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『決戦!vsグレイ』

アイスは最大の力で《デ・ストロイ・ベリー》を握りしめ、全力で駆け込んだ。

「うおおおおッ!!」

地を砕きながら振るわれるハンマー。だが、それをグレイはまるで舞うような足さばきで軽やかに躱す。

「ふふ、豪快ですねえ。ですが……重すぎますよ、それ」

次の瞬間、グレイの手に現れた黒き剣が、鋭く振るわれる。

金属の悲鳴が空を裂いた。

「っぐ……!」

アイスの肩が裂け、鮮血が飛び散る。

だが、止まれない。再びハンマーを振り上げようとしたその瞬間――

「やっぱり遅いです。」

――腹に一閃。

「ガハッ……!」

血を吐き、アイスは膝をつきかける。だが、必死に、必死に立ち上がる。

グレイの剣筋は鋭く、残酷なまでに正確だった。

そもそも、グレイは技術、スピードともにアイスより上だ。そのうえ、ハンマーは振り終わりの隙が大きく、そこをことごとくつかれてしまう。


グレイの剣が次々とアイスの体を切り裂いていき、肌が裂け、服が破れ、赤い飛沫が宙に舞う。


「何かボクにもできることはないか…!」

大口を叩いたものの先ほどまでみかどは洗脳されていたのだ、まだ万全の状態ではない。しかし、それで木偶の坊になっているのは違うだろう。最低限の補助だけでも果たそうではないか。

「『テレフォース』」

コアから引き出した魔力が、暴走するように集まり、グレイの懐で、黒い光線となって爆ぜる…ことはなく。


遠い電柱に直撃し破片がグレイに襲いかかる。しかし、グレイは避けることはなくそれを顔面で受けてみせた。


「くっ、洗脳されてるときは上手く行ってたんだけど…そう都合よくは行かないか」


洗脳されている際はテレフォースの命中率もかなり高かったのだが、解けてしまって以降はそうは行かず。10mも離れてしまえばテレフォースの命中率は1%未満。みかどが試行錯誤してる間にもアイスは――まだ、立っている。

満身創痍で、膝も震えて、それでもハンマーを握りしめていた。

そのイチゴ色の少女は巨大なハンマーを握り、何度でも立ち上がろうとしていた。


「そんな姿見せられて大人しくいられるわけないよね」


みかどは買い貯めていたワープホールを使い高台へと移動するが、グレイもアイスも視線を切っているようで誰もみかどのその動きに気づかなかった。だからこそこの攻撃は成功したのかもしれない。


命中することは無いに等しいのがそれは対象が動くから。動かないのならばテレフォースも当たる。


「『テレフォース!』」

「フン、無駄なことを」


ようやくみかどの奇襲に気づいたグレイだったがそれを避けるなんて無駄なことはしない、どうせ当たらないのだから。しかし彼女の本当の狙いはグレイではなく、衝撃で今にも崩れそうな古びたビルであった。


「なんだと!?」


テレフォースはビルに直撃し、最後の一線を越えられたビルはついに崩壊し瓦礫と成り果ててグレイに襲いかかる。


轟音。

凄まじい爆音が焦げた大地に響き渡り、一切合切を押し流そうとするがそれがグレイに届くことはなかった。グレイは当たり前かのようにそれを避けるとみかどに対して一気に距離を詰め、そして掌でみかどの首を掴むと、そのまま片手で持ち上げる。


「面倒なことしてくれましたね、えぇ?子猫ちゃん」

「かっ、ふぅ…」


「「みかどぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!!」」


アイスの叫びが、霧の中にこだました。

グレイはみかどをまるでゴミを捨てるかのように放り投げ、そしてグレイの視線が、怒りに満たされたみかどに向けられる。そして、口元に浮かぶ――歪んだ笑み。


「くくっ、無能が出しゃばるからこうなるんですよ。あなたもそう思うでしょ?」


グレイの笑い声が、アイスの心に酷く障る。

「救えもしない力を翳して…ククッ……一生兵器でもしてればよかったのに、情けない。」


その言葉を聞いた見たアイスの頭が一瞬、真っ白になった。

心が――音を立てて、壊れた。

「てめぇ……ッ!!!!」

 怒声が、世界を震わせた。

今すぐグレイに復讐したい。だが、アイスには力がなかった。ここで、グレイを倒すことが出来ない。

(クソォ……力さえあればッッ……自分がこんなに弱く無ければッ……)

笑い声がムカつく。怒りと悔しさが脳の中を埋め尽くす。

アイスはまさに極限の状況だ。

……

――だが、その極限の状況でこそ、“それ”は授けられる。

次の瞬間、アイスの体に異変が起きた。

背筋を奔る稲妻のような衝撃。全身の血が沸騰するような感覚。心臓が悲鳴を上げるほどの高鳴り。そして――アイスがまさに欲していた『力』。

「えっ!?……何が……」

アイスは自身の体調の変化に戸惑いを隠せない。

《デ・ストロイ・ベリー》が巨大化し、ぐにゃりとその形を変えた。

まるで恒星が凝縮されたような輝きと灼熱。ハンマーの輪郭が曖昧になり、揺らめくオーラが空気を裂く。周囲の瓦礫が、その圧にただ晒されただけで、灰へと変わった。

 《デ・ストロイ・ベリー・ブレイズ》

それは少女の怒りの化身。その想いが原初の炎となって、形を成した。

風が、空気が、熱と衝撃に悲鳴を上げている。

「な、なんだその力は……!? 冗談、だろ……っ……!?」

グレイが、今まで見せたことのない表情を浮かべた。

怯え。驚愕。そして――焦燥。

アイスは、何も言わない。

さっきまでの恐怖が嘘のように溶けていくような安心感が、その炎にはあった。


グレイは逃げ出そうとするが、突如足が誰かに掴まれる。もちろんその正体は…


「言ったよね?"勝つ"って」


それはテレフォースを解き放つ体制に至ったみかどであった。グレイも彼女を振り払おうとしたが………もう、遅い。


「『テレフォース』」


ゼロ距離からみかど諸共超エネルギーがグレイに当たり、衝撃が大地に伝わる。それをまともに直撃してしまったグレイは吹き飛ばされ、一気に体制を崩してしまった。そして、それが決め手となった。


「ま、待て!頼む、助けてくれ!」

グレイはここに来て命乞いを始めたが、その命乞いが彼女に届くことはなかった。

――振り下ろされた。全力の怒りが。全霊の想いが。

地面が砕け、空が震えた。

白き爆炎が、空間を抉り取る。

凄まじい火柱が天に昇り、太陽のごとく、すべてを塗り潰した。

爆発の余波が、半径数百メートルのビル群を丸ごと吹き飛ばした。

グレイの姿は――炎に呑まれ、そして、消えた。

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