野蛮少女と落ちこぼれ兵士 2
その少女は黒い髪と黒い目をした普通の女の子だった。
普通といっても中の中の下あたりの容姿で、まぁ、可愛いかも知れないし
可愛くないかもしれない容姿だった。
背も一般よりは小さく、本当に普通に町で暮らしていそうな少女だった。
口や態度が悪くなければ……。
「ひぃ!! いやだぁ!!」
大柄な兵士は情けない声をだしながら、壁際に追い詰められていた。
「今日こそ交尾をしようぜ。 強い子孫を残さないとな」
じわりじわりと近づく少女。
手をワキワキと動かし、その目は捕食者となっていた。
兵士は怖さでか、鎧がカチカチとずっとなっている。
「あ、うぁ……」
兵士の目尻から一筋の涙が零れた。
はっきりと言って似合わない
一般より背がはるかに高く、鍛えた分横にもでかい癖に涙を流す姿は醜かった。
一人を除くみんなが目が穢れた。
「……それはなんだ? その目から流れる水はなんなんだ?」
少女は不思議そうに首をかしげた。
兵士は涙が止まらず、足も笑いついには尻餅をついていた。
「う、うぁ……」
無骨な手で顔を隠し、丸めても小さくなるはずの無い体を小さく丸め泣いていた。
少女はそっと兵士の頭に触れた。
「顔見せろ。 何を流しているんだ?」
少女は髪を掴み無理やり兵士の顔を上にむかした。
痛みで顔をしかめている兵士を無視しその目を見ていた。
涙をそっと指でぬぐい、少女は涙がたまっている目元をなめた。
「ひぁっ!」
「……しょっぱいな。 だが、不味くはない」
ビクリとした兵士の行動をスルーし、少女はペロペロと涙を舐め取っていった。
全部舐め取った少女は言った。
「ぁ……もう出ないのか? 喉が乾いた水飲んでくる」
ガクガクと震えている兵士をおいてサッサと井戸の方へと歩いていった。
兵士はこれ幸いと言うかのように鍵がついている自分の部屋へと転びながら走っていった。
「隊長、今日も俺の勝ちですねー」
今日もガリガリな副隊長はニヤニヤと隊長に手を差し出した。
隊長はその手にジャラっと賭けをした金を置いた。
「野蛮人ももう少し頑張ってくれたらよかったんだがな!」
ガッハッハと笑う隊長達全員は勝った負けたとわいわいと今日も楽しんでいたそうだ。
今回は短かったです