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第七十六話

 来夏さん達と別れてショッピングをしばらくしてから外に出る。



「色々買ったね。」


「そうだな。服に雑貨、それにおいしいものも食べたし。」



 帰途に着こうと駅へと歩く。



「にしても、もう四月かぁ。もうすぐ新入生が入ってくるね。」


「そうだな。勧誘やらないとな。」


「たくさん入ってくれるといいけど。」


「どんな子が来るんだろう。星華さんはどういう子に来てほしい?」


「私はあんまり美人な子が来ない方がうれしいなぁ。」


「そりゃまたなんで?」



 すると星華さんはかわいらしく頬を膨らませて、



「だって、その子に陽大君をとられちゃうと困っちゃうし。」



 と珍しく嫉妬のような感情を見せる。


 そんな彼女に当たり前のことを言う。



「そんなことになるわけがないじゃないか。」


「私だってそう信じてるけど...」


「そうじゃなくて...俺の心はもうとっくに星華さんにがっちりつかまれてるんだからさ。」


「また、そんな甘い言葉をさらりと言って...」


「父さんにこういうことははっきりと言うべしって言われてるしな。」



 そう言うと、星華さんはさらに大きく頬を膨らますのだった。





 駅までの道に桜並木があり、たくさんの桜を見ながら星華さんと歩く。



「この一年、本当にたくさんのことがあったな。」


「まず音楽部に入って、それから陽大君たちと出会って、歌を歌えるようになって...数えきれないくらい多くの出来事が詰まってたからあっという間だったね。」



 その言葉にうなずきながら一年生の間に起きたたことを思い返す。


 まず、俺が最初に思い起こすのは屋上で聞いた星華さんの歌声。

 すべてはあそこから始まったと言っても過言ではない。


 あの日の俺を、先の見えない不安から救い出してくれたからこそ、今の俺がある。


 そしていくつもの壁を乗り越えて、当然うまくいかないこともたくさんあったけど、こうやってなんだかんだ楽しく、そして最良と思える未来へたどり着いている。



「星華さん、ありがとう。」


「何を藪から棒に...」


「いや、今こうして生きていられるのは星華さんのおかげなんだなって思って。」



 そう伝えると星華さんは優しく微笑み、



「私こそありがとう。私一人だったら大切な人を作ることからこの先一生逃げてたと思う。

 でも、陽大君がいたから、こうして立ち向かうことができた。どう感謝すればいいのやら...」



 少し困ったような顔をする彼女に伝える。



「じゃあさ、この先、何があっても俺のことを誰よりも俺の近くで見守っておいてくれよ。」


「それは...願ったりかなったりと言うか...やっぱ今のなし!

 陽大君のこと、これからもそばで見守ってるから!」



 そうやってしっかり目を合わせて人目をはばからずまっすぐに伝えてくれる星華さんのことを、この先ずっと、できれば一生大切にしようと思った。

以上で一応ラストです。

ここまで読んでいただいて、本当にありがとうございました。


しばらくしたら新作やろうと思うのでそちらもぜひ、よろしくお願いします。

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