第六十七話
すると、再び心を見透かしたかのように言う。
「振られた理由がわからないからどうしようもないとか思ってるんじゃないだろうな?」
その言葉に反発するように陽大は言う。
「だって、そりゃあ、しょうがないじゃん。下手に動いて嫌われたらと思うと...」
「ふん、そんなことを気にしているのか?」
「そんなことって...」
「あのなぁ、別に原因が分かってなくたっていいじゃないか。また振られたっていいじゃないか。嫌われたらそれは仕方がないと思わないか?」
「...」
いまいち納得いかないという顔の陽大に優しく語る。
「父さんもな、母さんに何回も告白して振られたものさ。
初めて会った大学のキャンパス内で、一目惚れしてな。その場で告白したら当然のことに振られた。
ただ、そこであきらめきれず、学校中を駆け巡って探して、告白して振られて、それを何回も繰り返して...」
「いや、なんかストーカーみたいになってないか。」
陽大の突っ込みに咳ばらいをして、話を続ける。
「それで、あの日、桜が舞う季節にオーケーをもらったんだ。」
「なんかいきなり描写的...」
「まあ、なんだ。とにかく言いたいのは告白っていうのは愛を伝えることっていうのを忘れんなってことだ。」
「愛を...伝えること。わかった。俺、何度でも告白してみる。」
「ああ、グッドラックだ。」