『苺香る決闘の先は』
テレフォースの黒い光線が、鋭く空間を裂いた。
破壊の奔流が渦巻く中、アイスの身体は何度も吹き飛ばされ、焦げた地面を転がる。
「がっ……く……ぅ……!」
腕、足、横腹から血が流れ、視界は何度も霞む。呼吸が浅くなる。
嫉妬IFモードのみかどは、容赦なくテレフォースを乱射しながらアイスを追い詰める。
一撃一撃が、確実に彼女の命を削っていく。
それでも
「……私は、あなたのことを……ずっと大切に思っている……!」
声が震えても、心は折れない。激痛に耐えながら、戦いの中で“みかど”に必死に声をかけ続ける。
焼け焦げた地面に手をつき、よろめきながらも立ち上がる。
その目はまっすぐに、みかどを見据えていた。
「あなたの苦しみも、怒りも、悲しみも……全部、私が受け止める!」
その叫びが、荒れた大地に響き渡る。
容赦なく降り注ぐ光線。爆風。破壊。
ミーナの加護を受けていてすら、もうとっくに満身創痍だ。
でも、アイスは力を振り絞って、必死で叫び続けた。
全ては、洗脳の赤黒い闇に沈んでいるみかどの意識まで、声を届けさせるため。
今この瞬間、みかどを取り戻せなかったら、もう二度と戻ってこないと感じた。
「だから、お願い……すぐに戻ってきてよ……!」
ふいに、みかどを取り巻いている赤黒いオーラがゆらいだ。みかどは攻撃の手をゆるめ、アイスをじっと見つめてきた。
そして――みかどの口が開いたように見えた……
「「じゃあ……なんで、“ヒナ”と一緒にいたのさ…?」」
轟くような叫びが、空を裂いた。
感情のない瞳だったはずのそれが、一瞬だけ、苦しげに揺らめいた。
「君が僕のこと大切だと思うなら……僕だけをずっと見てほしい。見てほしかった、なんで……?」
アイスは、息を呑む。
でも、逃げなかった。
やっぱり、この問いにはちゃんと答えなきゃいけないなって。
静かに、そしてまっすぐに、みかどの目を見て言った。
「それは……“紫叉ヒナ”も、大切な仲間だからだよ。意識しなくても一緒にいる。それだけのこと。」
アイスは一歩、みかどに近づく。
「でも、あなたも私の大切な仲間だよ。……あなたとも一緒にいたい。――だから、私は、あなたを絶対に取り戻す……!」
みかどの顔に、微かに影が落ちる。
赤黒いオーラが、少しだけざわめいた。
フォルトナが、ガンダーラが、どれほど酷くみかどを操って、それでみんなが酷く傷つけられようとも、アイスのみかどを思う気持ちは決して揺るがないのだ。
「私があなたを大切に思う気持ちは……誰にも、奪えないっっ!!」
アイスの言葉が、その遥か奥底――
封じ込められていた“みかど“としての意識に、深く深く届いた。
「……僕は」
小さく、震える声。
アイスのハンマーが、閃いた。
振りぬかれた《デ・ストロイ・ベリー》の一撃が、
みかどの肩をかすめ、血が舞う。
「――っ…こんなに痛むのは何でだろうね……」
その顔に、初めて苦悶の表情が浮かぶ。
赤黒いオーラが、ぐらついたように脈打つ。
「みかど……私は、あなたと一緒にこの痛みを背負う。だから……!」
その言葉と共に、アイスは最後の力を込め、ハンマーを振りかざす。
「「帰ってきてよぉおお、みかどぉおおおおおッ!!!」」
――ズドンッ!!!
爆風が地を揺るがし、空気が弾けるような衝撃が走った。
みかどの身体が宙を舞い、数十メートル先の地面へ叩きつけられた。
「……っ……!」




