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旅に出よう。

『さぁ、俺と一緒に、違う世界へ行こう』


『やぁ!!来ないで!!』


逃げても逃げても、ソイツは追ってきて、


『怖がらないで・・・大丈夫だからさ、』


ソイツはいつも、私にそう言って、ナイフを突き出す。


『こ、来ないで!!』


どんなに叫んでも、どんなに喚いても、誰も助けになんか来てくれなくて。


『ハァ・・・ハァ・・・』


走れば走るほど、だんだん足が遅くなるみたいで・・・


『・・・捕まえたッ!』


『!!』


私はソイツに、


『・・・さぁ、一緒に行こう、僕たちの、僕たちだけの世界へ・・・!』


―――――グサッ!!


ソイツが持っていたナイフでいつも、心臓を刺されて、


「!!!?!??」


ベットから飛び起きる。


「・・・ハァ・・」


この悪夢を、彼女もう何年も見続けている。

けれど、いまだに寝起きの心臓は投げ飛ばされたスーパーボールみたいに動きが激しい。


彼女の名前はレイ・フランソワ。

彼女は、夢見の悪さに顔を歪める。



(また・・・あの夢・・・)



・・・何度見ても、怖いものは怖い。あの夢のせいで今日も寝不足気味である。





―――――コンコン。ガチャ・・




挿絵(By みてみん)











ノック音が聞こえ自室の扉が開かれる。


「・・・起きてたのか」


「う、うん」


彼女を起こすために、部屋の扉を開けたのは、フロマージュ・アクセルアーク。彼はひょんな事からレイ家に居候している。


「・・また、あの夢か?」


彼はいつも通り、無表情でレイにそう尋ねた。


「うん・・・でも、大丈夫だよ」


フロマージュの問い掛けにレイは曖昧に答えると、彼は無表情のまま、レイを不安気に見つめた。

無理してるだろ。そうフロマージュは尋ねようとする。




「ホント平気だから、心配しないで」


「・・・わかった」


フロマージュは私の言葉に納得はしないもののうなずいた。




「朝ごはんできてるから、一緒に食べよう、レイ」


「うん、わかった。すぐ行くよ」


フロマージュはレイに朝ごはんが出来ていることを伝えると、彼女の部屋に足音だけを残し、去って行った。


残されたレイは、寝巻を脱ぎ、着替え、それからフロマージュの元へと急いだ。


「おぉ、レイ、おはよう」


「おはよう、お父さん」


食卓で待っていたのは彼女の実のロロネー・フランソワ。レイとその父ロロネーは名前こそ同じだが、

容姿はあまり似ていない。

レイはどちらかと言うと容姿は母親譲りである。 母は今は自国で国を納めてるらしくここにはいない。

家に母が居ないということは家事をやってくれる人が居ないに等しい。

最初こそロロネーは一生懸命頑張っていたが今ではフロマージュがやってくれるので家事全般は彼に任せてある。

彼女達が今食べている料理も、すべてフロマージュが作ってくれたものである。


「いつもと変わらずおいしいね、フロマージュのご飯は」


「いつもありがとう、フロマージュ君」


「いえ、」


フロマージュは目を瞑り、首を振る。

今だに誉められると言うことには慣れない彼は不機嫌ではないが目を剃らせるクセかあった。


「あ、そうだ、お父さん、」


「なんだ?」



「私、今日からフロマージュと一緒に旅をすることにしたの、いいよね?」


「ほう、旅か・・・え?旅って?」


ロロネーは目を見開き驚く。

それもその筈。レイは旅に出ることを前から検討していたけれど過保護な父のこと、絶対に止めるに決まってる。そう確信していた彼女は言おう言おうとしてる内に当日になっえしまったのだ。

けれど用意も覚悟もした今。彼女を止められるものなどない。






「前々からフロマージュと話していたことなの、いいでしょ?」


「だ、ダメに決まってるだろう!旅なんて危ないこと、お父さんは許しません!」


「お父さん?いいんだよね?」


「・・・は、はい」


ロロネーはレイの圧力に負け、情けなく返事をしたのであった。


よい返事が聞けたレイはフロマージュとご飯を食べ終わるとすぐに、あらかじめ準備をしていた荷物を持って家から出た。



「・・・もうそんな時期か時間とは早いものだ」



ロロネーが切なげにポツリと呟いた言葉は誰に聞かれることもなかった。



家からそう遠くない海、そこから彼女達は船を出した。



「レイ、あの人、あのままで本当に良かったのか?」


「え?なんで?」


「レイが準備している間、おいおい泣いていたし、何度も『レイを必ず守ってくれ』と言われた」


「どんだけ過保護なのよ」


船を漕ぐ間、レイとフロマージュの会話は尽きることはなく順調に、最初の目的地へと向かっていたが

少し休憩をしようということになり、間にある小さな町へと足を置いた。勿論船が飛ばないようにくくりつけるのも忘れずに。


この町の雰囲気は何と言うか、すごくにぎやかだ。

行き交う人は楽しそうに笑顔を浮かべている。

昔は父とよく来ていたレイだが最近は全くといっていいほど来ていなかったので少し懐かしく感じていた。





「食べ物がすごくおいしそうね!」


「さっき食べただろ」


「そうだけど・・・お、おいしそうに見えたんだもん!」


久しくみる町の風景にキョロキョロと周りを見渡しながら歩く二人は人が倒れているのを見つけた。

銀色の長い髪の毛に胸元の空いた服を来た青年は今にも気を失いそうだ。


「だ、大丈夫ですか!!?!?」


レイは慌ててかけよってみたが、


「だ、大丈夫・・・だ・・」


と、彼はそこで息絶えてしまった。


(なるほど大丈夫ね。・・・って)


「大丈夫じゃないじゃないですか!!!!!」

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