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6/9

『超少女明日香』 和田慎二

 前回、書きながらとてもしんみりしてしまったので、スカッとしたくて急いで更新しました。

 スカッとする作品といえば、もちろんこれ! 

 明日香ちゃんしかありません。

 和田慎二さんの代表作は、テレビドラマでシリーズ化もされた『スケバン刑事デカ』だと思いますが、私は断然、明日香ちゃん推しです。



 【あらすじ】



 田添たぞえ建設の社長宅に、住み込み家政婦としてやとわれた砂姫明日香さきあすか

 彼女は一見チンクシャ(死語……)な女子高生だったが、家政婦として超一流の腕を持っていた。

 だが、超一流だったのは家事能力だけではない。

 明日香は実は、人外の能力を身につけた「砂神すながみ一族」の一人だった。


 一族は飛騨の山奥で暮らしていたが、ダム建設工事の犠牲になり、村ごと水没してしまった。

 工事をしていたのは田添建設。

 生き延びた明日香が、田添家に入り込んだのは、一族の仇である田添社長の家庭を崩壊させるためだったのだ。


 だが働いているうちに、彼女は社長の長男、一也と親しくなっていく。同時に、村を沈めた張本人が田添社長ではなく、別組織の芙蓉ふよう夫人だったことを知る。

 芙蓉夫人は四人の頭脳集団を従え、田添建設を乗っ取ろうとしていた。


 真の敵を知り、復讐を誓った明日香は行動を起こす。

 その行動とは、自分自身の分身四人とともに、頭脳集団を突き崩し、芙蓉夫人を追いつめること。


 時に一也の助けも借りながら、着々と目的を果たしていく、五人の明日香。

 そして芙蓉夫人を窮地に追い込み、ただ一人の明日香に戻って、ついに本人と対峙する。

 圧倒的な自然の力を、見せつけながら。


(1975年 別冊マーガレット掲載)


 ────



 絵柄はシンプルで、前回に続き今回も、いわゆる少女漫画のキラキラとはかけ離れています。作者様が男性だからかもしれませんが、少年誌だったとしても、あまり違和感ないんじゃないでしょうか。


 が、しかし。

 そのシンプルな絵柄で描かれる、明日香ちゃんの魅力ときたら!


 家政婦として田添家にあらわれた彼女は、垢ぬけない着物に羽織という、田舎者丸出しの格好です。ロングヘアにヘアバンドをしてはいますが、前髪が分厚くたれさがっていて、顔もよくわかりません。

 で、一也たちは最初、思い切り馬鹿にして追い出そうとするのですが……。


 どっこい、明日香の真の姿はそんなものではなかった。

 本気になってバトルするとき、彼女は変わる。美しい瞳とナイスバディの、スーパー美少女に。

 ちなみに戦闘服はセーラー服。和田慎二さんの作品である以上、セーラー服ははずせません。


 明日香に魅了される一也は、黒髪、正統派ヒーローのビジュアルです。

 二人並べば美男美女。もっとも明日香は、そう簡単に落ちる女じゃないんですけどね。


『わたり鳥は北へ』の回で、私はこう書きました。人生ではじめて感動した漫画はこれだと。

 それで言うなら、「人生ではじめて夢中になった漫画」は、まちがいなく『超少女明日香』です。迷うことはありません。


 とにかく面白かった。

 そしてご紹介するにあたり、久々に再読しましたが、やっぱり変わらず面白かった。


 そうそう、この作品は多分「人生ではじめて読んだアクション漫画」でもあるんです。

 漫画少女だった私は、以後いろんな漫画を読みあさり、いろんなパターンのアクションものに出会いました。

 でも、明日香ちゃんの変身シーンの鮮烈さ、分身シーンのかっこよさは、いま読んでもまったく古びていません。何十年経っても、変わることなく光り輝いています。


 意外なことにこの作品、一度もアニメ化されてないんですよね。私は残念ながら(本っっ当に残念ながら)一作目しか読んでないんですが、シリーズものとしてかなり続いたから、当然アニメになっていると思ってました。


 でもいいんです。アニメなんて目じゃありません。

 私が声を大にしてすすめたいのは、実写映画化です。

 いまの特撮技術をもってすれば、必ずできる!

 そして大ヒットまちがいなし!


 明日香の力は超能力のようだけど、実は根本的にちがっていて「自然が味方してくれる力」です。

 これは当時の文明社会、自然破壊をためらわない人間たちへのアンチテーゼにもなっていて、それが作品世界を深いものにしています。


 このテーマ、いまの社会にもぴったりだと思いませんか?

 明日香ちゃんがスクリーンデビューする日を、本気で待っている私です。



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― 新着の感想 ―
全部知らなかった(笑) 『11人いる!』と『超少女明日香』になんか興味を持ちました(・∀・) というか世代が思いきりバレちゃうエッセイと思うんですが、コレを堂々と投稿された貴女を讃えずにはいられな…
初めまして|ω・) 他の少女漫画はよく分かりませんが、和田先生の『超少女明日香』(´⊙ω⊙`)! の文言が目に入り、ついお邪魔してしまいました。 豆は柴田昌弘先生の『紅い牙』シリーズが好きだったのです…
明日香キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!(歓喜) >一作目しか読んでない そうなのですね! 私は逆に一作目を知らないかもしれません 「妖精狩り」や「眠る蛇」あたりが記憶に強いです >「人生ではじ…
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