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虚飾の崩壊

捜査本部に戻った杉下たちは寺田本部長に桜町隼人の殺害容疑が佐久間美佳にあるという事を報告した。寺田は事件が過去にさかのぼって奥が深い事を確認し、佐久間美佳の犯してきた罪の深さに身震いがしてきた。

 時間になり定例の捜査会議が始まった。寺田が各班からの捜査の進捗状況の報告を求めると、立ち上がったのは第1班、山本主任だった。

「第1班は佐久間美佳の過去について捜査してきました。佐久間は兵庫県西宮市生まれで高校卒業後に大阪の看護学校に入学し、卒業後は大阪市立中央病院に就職しています。当初は内科に勤務していましたが、コロナ禍でコロナ外来に配属替えになり、過酷な勤務実態に陥ります。そして精神的におかしくなりストレスの発散のため、ホストクラブの桜町隼人に入れ込むようになります。そして貯えが底をつくと、病院を退職し売春に走ったようです。このことについては病院の同僚から証言を得ています。しかし北新地公園で通り魔によって殺害されたとなっています。しかし、多くの証言で死んだのは山中美樹であり、佐久間美佳は山中美樹に成りすまして生きているということがほぼ確実と見られます。以上です。」と言うと寺田は

「次は2班」と大きな声で叫んだ。立ち上がったのは2班主任の立花刑事だった。

「2班は野坂陽子の過去について捜査しました。野坂は西淀川区大和田の生まれです。小学校で父を亡くし、中学校で母を亡くしています。兄弟はなく14歳で天涯孤独の身になって、児童養護施設に入所しています。高校を卒業すると西淀川に帰ってアパート暮らしを始めます。山中美樹とは同じ小中学校の同級生で面識はあった要です。西淀川から北新地のスナックに勤め始めますが、24歳で独立して店を出します。資金を融通したのは前の店で客だった中小企業の社長だったようです。しかしコロナの流行で不景気になり、客足は途絶え、店を閉めなくてはならなくなったようです。借金を抱え、野坂は北新地公園で売春行為を始めたようです。この時も山中美樹といっしょに行動していたようです。しかし山中美樹が通り魔に殺される前に、大阪を出て福井へ逃げたようです。福井に行ってからの足取りは福井県警の林田刑事から報告を願います。」と言って終了すると林田が立ち上がった。

「福井での野坂の足取りを報告します。野坂は」24歳で福井に来ますが、コロナ禍で働き口に困りますが、片町のスナックで働き始めることに成功します。大阪での借金から逃げるためだったので、自らのことを多くは語らなかったようです。しかし福井のテレビに「北浜からとっておき情報」という番組が放送されるようになると、同じスナックの同僚に

「大阪に行ってくる。金が出来たら北新地に店を出す。」と言って行き巻いたそうです。しかし大阪から帰ってきてしばらくすると、駅前の「越前」という店でよく似た年齢の女性と話していた姿を最後に、その翌日鳴鹿堰堤で死体となって発見されました。死因は絞殺死です。この越前で話していた女については店長に佐久間美佳の写真を見せたところ佐久間でsることを確認しています。」と報告した。継図いては第3班の報告となった。

「第3班、嶋崎です。3班は佐久間美佳のこのところの動きについての報告です。7月15日に野坂が山中美樹こと佐久間美樹の事務所を訪ねています。これは事務所の従業員が証言しています。事務所の奥で話し合っていましたが、しばらくすると野坂は帰った層です。そして7月19日、福井へ行っていることは先ほどの林田刑事の報告通りです。そこからは福井県警の協力を得て、防犯カメラの画像を分析しました。一旦分かれた2人は、野坂の仕事が終わった時間に佐久間が迎えに行って、野坂をタクシーに乗せています。タクシーの走行記録から2人は永平寺町の灯篭流し会場に行ったようです。真っ暗な場所に野坂がどうして行ってしまったのかは謎ですが、そこで絞殺し死体を九頭竜川に捨てたことが類推できます。遺体を裸にしたのは身元が判明するのを遅らせるためだと思われます。以上です。」と報告した。

 最後に4班だった。4班は野坂の死因についてだった。

「4班は野坂の死体について検分した結果を報告します。死体は福井県警に保管されていますので、詳しく調べ直してもらいました。すると野坂の詰めの間に残っていた肉片が佐久間美佳のDNAと一致しました。首を絞められているときに抵抗した時の痕跡と思われます。これが決定的な証拠と言えると思われます。」と報告した。横山が佐久間の事務所で採集した佐久間の飲みかけの紙コップとたばこの吸い殻がここで威力を発揮した。

 ここまで聞いて寺田本部長は意を固めた。

「佐久間美佳の逮捕状を請求しよう。逮捕状が降りたらすぐに連行してこい。自宅と事務所の家宅捜索もするぞ。」と息巻いた。


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