。……プレゼント用ですか?」
そう聞くと男は何回か目を瞬かせた後、少し考えた後、こう答えた。
「あー……いや、ある意味自分用かも」
「へー……お客さん綺麗だからてっきり食べてるのかと思いました」
照れたように頬をかく男に、出来上がった花束を渡しながら言うと、
「……お上手だなぁ、」
目を見開いた後、ふにゃりとはにかんだ。
「あ、そうだ。名前忘れてたね。僕は田辺ミツル。よろしくね、えーと……ろく、はた君?」
「りくはた。六畑恭介です」
「六畑君ね。じゃあ、また来るよ」
「どうも」
色とりどりの花束を抱えて、ミツルは店を後にした。彼が後にした店は、何故だか急速に色味を失ったように思えた。
(田辺ミツル………)
(六畑、恭介君か……)
***
初めまして ひないちご。です。
最初に言っておきます。ホモじゃないです(迫真)
花しか食べられない花食男子ミツルと不器用花屋バイトの六畑恭介の友情を書きたかったのになんだねこの体たらくは………。
何はともあれ閲覧ありがとうございました。




