第四十六話
それからの私は文字通り萌の着せ替え人形だった。
午前中があっという間に過ぎ、お昼をいただくために食堂へ移動する。
「星華はスタイルがいいし、顔も肌もきれいだからいろいろ着せてて楽しいわ。」
「何着ぐらい着たんだろう...ちなみにあとどれくらい?」
着せ替えになるのは悪い気分ではなかった。
いろいろ着るたびに萌がほめてくれたし。
時々際どそうなのが出てくること以外は文句はなかった。
とはいえ、考えてみてほしい。私が出かけるのは真冬である。真冬に肩だしとか腹だしを着ていくわけがないだろう。
すごく楽しそうだったからいいけどさ。
「えーっと、服の方はもうすぐ終わるけど、まだ靴とかアクセサリーとかがあるかなぁ。」
「...ガンバリマス。」
*
おいしいおいしいお昼ご飯を頂き、午後の回が始まった。
萌の言っていた通り服の方はすぐに終わったが、靴やアクセサリー選びも時間がかかった。
こちらも種類がたくさんあり、棚を開ければ大量の靴があり、引き出しを引けばいっぱいのアクセサリー。
結局終わったのは日が沈んだ夕方だった。
「いや、楽しかったな。星華はきれいだからほんとに。」
そういって渡されたのは服が上下三セット、靴一つ、イヤリング二種類が入った袋だった。
そんなにもらえないし、そもそも借りるだけのつもりだった私は断ろうとしたが、結局使わないからと押し切られ、持ち帰ることになった。
「ありがと、萌。こういうの初めてだから。私も楽しかったよ。」
そういうと、パァーと顔を明るくさせて、かわいいと思ったのは秘密だ。