第四十八話
それから私たちは街の中心の方へ電車で移動した。
今日のプランは陽大君が練ってあるそうで、彼にエスコートを任せて人ごみを進む。
進んだ先にあったのは
「スケート?」
スケート場だった。
「調べてみたら、冬季限定であるらしくてさ。ぜひ星華さんと来て見たかったんだ。」
「面白そうだね。でも、私やったことないけど...」
「大丈夫。俺が教えるから。」
未経験であることに不安を感じながらも、陽大君が教えてくれるということに若干の安堵を覚える。
それからスケートシューズをレンタルし、いざリンクの上に立つ。
「まず、足をV字にしてごらん。こうやって。」
「V字...こう?」
「そうそう。上手上手。そしたら壁に手をつきながらでいいから足踏みをしてみよう。
それが出来たら、壁なしでそれを、こうやって、スーって。」
陽大君の言うとおりに体を動かしてみると、想像していたよりも簡単に滑ることができた。
まだあまりスピードを出せているわけではないが、非常に楽しい。
トライしてみてよかった。
*
そんな調子で、滑ることしばらく。
「もうそろそろ休憩にしようか。」
休憩を提案されてそれに頷く。
出入口に戻ろうと滑ると...
ドン
後ろから人にぶつかられて倒れてしまった。