『超少女明日香』 和田慎二
前回、書きながらとてもしんみりしてしまったので、スカッとしたくて急いで更新しました。
スカッとする作品といえば、もちろんこれ!
明日香ちゃんしかありません。
和田慎二さんの代表作は、テレビドラマでシリーズ化もされた『スケバン刑事』だと思いますが、私は断然、明日香ちゃん推しです。
【あらすじ】
田添建設の社長宅に、住み込み家政婦としてやとわれた砂姫明日香。
彼女は一見チンクシャ(死語……)な女子高生だったが、家政婦として超一流の腕を持っていた。
だが、超一流だったのは家事能力だけではない。
明日香は実は、人外の能力を身につけた「砂神一族」の一人だった。
一族は飛騨の山奥で暮らしていたが、ダム建設工事の犠牲になり、村ごと水没してしまった。
工事をしていたのは田添建設。
生き延びた明日香が、田添家に入り込んだのは、一族の仇である田添社長の家庭を崩壊させるためだったのだ。
だが働いているうちに、彼女は社長の長男、一也と親しくなっていく。同時に、村を沈めた張本人が田添社長ではなく、別組織の芙蓉夫人だったことを知る。
芙蓉夫人は四人の頭脳集団を従え、田添建設を乗っ取ろうとしていた。
真の敵を知り、復讐を誓った明日香は行動を起こす。
その行動とは、自分自身の分身四人とともに、頭脳集団を突き崩し、芙蓉夫人を追いつめること。
時に一也の助けも借りながら、着々と目的を果たしていく、五人の明日香。
そして芙蓉夫人を窮地に追い込み、ただ一人の明日香に戻って、ついに本人と対峙する。
圧倒的な自然の力を、見せつけながら。
(1975年 別冊マーガレット掲載)
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絵柄はシンプルで、前回に続き今回も、いわゆる少女漫画のキラキラとはかけ離れています。作者様が男性だからかもしれませんが、少年誌だったとしても、あまり違和感ないんじゃないでしょうか。
が、しかし。
そのシンプルな絵柄で描かれる、明日香ちゃんの魅力ときたら!
家政婦として田添家にあらわれた彼女は、垢ぬけない着物に羽織という、田舎者丸出しの格好です。ロングヘアにヘアバンドをしてはいますが、前髪が分厚くたれさがっていて、顔もよくわかりません。
で、一也たちは最初、思い切り馬鹿にして追い出そうとするのですが……。
どっこい、明日香の真の姿はそんなものではなかった。
本気になってバトルするとき、彼女は変わる。美しい瞳とナイスバディの、スーパー美少女に。
ちなみに戦闘服はセーラー服。和田慎二さんの作品である以上、セーラー服ははずせません。
明日香に魅了される一也は、黒髪、正統派ヒーローのビジュアルです。
二人並べば美男美女。もっとも明日香は、そう簡単に落ちる女じゃないんですけどね。
『わたり鳥は北へ』の回で、私はこう書きました。人生ではじめて感動した漫画はこれだと。
それで言うなら、「人生ではじめて夢中になった漫画」は、まちがいなく『超少女明日香』です。迷うことはありません。
とにかく面白かった。
そしてご紹介するにあたり、久々に再読しましたが、やっぱり変わらず面白かった。
そうそう、この作品は多分「人生ではじめて読んだアクション漫画」でもあるんです。
漫画少女だった私は、以後いろんな漫画を読みあさり、いろんなパターンのアクションものに出会いました。
でも、明日香ちゃんの変身シーンの鮮烈さ、分身シーンのかっこよさは、いま読んでもまったく古びていません。何十年経っても、変わることなく光り輝いています。
意外なことにこの作品、一度もアニメ化されてないんですよね。私は残念ながら(本っっ当に残念ながら)一作目しか読んでないんですが、シリーズものとしてかなり続いたから、当然アニメになっていると思ってました。
でもいいんです。アニメなんて目じゃありません。
私が声を大にしてすすめたいのは、実写映画化です。
いまの特撮技術をもってすれば、必ずできる!
そして大ヒットまちがいなし!
明日香の力は超能力のようだけど、実は根本的にちがっていて「自然が味方してくれる力」です。
これは当時の文明社会、自然破壊をためらわない人間たちへのアンチテーゼにもなっていて、それが作品世界を深いものにしています。
このテーマ、いまの社会にもぴったりだと思いませんか?
明日香ちゃんがスクリーンデビューする日を、本気で待っている私です。




