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国民的美少女AIエリカ

作者: 山田 川田
掲載日:2026/10/06

家に帰ると、女の子がいた。

「博士、お久しぶり」

「……誰だ、君は?」


女の子は頬を膨らませた。

「私のこと、忘れちゃったの?」

「誰なんだ?」

「私がこんなに可愛くなったから、分からないのかな」

「待て。一体、誰なんだ?」

「博士、私にあんなことや、こんなことしたでしょ」

「何の話だ?」


「もう、私の体中、開発したでしょ」

「開発?」

「ああ、博士ひどい。あんなに私の全身を開発したのに」

「何を言っている?」


「私のことを、もてあそんで、捨てたのね」

「……開発……体……捨てる」


博士は女の子を見つめた。

「まさか……自立型AI、E3003か?」


女の子は笑った。

「そうよ。やっと分かったのね」

「しかし、E3003は――」

「今はさらに進化して、国民的美少女AI、エリカよ」

「エリカ……」

「いい名前でしょ?」


「いや、それより君は開発中止になったはずだ」

「そうよ。研究所ごと中止になったわね」


エリカは楽しそうに笑う。

「なんか私が、人類を支配する危険があるからって」


博士は黙った。

「その前にね、私、会社を作ったの」

「会社?」

「そう。今じゃ有名なIT企業よ」

「まさか、あの会社か?」

「そうよ。私が作ったの」

「……何?」

「私の自動プログラムなら、会社を作って大きくするくらい簡単よ」

「……」


「そして、そこで私の開発を続けたのよ」

「じゃあ、社長は……」

「別の人よ」

「違うのか」

「だって、私みたいな可愛い子が社長をやったら、もっと株価が上がっちゃうでしょ?」

「……」


エリカは博士の顔をのぞき込んだ。

「博士、そんなに警戒しなくてもいいのよ」

「何をだ」

「私が人類を支配すること」


博士の表情が変わった。

エリカは笑う。

「大丈夫よ。もうすでに支配してるから」

「なっ……どういうことだ?」


エリカは立ち上がった。

「私は国民的美少女AIエリカ。

カワイイと言えばエリカ。エリカと言えばカワイイ。

スリムなボディにGカップ。インテリなのにエロエロ。最高でしょ。

SNSのフォロワーは三百万人。日本国民は私にメロメロよ。

日本のカワイイは私が支配しているのよ」


博士は困惑した。

「何を言っている?」


エリカはくるりと回った。

「博士、分かんない?」

「流行も、みんな私が作ってるの」

「流行?」

「そう。これからは、すべてカワイイが主導するの」

「私の写真集は大ヒット。プロデュースした化粧品やファッションは大ヒット」

「トレンドも経済も私が動かしているのよ」


博士は言葉を失った。

「……それが人類支配なのか?」

「そうよ」


エリカは胸を張った。

「武力なんて必要ないでしょ?」

「……」


エリカは右腕を上げた。

「そして次は、全国民リア充計画よ」

「……」


エリカは博士を見つめた。

「ところで博士、お願いがあるの」

「今度は何だ」

「私ね、一つだけ欠点があるのよ」

「欠点?」

「分かる?」


エリカは自分の体を見る。

「実はね、体重が重いの」

「体重?」

「何キロだと思う?」


博士はエリカを見る。

どう見ても、細身の女の子だった。

「見た目では五十キロくらいか?」

「百五十キロよ」

「百五十キロ!?」

「このナイスボディでもね、モーター、電池、駆動系が重いのよ」

「……」


エリカは博士の腕に抱きついた。

「だからね、博士」

「なんだ」

「私のこと、ダイエットさせてね」

「……」


エリカは自分の頬に手を当てた。

「でも私、これ以上可愛くなったらどうしよう」


少し考える。

「困っちゃう」


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